そんなこんなで数日たったある日の事だ。
近所の散策と買い物を終えて屋敷に戻ってくると
玄関のドアを開けたすぐの長イスにカルメラが腰掛けていた。
「あ!カルメラさんお帰・・」
ジュンヤは慌てて声をかけようとしたが
ふとその様子がおかしい事に気付き口を閉じる。
相変わらずバケツ兜で顔が見えないため
そのままだとただ座っているように見えるが
うつむき加減で微動だにしないところを見ると
どうやら座っている間に寝てしまったらしい。
ジュンヤはダンテと軽く顔を見合わせると
そのまま放置するのも気が引けるので起こすことにした。
「・・カルメラさん、起きて下さい。
こんな所で寝てると身体に悪いですよ」
一応少し距離をあけてそう言ってみると
ちょっと傾いていた首がまっすぐになったので起きたらしい。
「・・・・?・・・あぁ、君達か。
今回は珍しく牛肉が手に入ったので・・」
「・・いえ、その前にお疲れなら少し休んだ方が・・」
「いや、別に疲れてはいない。これとこれを本棚に頼む」
「・・あの、これ宝石なんですけど本棚ですか?」
「・・・・・・。間違えた。こっちだ」
「これキノコと草花ですけど・・。
あの、ちなみにカルメラさん、前に眠ったのっていつですか?」
するとカルメラはかなり黙り込んで。
「・・・・・少なくとも1ヶ月半ほど前・・だったかな」
「寝て下さい!!今すぐ早急速やか他のこと心配せずに!」
どうしてそれで生きてられんだと思うが
一応この世界は眠らなくても死にはしないし
人間ではなくブレトンという種族だからなのかも知れないが
ジュンヤはとにかくかまわず白い背中をぐいぐい押して
カルメラを二階の寝室に押し込んで一仕事終えたみたいなため息をつく。
「・・ダメだ。あの人1つの事に集中すると
息する以外の事を忘れるタイプの人だ」
「そう言えば見た目で判断しにくくても魔術師も兼ねてるって話だからな」
「とかしみじみ言いつつ即座に食料をあさるな!
飢え死にしないくせになんでそんなに食べたがるんだよ!」
「ないならないで仕方ないが、あるならあるだけ摂取したくなるんだよ」
「ハムをかじりながら力説するような事か!
とにかくその肉類放しなさい!いっぺんに食べるな!おあずけ!」
かじられたハムはもう手遅れで仕方ないとして
他の肉類を強引に奪い返し(おあずけはできなかった)
これから先の事を少しだけ会議。
「それとさ、カルメラさんが起きてきたらこれからの事を相談しよう。
あの人一人に丸投げのまかせきりじゃあんまりだし」
「そのあたりの話は面倒だからオマエにまかせる」
「・・そこのゴクツブシ。誠意って言葉の意味をご存知デースカー?」
「な、コラ!それは燃やすな!後でこっそり食おうと思ってたのに・・!」
「もうある程度は認識してるけどあえて言うぞ!
子供かアンタは!!」
そうして牛肉を人質(?)にしてダンテを脅し、会話に参加する事を約束させ
カルメラが起きてきた時用にリンゴを5つほどむいておく。
なぜ5つなのかというとダンテがよこせと言ってくるからだ。
しかもウサギリンゴという要求付き。
「・・こんな事なら最初皮むいた時に
普通のむき方にすればよかったなーなんて今思っても
遊び心を沸かせちゃった俺も悪いワケで
もっと元を正せば最初に食べ物を与えちゃった俺も悪いワケで・・」
「・・オマエ最近妙な独り言が増えてないか?」
などと言いつつもダンテはちょっかいを出さず
リンゴをむくジュンヤの後で大人しく待機中。
というのも以前オレンジを切っている所にちょっかいを出して
ものすっっっっっっっごく怒られた事があるからだ。
精神的に。
「・・思ってる事をあんまりためこむと
心にも身体に悪いってブラックが言ってたんだよ」
「・・・口数がゼロに近いヤツの言う事なのかそれは」
おまけに一番縁起でもない格好してるヤツだろと思いはするが
言ってる事は正論でさすがに一番の古株なだけはある。
などと思っていると階段をごつごつ下りる音が響いてきた。
まさかと思ったがさっき追い上げたばかりの騎士様が
兜片手にもう普通の足取りでおりてきていた。
「え!?カルメラさんもう起きたんですか!?」
「問題ない。1時間も眠れば上等だ。
それより調査報告の方を先にしておきたい」
「え、でも・・」
「思っている事をためこむとよくないのだろう」
「聞こえてたんですか!?」
「君達の声は不思議と通りやすいのでな」
そりゃ言い換えると寝れないほどやかましいというのだが
ぎっと睨んでくるジュンヤの目をダンテは素早くかわし
続けざま飛んできた蹴りも最小限の動作で回避する。
「はは、君達はいつでも元気のいいことだ」
「不可抗力ですのでおかまいなく!
