「じゃあ・・・今日はマカミでいこうかな」

その言葉と同時にけっけと首をかいていた細長い犬・・とおぼしき神獣が
まるで水を引っかけられたかのようにびくっと反応する。

「アァ?ナンダオレカ?ショウガネエナマッタクヨォ」

しかもそんなことを言いつつそのシッポはぶんぶんゆれていて相当嬉しそう。
この不思議な形の神獣は、軽口を叩かずクールなケルベロスとは逆に
口が悪いかわりに心中を隠すのがヘタだ。

なので口が回らなくて表情が表に出にくいケルベロスとしては
それはそれで結構屈辱的な話になる。

「・・・貴様・・主ノ決定ニけちヲツケル気カ?」
「けけけ、ソリャテメェノ話ダロウガ。デコニしわガ寄ッテンゾ」

ケルベロスはぺらぺらと前足を振ってからかう神獣に向かって
牙をむいて低いうなり声を立てた。

しかしそれは横から伸びてきた細い腕に頭を撫でられた事で止まる。

「・・こーらマカミ、せっかくの自由時間の前に波風立てない」
「ヘーイヘイ」
「ケルもあんまりカリカリしない。
 あんまり過剰に反応すると余計に面白がられるぞ」
「・・・ワカッタ」
「よし、いい子」

両手でぎゅっと首に抱きつかれ、眉間に寄っていたシワは一気に消えた。

マカミへのスキンシップはつぶれる可能性があるので撫でる程度だが
自分は物理にある程度の耐性があるのでここまでできる。

それに仲魔内でもこんなに大胆に触ってくれるのはケルベロスだけなので
ケルベロスはこうされるのが大好きだった。

でも地獄の番犬たる意地があるのでシッポをふるのは一回だけだ。

「チェー、オメェオレトソイツト全然態度違ウジャンカ」
「ケルはちゃんと言えば分かってくれるけど
 マカミは言っても聞かないことが多いじゃないか」
「オレハタダノ犬ジャナクテ神様ノ獣ナンダカラ
 タダシッポ振ッテ言ウコトキクソイツトハ格ガ・・ギャ!?

また何か余計な事を言いかけた長い胴体に
ブラックライダーの黒馬がかぷと噛みついた。

「イデーナモウ!ワカッタヨ!黙ッテ行キャイインダロ行キャア」

歯形のついた胴をさすって怒鳴るマカミに
ブラックライダーは無言で答えた。

喋っていたのならおそらく
『ケンカしてないでさっさと行け』と言っていただろう。

「・・ンデ?モウドコ行クカハ決マッテンノカ?」
「ターミナルに行ってから考えようと思ってる」
「ナンダヨ計画性ネェナ」
「・・だって今度の事も思いつきだったんだからしょうがないだろ」
「思イツキネェ・・」

マカミは首を1つかしげると、ふよよ〜と何か考えるようにジュンヤの頭上を回った。

しかしその時偶然リベリオンを地面に突き立て
どっちへ行こうか倒れた方向で決めようとしていたダンテと目があう。

その瞬間、見た目には変だが性格的に似ている2人の間で
やっぱり変なアイコンタクトが成立した。

「・・ソンジャ行キ先モ思イツキッテコトデ
 ココハ1ツオレニマカセテミネェカ?」
「・・・・マカミに?」

腕を組んで考えていたジュンヤの目が半開きになる。

「・・ア、ナンダヨソノ疑惑ノ眼差シハ」
「また何か変なことたくらんでないかって目だよ」
「ンダヨ、コレガソンナコトタクランデル目ニ見エンノカ?」

などと言いつつ平たい顔をむにと押しつけられても
そこにあるのは目なのか模様なのか分からない
円をただ重ねたラクガキみたいな目があるだけだ。

「・・・・見えるような見えないような微妙な目に見える」
「・・ドッチナンダヨ」
「結論からするとこんなので判断できる人は画家になれると思うな」
「・・・ナンカ馬鹿ニサレテルヨウナ気ガスルケド・・マァイイヤ。
 トモカク今アテガナイッテンナラ、オレニマカセルッテノガすじダロ」
「・・変なところじゃなければね」
「ウッシ、ジャア決マリダ」

