13. 関係あるとかないとか
ガタコンガタコン ガチャガチャガチャガチャ
ゴゴゴゴゴ ぎゅいーんぎゅいーん
ついこの前まで複雑でも静かだったその場所は
今は何のために動いてるのかわからないような物体があちこちで動き
移動しにくかったり場所によっては害を与えてきたりと
すっかり物騒な場所になっています。
レイダはその何のためにあるのかわからない物体をわぁわぁ言いながらも器用によけ
それでもちゃんと出てくる悪魔はきちんとしとめながら後ろをついてきます。
そのあたりは別に今まで通りでしたがバージルの様子だけはちょっと違いました。
まずまったく喋らない。次にこっちを見ない。
けどなぜかむき出しのとがった歯車や通路でスライスしてる刃にはたまに当たり
文句も愚痴も何も言わず、ただただ黙って先へ進もうとするばかり。
最初は考え事か気むずかしい状態なのかなと思っていましたが
ほおっておくとどんどん勝手にケガをして危なそうなので
レイダはしばらくして強行手段に出ました。
「ねぇちょっと」
だしっ びたん!
赤い鳥を倒しきり歯車の上に飛ぼうとした青いコートのはじが踏まれ
バージルは棒のようにまっすぐにこけて前半分をまんべんなく強打しました。
でもそのままジャンプしていても踏みだし
位置まちがいでその先の歯車に斬られていたので
どっちにしろ痛いのには変わりありません。
でもどっちにしろなにしやがんだこの野郎・・
いやこの場合野郎じゃなくてこの女とばかりに睨まれましたが
その女の人は強烈に睨まれたのにカケラも怯まず
ごつい弓で肩をとんとんたたきながら呆れたような声を出しました。
「さっきからどうしたの。
急いでるっていうよりは何かを意地でも気にしたくないって風だけど」
余計な事にカンを働かせやがってこの野郎、じゃなく野郎みたいな女とか思いつつ
バージルはせっかく忘れようとしていた事を蒸し返され
打ち身の分も含めてじゅうと赤くなりました。
でも残念ながらこのざっくばらんな女の人に
男心を理解できる脳は搭載されていません。
「?もしかしてトイレ?小の方ならそこらで適当にしても・・」
「違う!!そしてするか!!」
この脳筋女!と続けざま怒鳴ろうとしましたが
その拍子に見えたのが座り込んだ高度差の関係でその領域だったため
バージルは再度赤くなるのと同時にぶんと顔をそらしました。
だからなんなんだお前は。どうして全身くまなく防具のくせにそこだけが開いてる
いや確かにそこはよく動かす部分なのでわからなくもないが
せめて布地でおおうとかなんとかもっと他に方法があるだろう
ジャージとかジャージとかジャージとか・・
軽く混乱していたため例えがジャージしか出てきませんが
そういった事にまったく無頓着なその人は首をかしげるばかりです。
「じゃあなに。何を1人であぶなくなるくらいに考え込んでるの」
「だからジャージ・・!・いや違う!とにかく色々と・・その・・!
えぇいとにかく要約しても貴様になど言えるか!!」
「ふーん」
その何でもない返事にバージルの背中が急激に寒くなりました。
でもはっとした時には手遅れです。弓を素早くイカリ型ハンマーに持ち替えたその人は
ぶんと躊躇なくそれを振りかぶり、Uの字型の所に彼の腹をがしっとひっかけ
どごんと豪快に、でもすごく上手に地面に叩き付けて
逃げられないように固定しました。
それはまるで釣り針にひっかけられたエサの気分ですが
レイダは気にする様子もなくその上にガンと足をかけ
笑ってるけど気配が怖いという何か不気味な笑みをうかべました。
「んで?どれだけドジ踏んでケガをしようが気にしなくなる何かって何?