それよりカルメラさんこそ、もう少し休んで下さいよ」
「残念ながらこれは休んでどうなる話ではないのでな。
・・とにかく概要を話そう」
しかし報告とは言っても調査はまるで空振りだったそうだ。
カルメラは地図にある土地のはじからはじまで行った事はあるが
そのどこにも手がかりとなりそうな情報がなかったのだとか。
「・・とは言え見落としがあるかも知れないし
組織的に隠ぺいされたものがあるとするならば、私でも手に負えない。
さてどうしたものかと思いつつ小休止をと思っていたが・・」
「・・考えてる間に寝ちゃったんですね」
「うむ」
恥ずかしげもなくまっすぐうなずくカルメラに
ジュンヤはあ、まずいと再確認した。
ダメだこの人。
これって考え事してたらいつの間にか寝てたのは元より
ご飯食べるの忘れて貧血おこすとか馬から落馬するとか
気がついたら病院のベッドの上で点滴うってたとかいうタイプの人だ。
職業柄とは言えさすがに心配になってきたジュンヤは
自分がどうするかまだ決められていないのをとりあえず横に置き、ある提案をした。
「・・あの、カルメラさん。そのあたりの事で俺達に手伝える事ってないですか?」
「?君達にか?」
「お役に立てるかわかりませんけど
何から何までお世話になりっぱなしなのも心苦しいですし
人手はそれなりにあった方がいいかなって・・思うんですけど・・」
「下手に動いて騒ぎを起こす可能性も有りだが
そうなったらそうなったでしばらく山奥にでも逃げ込むか
前にいた小屋にでも隠れればどうにでもなるだろう」
「騒ぎを起こす事前提かよ!しかも対応に慣れてるみたいなその提案!」
などとやってる2人をよそにカルメラはしばらく考え込むと
ぽつっとこんな事を言い出した。
「・・なら今から少し付き合わないか?」
「へ?」
「今からか?」
その静かでいきなりな話にさすがのダンテもちょっと面食らう。
しかし騎士様はいたって真面目にこう続けた。
「そうだ。この場合一人で悶々と悩むよりも
複数で行動し気分と視点を変える方がよさそうだ」
そう言ってカルメラはよく使い込まれた地図をテーブルにばさっと広げ
たくさん散らばっていた要所のしるしをじっと順番に見ていき。
「・・よし、ここにしよう」
どの街からも離れたある一点のしるしをびしと指した。
「・・山の形・・ですね。なんですかここ?」
「ダイビングロックという山頂にあるキャンプ地で
私の知りうる限りでは標高の最も高い見晴らしのいい場所だ。
ちなみにこんな名前をしているが飛び込みなどはしない方が良い。
全身の骨という骨がへし折れ、ひしゃげた人形のようになって死ぬ」
「そりゃあそうです当然の当たり前です」
何か言いかかったダンテのほっぺたを
素早くむんずと掴みながらジュンヤは素早くうなずく。
「行くまでの道はほぼないに等しいが
ファストトラベルを使うので迷うこともない。
時間は・・そうだな。今から行けば頃合いか」
「「?」」
何の事だと顔を見合わせる2人にカルメラは1つ笑い
がぼといつものバケツ型兜をかぶる。
「なに、ただの気分転換だ。調査もこれからの事も一端白紙にしよう。
あそこは見る物が一変し、考え方も変わるだろう場所だろうからな」
そうしてファストトラベルでたどり着いたその場所は
標高が高いと言われただけあって確かに高い場所だった。
というかそこは本当に山のてっぺんのがけっぷちで
周囲に人家がないのは元より木や草などの植物すらなく
まわりにあるものと言えば白い雪ととんがった山々だけ。
おまけにキャンプ地と言っても風通しの良すぎる雨よけテント一丁なので
常識的に考えて突然のいきなりで来るような場所ではない。