マカミはまぁまかせとけ、とばかりにむふんと鼻息を出した。

しかしそんなやり取りをしている背後で
ダンテがちょうど倒れかけていたリベリオンを拾い上げて背にしまい
少し不敵な笑いを浮かべていたのをジュンヤは知らなかった。





「・・ちょ、ちょっと待て!!おいマカミ!マカミってば!!」

ターミナルの部屋を出てまず顔が引きつった。

そして細長い背中を追いかけていたその目には不安がたまり
それでも黙ってついていくと、その方向からどんどん嫌な予感が蓄積し
そしてある扉を出て階段を上ろうとしていた矢先
とうとうジュンヤはたまりかねて大声を出した。

「ア?ナンダヨ」
「ナンダヨじゃないよ!ここどこだかわかってんのか!?」
「ソリャアモチロンワカッテルッテノ。ツーカ一番分カッテンノオレダロガ」
「だったらなんでこんな所・・!」
「心配シナクテモココデ休メナンテ言ワネェヨ。
 ホレ、ソコノ正面ニ部屋ガアッタロ、ソコデ・・・」
「思いっきり真っ正面じゃないかーー!!?」

何を騒いでいるのかというと
まず2人がいるのがマントラ軍本営前の階段で
そしてマカミが指したのはその正面入り口の向かい側にある部屋だということだ。

まぁ分かりやすく説明すると
ダンテと初めて会った場所の真ん前にある部屋を指定したため
誰もいなくなった階段でぎゃあぎゃあもめているわけだ。

「ソンナ騒グ事カ?別ニモッカイアレガ落チテクルッテワケデモネェシ」
「それにしたってそんなヤな所で休めるか!!」
「他ニ考エテナイッテンナラココシカネェダロ」
「・・!なら・・今考える!ちょっと待ってろ!」

いくらどこでもいいからとは言え
さすがに多大なショックを受けた場所の真ん前で寝るのは嫌らしく
ジュンヤは階段の踊り場に立ったまま必死に脳を回転させた。

しかしここはボルテクスに来てから最高に精神が混乱した場所なので
そう簡単に考えはまとまってくれるはずもない。

「・・ウォーイ、イツマデソンナトコデ突ッ立ッテンダ?」
「今考えてるんだよ!」
「休ミニキタノニ考エ事ニ時間サイテテドウスンダ」
「うるさいな!大体マカミがこんな場所に来なければ・・!」
「ダーモーショウガネェナ」

このままこんな所で押し問答してもしょうがないので
マカミは手早くジュンヤに巻き付くと、そのまま持ち上げて上の階まで持っていった。

「うわ!こら!どこ行くんだよ!」
「グダグダ言ッテネェデトットト来イ、世話ノヤケル」
「いやーー!!ダンテさんが!ダンテさんが落ちてくるーーー!!
「・・・自分デヤラカシタカラトハイエ・・・アイツモチョット哀レダナ」

などとやりながら移動し問題の部屋へほぼ無理矢理入ると
マカミはまだ騒いでるジュンヤをカウンターのような場所の奥へ押し込む。

そこまでくるとあの時のトラウマは薄れるのか
ジュンヤは暗い中でタトゥーを発光させつつもピタリとわめくのをやめた。

「・・・オ、鳴キヤンダカ?」

ぼてんと地面に降ろされながらジュンヤはぽつりと一言。

「・・・やっぱり・・・・マカミにまかせるんじゃなかった」

しかし言われたマカミは大して気にした様子もなく
小首をかしげるようにして声だけで笑った。

「イイジャネェカ。思イ出深イ場所ノ近クッテノハ、ナカナカニオツナモンダゼ?」
「・・・言ってろ」

ぺちと叩いた頭はふにゃと後へいってへにゃと戻ってきた。

確かにその思い出が良い悪いは別として、思い出深いというのは確かだし
そこであったことを思い出しながら寝るというのもまぁアリかもしれない。

しかしそれにしても、よりによってここはないだろうとジュンヤは思う。

けれどここであったことがなければ今の自分はなかっただろうし
ここまで強くなることもなかったかもしれないし
あの深界を引き返す事だってあるいはなかったのかもしれない。