できればでいいから教えてほしいんだけどなぁ」
「でッ・・できればも何も・・!」
言い方は柔らかいけれどこんな状態で譲歩してるように見えないのはもちろんとして
そんなの彼的に言えと言われて言えるものではありませんし
言っても恥ずかしさと情けなさがかえって倍増するだけです。
そう思って必死でもがいてイカリ型ハンマーをどかそうとするものの
変な体勢で縫いつけられたためそれはピクリとも動かせず
こんな性格なので傷付けたり殺そうとしてきたりはしないでしょうが
それより何かが非常にマズイとバージルはあせりました。
「ほほう、言えないの。
そんでこれから先ずーっとそれ抱え込んで黙っていくつもりなの」
それがぐいと身を乗り出してきておでこがくっつきそうな距離で止まり
バージルは上げかけた悲鳴を喉の下ギリギリで止めました。
そしてそれがとても間近でにっと笑い、ひょいと元の位置に戻ったかと思ったら
固そうな篭手を組んでめきめきいわせ。
「じゃあ吐かそう。今後のために後腐れないよう洗いざらい」
そしてその時彼ははじめて気がつきました。
ウソでもいいから適当な事を喋っていればいくらか助かっていた事を。
でも知恵はあっても真っ直ぐな彼にそんな事ができるはずもなく
めきめきいってた固そうな篭手がぐいんと後ろに引かれ
それがどこか楽しそうに叫びました。
「必殺!!クシャナフィンガーー!!!」
「(絶叫と悲鳴が入り交じった表現しにくい声)−−!!!」
それはこの手が真っ赤に燃えてて轟き叫んでそうに聞こえますが
要は神経痛覚がある人なら誰でも嫌がるくすぐり攻撃です。
ちなみにクシャナとは古龍種のクシャルダオラという生き物の事で
鋼鉄のごとき甲殻と物理攻撃を流す強風をまとうそれなりに怖い龍で
こんな話の引き合いにだされるいきものではないのですが・・
まぁともかく単純だけど想像するにも恐ろしい攻撃を受けたバージルは
文字にしにくいいろんな声を出したくって喉を枯らしそうになりながら
隠しておきたかった事を色々強制的に白状させられました。
しかしふとももがどうとか感触がどうとか何とかを言われた所で
肝心の男心がわからなければそんな話1ミリたりとも理解できません。
そりゃちょっとは行儀悪いかとは思ったけど緊急な話だったし
上手くいったから別にいいじゃないとか言いつつ問題のそこをぼりぼりかいたら
息も絶え絶えだったのにもかかわらずこっぴどく怒られました。
「だからそんなに怒ることでも気にすることでもない・・ってあれ?
じゃあこれってただのいじめ損にならない?」
「全て終わりきってから気付くなぁ!!どかせ!放せ!この節穴マシュマロ女!!」
「?あぁはいゴメン」
うっかりもらした問題発言は幸い意味が分からずスルーされ
ずこっと引っこ抜かれたハンマーの下から転がるように脱出したバージルは
転がりすぎて近くで回っていた歯車にぶつかりかけますが寸前で止まりました。
「お、でも無闇にケガしなくなったのは収穫かな」
「五月蠅いこの野蛮人!しばらく半径165p内に近寄るな!」
そう言うなりバージルはごりごり動いていていた歯車の上へ飛び
何かの装置をガンガン殴りつけてから逃げるように行ってしまいます。
許容範囲が微妙なのはともかくそれなりに元気になったからまぁいいやと
脳天気な人の頭の中は相変わらずの調子でした。
さて本編とはまったく関係ない絶対領域とかくすぐり攻撃のことはともかく
あらためてここでのクリア条件を確認してみましょう。
ここはさっき通路の奥で取った赤い石を3つ集め
昇降機にはめてそれを動かせばクリアです。
簡単に書いてしまうと2行で済んでしまいますが
実際はそう簡単にはいかないものです。
向きの変わった通路を歩き、大きなクモと戦い石の2つ目を取り
そしてあと残る1つとなった時、もう何度かぶち当たった問題がまた発生しました。
ガリガリガリガリガリガリガリ
「・・・・・・・・」
「よっしゃ頑張れファイト!・・と、言いたいとこだけど・・」
モヤみたいなタコみたいな悪魔を2人で手早く倒したはいいものの
その通路の奥で光る問題の石は、上下でガリガリ回る回転刃のいくつか向こう。
そこまで行くにはジャンプで行くしかありませんが
高く飛びすぎると上の刃に当たり、小さく飛ぶと下の刃を飛び越しきれません。
これが弟の場合ならスタイルを変えるなり魔人化して飛ぶなりすれば楽なのですが
ないものねだりと逆恨みをしていても仕方ありません。
バージルはとにかく弟の事を頭から叩き出し、意を決して飛びました。
そして早々距離がたらず足を切られてころび、転んだ拍子に背中もきりました。
「・・・〜〜!!」
「あのさ、この前みたいに・・」
「全身全霊をこめて断る!!」
そりゃ前みたいに大剣でばちんと叩き飛ばしてくれれば確実かも知れませんが
戻って来るにはどうせ自力で飛んでこなければなりませんし
そんな間抜けな方法で飛ぶ飛べないの状況を何度も乗りこえるのは嫌です。
なので結局バージルは自力でがんばりました。
計4回ほど上や下やらの刃に引っかかりましたが