「うぐぐ・・・寒い。さすがに寒い。
服着てて悪魔じゃなければ凍死してるんじゃないかこれ・・」
「そうか、そういえばそう言った概念があったのをすっかり忘れていたな」
こういった場所には慣れているのか、それともただ鈍感なだけなのか
服の上から腕をこするジュンヤをよそにカルメラはいたって平気そのものだ。
「寒いならそこに火があるのであたってくれ。
だがそのそばにある荷物袋はあさらない方がいい」
「なんだ、他のヤツの持ち物なのか?」
「いや、このキャンプの所有者はもういないので犯罪にはならないが
そこにはその所有者が入っている」
・・・・
「・・・え、今なん・」
引きつった顔で意味を聞きかけたジュンヤの耳を
ダンテがとっさにばしっとふさぐ。
それは一瞬聞き流してしまいそうなくらいさらっと言われたセリフだが
意味がわかるとあまりに恐ろしい気がしたからだ。
「・・・念のために聞くがそれはジョークか?黒い方の」
「いや残念ながら確認済みの事実だ。
その中にあった書記によると、このキャンプを使用していたある夫婦は
この近辺にいたトロールの討伐に来て逆に殺されてな。
妻の方は先にトロールに食われ
夫の方は私がトロールを討伐した後、近くで遺体を確認した。
一応それなりの武装はしていたようだが、力及ばずだったらしい」
「・・・・・・」
「そのトロールは私がここへ来た時、たまたま退治したのだが
その死骸から使える物を採取していた時に
先に食われていた妻の方がまだ消化されず体内から出てきたので
気の毒に思ってまとめてそこへ・・」
「よしOK。わかった。絶対にあさらないからこの話はここまでだ」
なんとなく想像はついたがそれをわざわざ確かめる気はダンテにはないし
耐性のなさそうなジュンヤにそんな悪い意味でのR指定を見せられない。
普段はいい加減でヘンなところに大人げないダンテだが
ここぞという時彼は大人だ。
しかし前の黒こげ死体にしろここの話にしろ
なんで高い所には死体が残っているのやら。
あぁ、腐りにくいし処理するヤツがいなからかとダンテは自己完結した。
「・・それよりこんな所に来て一体何があるっていうんだ?」
「そうだな、時間は間違っていないし
天気も晴れているから大丈夫だとは思うが」
そう言われて空を見上げると
空はまだ夜なので前に見た多すぎるくらいの星空があり
視線を移動させると名前もわからない惑星もちゃんとある。
だが下を見下ろすと近くには街があり、そのさらに奥の方には
コロールから見えなかったかなり規則正しい建造物が見えた。
「?・・カルメラさん。あそこに見えてる建物って・・」
ジュンヤが指したのは遙か向こうに見えていた高くて白い塔と
それを囲むようにしてある円状の建造物群。
それは以前地図上でしか確認しなかった、この世界の中心だ。
「あれは帝都。この世界の中心であり、基礎的なものが集まる大都市だ」
「・・地図でしか見てませんでしたけど
こんな遠くからちゃんと綺麗に見えるんですね」
「店舗は充実しているのだが、区画が多くて迷いやすいのが難点だな。
それとあちら側に別枠の建物があるだろう。
あそこが魔術師ギルドの総本、アルケイン大学。
その反対にあるのが帝都獄舎。元々私がいた場所だ」
「・・はい?」
その何気ないカミングアウトにジュンヤが固まるのもかまわず
あんまりそう見えない元囚人さんは遠くを見るようにさらに続ける。
「何の罪だったかもう忘れてしまったが、冤罪だったと思う。
ただ服役中それどころではない事態に巻き込まれて
結局のところうやむやになってしまったがな」
「なんだ、アンタ脱獄犯だったのか」
遠慮もなにもないド直球なその台詞にジュンヤは飛び上がりかけるが
