「主に何をする無礼者!!」
「HA、相変わらず頭の固いTバックだな」
「貴様の頭が軽すぎるのだ!少しは立場をわきまえよ悪魔狩り!!」
「そっちこそ、オレの本業を理解してないな」

不敵な笑みを浮かべるダンテさんの手には
いつの間にか色違いの双銃が握られている。

「そのデカイ図体は何発ブチ込めば魔界に送り返せるか・・
 賭けてみるのも面白そうだな?」
「おのれぇ!!」

「こらーーッ!!!

ドンと音を立てて二人の間に割り込んで
振り上げた手に衝撃をためる。

「仲魔内でケンカするなって言ってるだろ!!」
「しかし主!」
「オレは・・・」
口答えするな!!ともかく俺の前で殺し合いだけは絶対ダメ!!
 どっちも俺の大事・・・・な・・・・」

ふと、みんなの視線が俺に集中しているのに気付き
恥ずかしさに語尾が消える。


「・・・どっちも?なんだ少年」


うぅ・・・ダンテさんの意地悪な笑みが痛い。


・・・あぁそうだよ。

どうせ俺は寂しがりやだよ。

ガキでバカで寂しがりやで
崩された世界に未練たらたらで
新しく世界を作れずに元の世界にみんなを引きずり込んだ意気地なしだよ。


心の中で石を蹴り、腹をくくって言葉を吐き出す。


「・・・どっちも・・・っていうか・・・みんな・・・
 ・・・俺の大事な・・・・・・・仲魔なんだからな」



・・・あっちではよく使ったセリフなのに
今使うと・・・なんだかやたら恥ずかしいのはなんでだろう。

たぶん今真っ赤だろう俺の顔を見て、ダンテさんがにやりと笑った。

「・・・相変わらず言うことがカワイイな少年」
「うっ、うるさいな!男が男にカワイイって言うな!」
「主・・・!!」
「あぁもう!トールまでそんな嬉しそうに目輝かすな!」
「ジュンヤジュンヤ!カワイイジュンヤカワイイカワイイ!」
「連呼するなフレ・・わ!ちょ、よせよマカミ!」
「イイジャンカチョットクライ。挨拶ツイデニ巻カセロ」
「・・・・(鼻息荒げてにじり寄るケルベロス)」

「こらこらこらお前達ーーーー!?!」


・・・で


俺の不用意な一言は
なんだかみんなに火を付けたらしく


しばらく俺はマカミに巻きつかれたままケルになめられ
フレスにすりすりされてピッチにかじられ
なんかドサクサまぎれに骨が折れそうなほどミカエルに抱きしめられたり
なんだか色々あってパーカーが凄いことになったけど・・・

ともかくダンテさんの借金の件は受けることにした。

今回のことで借りを作ったのは確かだし
この色々な意味で物騒な人が、一人で東京を歩くのには
かなり無理があるのも想像できるし
何より今はさすがに持ってないみたいだけど
たぶんどこかに隠し持ってるだろう商売道具で騒がれるのは確実だし
下手をしたらその責任が全部俺にふりかかってきそうだし

ついでに宿泊は家族が出張中だからってことで俺の家にした。
それを見越してダンテに知らせたのも多分ミカだろう。
むっとして目をやると金の身体が少し縮こまった。

「ほお?それは三食昼寝付きか?」
「・・・どこでそんなの覚えてくるんだよ」
「何か間違ってるか?」
「・・・微妙に。でも三食くらいなんとでもなるよ」
「OK、じゃあ決まりだな」

俺の前に黒くてごつい手袋が差し出される。

「契約成立だ」
「うん」

少し照れくさいとか思いながら手を出そうとすると
横からフトミミさんの指摘がかかる。

「高槻、こういった場合、私達で言う言葉があるはずだが」

あ。

ハーロットとマカミが意味を察してケタケタ笑う。

長くつき合いのある悪魔でも
合体後に生まれる悪魔にも
交渉で仲魔になる悪魔にも
今後行動を共にする時に言う共通の言葉。

「えと・・・じゃあコンゴトモヨロシク。・・だね」

「コンゴトモヨロシク、だジュンヤ」

ダンテさんが笑って俺の手を握り
放すと同時に頭を撫でてきた。

・・・子供扱いにももう慣れたけど
この様子だと観光案内した後も色々たかってきそうだなこの人。


「・・・主」


そんなことを考えながら大人しくしてると
今まで黙って成り行きを見守っていたブラックが
見計らったように口を開いた。

「・・・我らは・・・異形の存在。
 ・・・悪魔なきこの世界には・・・不要の物・・・」
 
多分ブラックが言いたいのは・・・

本来存在しない悪魔や魔神やなんやらを
この東京に置いておいていいのかって事だろう。

「・・・それでもまだ・・・我らを従えるか主よ・・・」

ブラックにしては珍しく長い言葉の後、俺は微笑んだ。

「何言ってるんだよ。そんなの聞くようなことか?」

あんな殺伐とした世界を血まみれになって這い回って
ワケもわからずお前達と戦って
最後にはその世界をまるごと壊して
また元の世界を取り戻したのは
今思えば信じられないけど、他でもない俺なんだし。

「従えてみせるさ。っていうか俺を誰だと思ってるんだ?」

今まで意識したことはなかったけど
これは多分、自信を持っていいことだろう。

「誰も言ってくれないけど・・ボルテクスを破壊した人修羅で
 この世界の創造主、だろ?」

黒いフードの奥、表情のない骸骨が
なんだか嬉しそうにふと笑ったように見えた。

そして周りにいたみんなが
あの時と同じように嬉しそうに
表情のわからないやつ含めた全員が
あの世界の最後をむかえた時と同じように笑った。


人修羅、魔教皇、どこかでカブキチョウの帝王なーんて
なんだか凄い勘違いされそうなこっぱ恥ずかしい呼ばれ方したこともあったけど
別に俺はどんな呼ばれ方してもどんな称号をもらっても
それに見合う事をしようなんて思ったことは一度もない。

俺はただ壊された物を元に戻しただけ。
別にこれから世界をどうこうする気なんてないし、興味もない。

ただ今、ちょっと興味がわいたのは
これからみんなとどう生きていくかって事。

「まぁともかく、新しい世界も退屈しないですみそうだなジュンヤ」
「よしてよ。ダンテさんがそう言うと縁起悪さが倍増する」
「・・・口の減らないガキだ」
「いって!?」
おのれ!また性懲りもなく!!」
「こらやめぬか2人共!結界が壊れる!」

しかし・・・まさか東京にまでこんな騒ぎを持ってくるつもりなんてなかったんだけど
でもまぁきっと・・・こんなのを嬉しい誤算っていうんだろう。


「・・・ま、いいか」


あの世界で自然と身に付いた、前向きかつ投げやりな言葉を吐き出して
ぎゃあぎゃあ騒ぎ出したみんなをよそに、俺はもう地面のない青い東京の空を見上げた。


そうして俺の元の世界での

けれど俺の仲魔達を加えた新しい生活が始まる。










なんかダラダラ長くなってしまった仲魔エンドマニアクスバージョン・・の想像。
本編でもこんなのあったらよかったのに。

でも自分で作ったから自分だけ幸せ気分。


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