それでもちゃんと奥にあった石を掴んで戻ってきて
帰ってきてどしゃと膝をつくなり頭をぐりぐりなでられました。
「よーしよし!よくがんばった!エライ!」
俺は犬かとバージルは思いましたがもう怒る気力もありません。
おまけにそれも結構悪くないとか感じるあたり
もう俺も末期だとかプラスなようなマイナスなような事を考えていました。
そしてそれから少し迷ったりしつつ昇降機を起動させ上へ登り
昇降機を降りたあたりでなぜか何もしていないのに塔全体がゴゴゴゴと振動します。
「わ、っとと、何?まだ何かやるつもりなのここ?」
「・・いや、おそらく本来の道で何かあったのだろう」
その余波で勝手に魔人化しそううになるのを押さえながらバージルは上を見上げます。
あのにっくきハゲはこの変な人の嫌がらせにもめげず先へ進んでいるようですが
もうその事に関しては腹も立ちませんし悔しいとも思いません。
だって横取りされて先をこされたとしても
その分を追いついて横からまたかっさらい返せばいいだけの話です。
「?どしたの。妙に楽しそうな顔して」
「・・フン。楽しくなどないが考え方を変えられたという点では感謝すべきだろうな」
「?」
「何を呆けている。行くぞ」
軽く首をかしげるレイダを置いてバージルはたぶんこっちだろうと思う方に歩き出します。
けどその時その考え方を変えられるというのは結構凄い事だったことに
さっさと歩いていく方もあわててその後を追う方も両方気がつきませんでした。
さてそこから先はまた先へ進むための鍵あつめです。
まず叩いて起動させるというわかりやすい仕掛けを動かし
上からドクロのつまった振り子のようなものを下ろして
それを壊して中から鍵を出さなければなりません。
ですがこの悪趣味な振り子、1人だと叩くごとにゆれ右往左往しなければなりませんが
2人だとはさみうちができて断然楽です。
「それいっち、にーの、さん!!」
がちこーんと両側から叩かれた振り子は逃げ場のない力でバラバラになり
中から次の扉の鍵になるものが転がり出てきます。
「よし、これをあともう一カ所だ。
次は2つ同時に降りてくるものを互いに衝突させて破壊する」
「はいはー・・って、2つもあったら1人の時どうやって壊すの?」
余計だけどもっともな質問に鍵を拾い上げていたバージルの動きがぴたと固まります。
彼は何も言いませんでしたがきっと1人だとすごく無駄に苦労するのでしょう。
「・・あぁ、いやゴメン。若い時に苦労するのも財産のうちってね」
「・・余計な事を見透かした上に優しい目で見るな」
でもちょっとイラっとしつつも次の仕掛けも苦労せずクリア。
前までの苦労は何だったんだとちょっと複雑な気分になりますが
喉元過ぎればなんとやらですし細かいことを気にしていたらこの世界は成り立ちません。
ともかく少し増えた悪魔たちを倒したり無視したりしながら走り
しばらくしてたどり着いたのは古びた本の保管されている蔵書の間です。
ですがそこに足を踏み入れる寸前、バージルはなぜか急に不機嫌そうな顔をして
後ろからついてきていたレイダの肩をどんと振り向きざまに押しました。
「え?な・・」
に、と言おうとした瞬間、目の前にできたのは時々見かける赤くて不気味な結界で
その向こうにいたバージルが素早く刀を抜き、何かを数個たたき落としました。
それは肉眼では見えませんでしたが間違いなく銃の弾丸で
それを撃った人物は少しして視界の悪い本棚の奥から姿をあらわしました。
今のバージルにその人間と戦う価値なんて1つもありませんが
その銃の持ち主には彼を踏み越えてでもやらなければならない事があるようで
一応戦うつもりはないという意思で刀を抜かないでいても
その真っ直ぐに向けられた銃口がおりることはありませんでした。
なのでバージルはそれに向き直り、刀の鍔をかちんと押し上げて
ダンテにレディと呼ばれていた人間との戦闘態勢をとりました。
「・・理由は聞かん。聞いたところで結果は変わらんだろうからな」
「そう、ありがとう」
とか言いつつも迷いなく引かれた銃の引き金を合図に戦闘が始まりました。
一体なんでこんな事になっているのかまったくわかりませんが
ムービーイベント類のほとんどない彼の道に理由やごたくはありません。
進む先に何かあれば乗り越えるかたたき壊すかのどっちかだけです。
そして金属音や銃声、たまに爆音などがひびくようになったその入り口付近では
ただ1人直前で閉め出されたハンターさんがおろおろしていました。
中は暗くて本棚が複雑にならんでいて視界が悪かったのですが
その中を自在に移動し小さな飛び道具をバージルに向かって撃っているのは
名前までは知りませんが確かあのシンプルなハゲの娘さんだった人です。
「んえ?なんであの子が襲いかかってくるの?」
しかしなんでと言われてもそういう仕様なので仕方ありません。
とにかくなんでかわかりませんがバージルとあの女の子は
狭くて見通しの悪い場所で真剣ドンパチをおっぱじめています。
「ちょっと、なんでよ。どっちも何も利点ないでしょ?