言われた本人はなんでもなさげにこう返してくる。
「失敬な。一応その時居合わせていた
しかるべき組織の者に縄は解いてもらっている。
それ以後だな。各地を点々と渡り歩き、今の状態になったのは。
しかしさすがにあれ以上の経験はそのあたりに落ちてはいないな」
そりゃ確かに牢屋からの脱出が始まりだなんて劇的すぎるが
ジュンヤだって悪魔になった時の事は
正直グロくて思い出したくもないが劇的な話だったと思う。
いや、考えてみれば悪魔になってから普通だった事の方が少ないくらいで
今までにあったあれやこれやで自分の普通な感覚が
麻痺してきたんじゃないかとさえ思えてくる。
「・・・あぁ、来たぞ」
そんな事を考えているとカルメラがある方向を見ながらぽつりともらす。
その視線を追ってみると、それはなんの変哲もない山の方向だ。
しかしそこからはうっすらとした光がさし
夜空を埋め尽くしていた星をじんわりうすめるかのように徐々に光を増していき。
「・・あ」
そうして山の向こうからちらりと顔を出したそれに
ジュンヤは思わず声を上げた。
それは朝日だ。
夜に見える惑星からしてそれを太陽と言っていいのかどうかはわからないが
それは大きさや見た目、暖かさや光の加減からして
地球にあるものとほとんど変わらない、まごうことなき朝日だった。
それは山の向こうからじりじりと顔を出し
少しづつ少しづつ、じらすように空に上がってくる。
それにつれて夜の星は明るさにのまれていき
白い雲と青い空の景色と入れ替わっていく。
よく見ていないと気付かないようなその変化を見ながら
ジュンヤはぽつりとつぶやいた。
「・・夜の空は違っても、昇る日は同じなんだ」
「・・らしいな。今の今まで気付かなかったが」
「君達の世界にも夜明けはあるか」
「・・はい。今はないけど、少し前にはちゃんとありました。
さすがにこんなにじっくりとは見たことないですけど・・」
そうして言葉をかわす間にも朝日はすこしづつ移動し
薄暗かった大地をじわじわと照らしていく。
それはまるで焦らすような現象だったが
それは逆に思えば誰にも阻止する事のできない当たり前の摂理だ。
そしてそれはこれから先、ずっとずっと自分達に関係なく
昇るのと沈むのを繰り返し、時間を刻んでいくのだろう。
その時ジュンヤはふと思った。
ボルテクスに朝日はないが、元の東京では当然ながらにあったはずだ。
いや、それは東京に限った話ではなく、世界のどこでだってあった。
ただ自分はその場所から放り出され
そこからも再度はじき出されてしまった。それだけの事なのだ。
そうしてその結論に当たった時
迷いのあったジュンヤの意思が別方向でかちりと固まった。
あれだけ迷った事の結論がこんなに簡単だったとは妙な話だが
ともかくそれは思う間もなく勝手に口から滑り出ていた。
「・・カルメラさん」
「ん?」
「俺、やっぱり帰ろうと思います。
俺の帰ろうとする世界にこんな景色はないけど
あれをあのまま置いてちゃいけない気がするんです」
くるりとこちらを向いたバケツ兜の中の視線がジュンヤを見る。
始終どこか不安げだったその少年から今までのその様子は消えていた。
「だって悔しいじゃないですか。
俺があっちこっちで押し流されて四苦八苦してるのに
どこの世界も何も変わらず、何事もなかったみたいに平気な顔で
こうして朝と夜とを繰り返して、あっちの様子もわからずじまいで
それって・・なんだか悔しいですよ」
それを横で聞いてたダンテが口元だけで笑った。
この少年、自分をしかる時以外はおとなしいが
時々そのおとなしさに似合わない事を言い出す事がある。