そう思えばこのふざけた選択もそうバカにはできないものだ。

「デモマァアン時ト比ベリャ、オメェモカナリ落チツキハシタケドナ」
「・・・それを言うなよ・・・」
「ケド落チツクノト我慢スンノハ別問題ダカラナ」
「わ!」

そう言うなりマカミはジュンヤを巻いたまま床に倒した。
しかしその力加減や巻き方は、ちゃんとゆるくて床になるべく身体を接触させず
なおかつ首の角をぶつけないという絶妙なもの。

口も態度もあまりいいとは言えないこの神獣
悪魔になりたてでまだ未熟だったころのジュンヤを知っていて
こういった事には実はかなり慣れていた。

「オメェガアノ連中トドンナダッタノカ知ラネェガ
 イナクナッタ連中ノタメニテメェガスンノハ・・我慢スル事ジャネェダロ」

何すんだとばかりに身じろいでいたジュンヤの動きがぴたりと止まった。

それはカグツチの中で倒したかつての人間達のことだろう。
それはまったく面識がなかった人間からクラスメイトであった人間まで様々で
しかし立場は違えどもそれらはどれも元はといえば自分と同じ人間だった者ばかり。
それがどれもが自分の目の前で人でなくなり
そして悪魔の自分の前で朽ち果てた。

それを仲魔に優しく元人間だったジュンヤが何とも思わないワケがない。
だが表面上平静を保っているジュンヤの奥にある心情を
マカミはちゃんと知っているのだ。

「オメェガ変ナコトニ意地ヲ張ルノハ知ッテルガ
 ソレモ限度ガスギルトロクナコトニナラネェゾ」
「・・・でも・・・俺・・・まだやることが残って・・!」
「ンナコトハワカッテル。デモナ、身体ジャナクテ中身ヲキタエルッテノハ
 並大抵ノコトデ出来ルモンジャネェ。オメェミタイナ甘イノハ特ニナ」

ジュンヤは反論できずに少しうつむく。

「ダカラ休ミタカッタンダロ?少シデモイイカラ考エル時間ガホシクテ」
「・・・・」
「アト夢デモイイカラアイツラト会イタカッタンダロ?
 ドンナ状態デモイイカラモウ一回アイツラト会ッテ話ヲ・・・」