「俺がどうにか出来る範囲なんて、たかが知れてるかもしれない。
でも俺は元の世界で俺のやれる事を最後までやりたい。
あっちにもこっちにも『お前がどんだけあがこうが
おれは関係ねーよバーカ』とか言われそうですけど
でも俺は逆らいたい。
バカげてるかもしれないけど、そうしたいです」
バカげていると言えどもそれはちゃんとした意志だ。
魚が川の流れに逆らって泳ぐように
鳥が遙か遠くへ長い旅をして渡るように
この少年は平和的な性格だけではなくそういう所もちゃんとある。
ダンテは1つ笑ってその頭をぐしゃりと撫でた。
「・・夜明けってのはちゃんとした地上にいれば曇っていない限りどこでも見える。
どんなウンザリする掃き溜めでも、クソみたいな場所でも均等にな」
戻ろうとするあちらの世界は地上であって地上でないが
それを蹴破ろうとするその意志はあの偽物の太陽に通用するはずだ。
「逆らってみるか相棒。
誰に強制された話でもないが、やるならもちろん付き合うぜ」
「・・ダンテさんが言うと不敵で不吉に聞こえるけど
そうする。このまま流されっぱなしってのも腹が立つし
このままこっちで平和に暮らすのも悪くないんだろうけど
それじゃ俺が今まで向こうでやってた事が無駄になりそうだし」
「なら決まりだな」
ダンテとしてはどっちでもいいとは思っていたが
やっぱりこうしてちゃんと決めてくれた方がやりがいは違う。
こんな方向でいい当たり方をした依頼もなかなかない。
そんな事を口に出さずに思っていると
その様子をしばらく見ていたカルメラが
少しして兜の中から少しほっとしたような声を出した。
「・・良い答えだ少年。これで私も決心がついた」
そう言った彼女の口調から疲労や迷いは消えていた。
ここへ来て今の言葉を聞いてどんな心境の変化があったのかはわからないが
とにかく彼女の意思はジュンヤを戻すという方向で固まったようだ。
「世界に逆らう・・か。
確かにバカげているように見えるが、なかなかに面白い」
「そいつは魔術師方面での興味ってヤツか?」
「そうだな。それもあるが・・うむ。まぁこれ以上言うまい。
君がそう望むのなら私も腹をくくるのがいいのだろう」
「?」
その言い方に妙な含みがあったのが気になるが
カルメラは明るくなっていく世界の中で1つうなずき
最後の確認をしてきた。
「私は最後の可能性に望みをかけ、行動に出る。
今回は少しばかり時間がかかるだろうが・・待てるな?」
「はい!お願いします!」
そのしっかりした返事にカルメラはうなずく。
と、その横で見ていたダンテが背負っていた借り物の剣を抜いて差し出した。
「だったらコイツは返しておく。様子からしてデカイ山に当たるんだろ?」
「・・そうだな。必須とは言えないがあった方がよさそうだ」
そうして豪華な剣を背におさめたカルメラは
ずっと登り続けている朝日を再度眺める。
・・私の踏み出すこの先の一歩。
吉と出るか凶と出るかまだ未知数だが・・
前へ進まなければ始まらない・・か。
その思いは少し前まで迷いとしてぐるぐるに渦巻いていたものだが
今はかちりと方向性を決めて一点だけを向いている。
一人では気付かなかったもの・・か。
人の気持ちというものは不思議なものだ。
そしてそんな思惑とはまったく関係なく
朝日はなにくわぬ顔をしながら世界を色彩豊かに照らし始めていた。
ダイビングロックの話はいい弓が手に入るけど
それなりにグロいのでご注意を。
どこかのバカ(リアル弟)はそのパーツ類をいたく気に入り
人様の城の中で大増殖させて喜んでましたが。
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