ぱし

タトゥーの筋が何本も入った手が、金色になった目を勢いよく隠した。

「・・・ダカラ我慢シタッテショウガネェダロ」

呆れたようにそう言ってもジュンヤは嫌だとばかりに首を振り
ぺしぺしと前足で頭を叩いてもまだ嫌だとばかりにかぶりをふる。

マカミにはジュンヤから聞かされているある言葉があった。

それはおそらく悪魔全書から召喚しなおされているマカミと
その血を少し受け継いでいるブラックライダーぐらいしか知らないだろう。

黙って目を隠しているジュンヤの頭にべにょとあごを乗せながら
マカミは呆れたとばかりにふんと小さな鼻息を出した。

「・・・マ、好キニシロヤ。ソンデ寝ロ。
 ソンデドンナ夢見ルニシロ、夢ノ中デマデ我慢スンナヨ」

ジュンヤは少し間をおいて、今度は黙ったままうなずき
そしてしばらくして手をはずし、目を閉じたまま動かなくなった。

その目の周囲が乾いたままでいるのは意地を通しきった証拠だ。

「・・・ツッテモオメェノ事ダ。
 ドウセ夢ノ中デモマダ意地ハッテンダロウガナ」

そう言いながらマカミは記憶を掘り起こす。
あれはいつだったか荒野でのいきなりの発言だった。


『俺・・このゴタゴタが全部終わるまで泣かないからな』


聞いたときはなんだそりゃとは思ったが
マカミは今ならその言葉の意味が少しだけ分かるような気がする。

自分もジュンヤと同じ立場になって
親しい者達を越えていかなければならなくなったら
ただ立ち止まって泣くよりも、より前へ進んだ方が遙かに手向けになる。

・・・マァダカラアイツハコイツニ目ヲカケテンダロウケド。

マカミはそっと首を地面に落ちつけ
来る前に目を合わせた赤いハンターの事を思い出した。



『アァン?アイツガ自分ト似テルダァ?』
『まだ確信は持ててないから内密の話だがな。
 あぁ、違う。性格の話じゃない、立場的には似てる部分があるって事だ』
『・・・マァ・・ソウ言ワレリャ似テルカモナ。
 アイツハ悪魔ナノニテンデ悪魔ラシクナイシ
 オメェハ人間混ザッテンノニ時々悪魔ヨカヨッポド悪魔ラシイシ・・』
『だからオレはデビルハンターとしてアイツに関しての悪魔だっていう確信が欲しい
 ・・・と、思ってた』
『?・・過去形カ?』
『過去形だ』
『・・ナンデ?』
『アイツと付き合ってたら・・もうそんな事なんざどうでもよくなってきちまった。
 確かに悪魔を狩るのがオレの仕事だ・・が、しかしな
 なんでもかんでも仕事の名の下に終わらせてたら、とっととお家に帰れたろうが
  今みたいな愉快な事態と遭遇はしてなかった。・・そうだろ?』
『・・・物好キナ話ダ。ケドソウイヤソンナトコロモ似テヤガルナおまえ』
『オマエさんだっていい勝負してるさ。一番強烈だった時のオレを知ってるくせに
 何事もなかったかみたいにオレとこうして会話してやがる』
『・・インヤ、モット散々ナ目ニアッテルあいつニャカナワネェヨ』
『・・・そうかもな』


そう言ってかつて自分を容赦なく撃ってきたハンターは
少し困ったような苦笑いをした。

けれどマカミはあの時の苦笑いを見て思ったのだ。

あのハンターは自分に似ているからという理由や
面白そうだからという理由からこちらに来たのではないのだと。

おそらくその大元になるのはダンテの人の部分だろう。

確かにあのハンターは伊達と酔狂で雇用されただけかもしれないが
それだけではくくれないのが2人にある人間の部分だと
マカミは密かに思っている。

そしてマカミはその仮定の中でこうも思っていた。

ダンテがジュンヤに雇われたのは、自分と似ているという理由と一緒に
悪魔のくせに人のいい少年が、この先自分のようになって欲しくないから
かなりいい加減な値段の契約で、雇用という言い訳を使って・・・


きゅ


前足を軽く掴まれたような感触に、マカミは思考を中断して顔を上げた。

見ると寝ているジュンヤの手はいつの間にか自分の手をしっかと握ったままで
すうすうと寝息を立てている。

そう言えばいつだったか、あの魔人と初めて会ったあの後も
こうしていろんな意味で疲れた主人を言いくるめて寝かせていた事があったが・・


オマエハアノ時ト同ジヨウニ
ろくデモナイ理由デシカ休メテネェンダロウガ・・・


長い身体がもそもそ動いて、出来るだけ寒くないように
ほのかに光っている身体を子を守る親犬のように丸く包む。


セメテ夢ノ中クライハイイ思イシロヨナ。


その思いが通じたのか分からないが
ジュンヤはマカミの平たい前足を握ったまま寝言もうめき声も立てず
ただ静かに眠っていた。







むにゅり

ほっぺたに何か柔らかい物が当たる。

「・・オイ起キロ、時間ダゾ」
「・・・んん?」
「寝ボケンナ、ほれ、起〜キロ」

ぱく

「いてっ!?」
「オ、寝起キハ成長シテルナ」

飛び起きた目の前には鯉のぼりみたいな変な顔がある。

「こら!鼻を噛むなって言ったろ!」
「ンナコト言ッテモコレガ一番効果的ナンダカラシャアネェダロ」
「・・もうちょっと普通に起こしてくれよ・・まったくもう・・」

ぶつぶつ言いながらジュンヤはシンプルな型のついた鼻を押さえつつ起き上がった。
マカミに歯はないが鼻先をちょっとだけ噛まれるのはやっぱり痛い。

「ソンデ?イイ夢見レタカ?」
「・・ん?う〜んそうだな、・・・確か・・千晶と勇が出てきて・・・
 あぁそうだ。今日いきなり抜き打ちテストだって大騒ぎした夢だった」
「・・・ソリャイイ夢ナノカヨ」
「人間だったころなら完全に悪夢だけど・・今はいい夢だよ。
 どんな内容だったにしろ、友達だったころの2人に会えたんだから」

マカミはそう言って笑うジュンヤをじっと見てふんと鼻を鳴らし
ぺちとその背中をシッポで叩いた。

「ンジャ、イイ夢見タ所デ行クトスッカ」
「うん、行こう」

来るときに少し頼りなかったその足取りは
いい夢を見たと言ってちゃんと休んだこともあってか
ここへ来た時よりはかなりしっかりしたものになっていて
マカミは表情の分かりにくい変な顔で、ダンテのようにニヤリと笑った。







そこで話は終わりそうな所だが
実はこの話にはもうちょっとだけ続きがある。


それは2人がマントラ軍の本営前の階段を下りようとした直後のこと。

ふと何かの気配を感じてジュンヤがいきなり足を止めた。

「ナンダヨ、ドウシタ」

実はわかっているマカミがしらばっくれながらそう聞くと
ジュンヤはいつかと同じく何かの気配を感じ、上を見上げる。

そして・・・


ドゴォーーーン!!


それはいつかと同じように唐突に、轟音を立てて落ちてきた。

そしてそれはいつかとまったく同じ動作でこちらに向き直り


「会えて嬉しいぜ少年、お前もそう思うだろ」


と、いつかと一言一句まったく同じ事を言い放ち
今度は本物の銃ではない銃の形を模した指を
こちらにぴっと向けてきた。

石のように硬直しているジュンヤにマカミが耳打ちする。

「・・ナニ呆ケテンダヨ。ココハナンカりあくしょんスルトコダロ」

そうは言ってもこれはジュンヤにとっては悪夢の出発点で
トラウマ以外の何者でもない出来事だ。

しかし落ちてきた魔人は完全に動けなくなったジュンヤを攻撃するでもなく
ただ待つようにじっとその態勢を維持していた。

マカミが呆れたように再び口を開く。

「・・オラ、チャッチャトナンカ言エヨ。
 アン時言エナカッタコト、今ナラ全部言エルダロガ」

そう言われてジュンヤはぎこちなくマカミを見て
そして目の前の魔人に目を移し・・


そこでようやくこの2人が自分に何をさせようとしていたのか理解し
ぱあと表情が明るくなった。


そう、あの時はあまりの事で何も言う事ができなかったが
今ならちゃんと言えるはず。


ジュンヤは鼻から思いっきり息を吸い込んで


腹の底から、いや、魂の底から
あの時言えなかった事を声に出して叫んだ。


「思うかぶぁかーーーー!!


その声と何かを殴る鈍い音
あとごっつい激突音が60Fビルの下いっぱいに響き渡り
ビルの壁が音と衝撃に軽く振動する。


その後、仲魔と合流したジュンヤは
何があったのか知らないが、やたらと吹っ切れたような晴れやかな顔をしていて
どうかしたのかと仲魔達に逆に心配されたとか。







「・・・・・・愛が痛ぇよマフラー」
「オウ、ワカッタカラ口開ケロ。歯折レテナイカ見テヤル」
「・・・アイツ、笑いながら・・人を全力で殴りつけてくるようなヤツだったか・・?」
「分カッテネェナ。アンダケ色々ヤラカシマクッタつけヲ
 ぱんち一発デ水ニ流セルやつナンテソウイネェヨ」
「・・・かもな」
「ンダヨ、自覚アルナラ謝リャスム話ジャネェカ」
「・・・オレは自分のしたことに・・後悔しないって決め・・・・」
「・・ア、ヤッパ歯ガゴッソリずれテヤガル。
 ショウガネェ、でぃあらまデ無理矢理治スカラ歯ァシッカリ食イシバットケ」
「・・・・愛が・・痛へよマフ・・」
「・・・ワーッタカラモウ黙ッテロ」


しかしその甲斐があってかその後ジュンヤがダンテに対する態度が
ちょっとだけだが緩和された。



そしてあの時言われたセリフの答えは
実は鉄をも変形させるメガトン級のストレートの奥に
肯定として隠されていたりするのだが・・

その意味を顔の形がちょっぴり変わったダンテが
ちゃんと受け止めてられていたかどうかは・・

・・・はっきり言って定かではない。










やっぱりダンテとからんじゃったマカミ編でした。ごちゃごちゃしててごめん。
そしてダンテ超ごめん。
でも誰だってあそこでツッコミ入れたかったろうし
ゲーム内では一切つっこませてくれなかったからつい・・。

でもあの初対面時の返事がパンチ付きでもYesになったんだから勘弁しろ。


ジャイアニズムに逃走