しかし・・止めたいけどこれって近づいたら・・わわ・・」
止めに入りたいけれど入り口をふさぐ赤い結界は
近づくと大きな手になってこっちを掴もうとしてくるのでうかつに近寄れません。
ならどうするかと少し離れて考えますが、彼女の考える時間は短めです。
「・・ふむよし・・そっちがその気なら!!」
そう言って手にしたのは身の丈ほどある巨大な剣。
そしてポーチから何かを出し無造作に口に放りんでボリボリやりながら
ちょうど結界の手の範囲外から巨大な剣を振りかぶり
その剣がぶぉーんと不吉な音と光をたてはじめます。
その意思を察知した赤い結界が
一瞬青ざめたように見えたのは気のせいではありません。
そんな事が入り口付近で起こっているとはつゆ知らず
バージルはあちこちからくる狙撃や落ちてくる手榴弾をものともせず
的確にレディを追いつめていきます。
多少戦い慣れしているとはいえ相手はただの人間です。
さっきまで人間とは思えないような人間と一緒にいた事もあり
あんな小さな銃器や多少の爆発など屁とも思えません。
そりゃただのインパクト負けかも知れませんがそれもある意味正解で
とにかくバージルは確実に相手を不利な方へと追い込んでいきます。
「・・どうした、頑丈なのは覚悟と気概だけか?」
「うるさい!悪魔なんかに何がわかる!!」
「生憎俺はどちらでもないのでな。ゆえにどちらの常識も通用しな・・」
と言いかけてバージルは急に動きを止めなぜか一歩後退し
レディはしめたとばかりにランチャーをかまえました。
しかしそこで引いたのにはそれなりの理由があったのです。
ばきーーん!! ぶぉん どずーーーん!!
何かが割れたような音の後、空気をごっそりもぐような音がして
レディのかまえたランチャーの先ギリギリに桃色の物体が突き刺さりました。
背景であるはずの本棚に突き刺さって止まったそれは異常なほど大きな大剣で
それが飛んできた方向から見たこともない鎧を着た人間が歩いてきて
ズカズカと無遠慮に2人の間に割って入ってきました。
「はいはいそこまで。その子が仕掛けの一部だとか言うならともかく
ただ上に上がるだけにそんな事したって意味ないでしょ」
そう言うなりその妙な鎧を着た人間は妙な剣に手をかけ
うぎごごごとありえないような音を立てて
常識はずれに大きなそれを引っこ抜きにかかります。
そのあまりにいきなりで緊張感のあるようでないような出来事に
戦意をそがれたレディがぺたんと床に座り込み
それには目もくれずバージルが刀をおさめ訝しげに口を開きました。
「・・・貴様、入口の結界はどうした」
「攻撃力増強してため斬りで叩きわった」
「・・・・・」
「そんな顔しても出来たものはしょうがないでしょ。
それよりそんな真面目な顔して女の子をいじめない。
大体ちょっと見ればどっちが有利か不利かなんてわかってたでしょ」
「説明したところで聞く耳がなかったようなので正当防衛・・」
真面目に言い切ろうとした額に固そうな指ピンが当たり
バージルは軽くうめいてのけぞりました。
「えっと、とにかくゴメンね。あたし達ただ単にここ通るだけの通りすがりだからさ。
ただ普通に通してくれればそれ以上は文句ないから」
とか言って巨大な剣を背中に戻したそのヘンな人は
姿格好持ち物をのぞけばそこら辺にいる普通のねえちゃんです。
でもなんでそんなのがこの災いの大元と一緒にいるんだとか
なんでそいつが反論も反撃もせず赤くなったデコを押さえてムッとするだけなのかとか
色々疑問に思うことだらけですが
まず最初に口から出たのはそれを総合した基本的な疑問でした。
「・・・・あなた・・・一体何なの?」
「ん?何って・・えっーっと・・?いわゆるハンター?のはしくれ?みたいなもの?」
「・・聞かれた事が全て余さず疑問系になっているが」
「いやだってこっちじゃ狩りってほどの事もしてないし
元の場所でもそうバリバリ狩猟してる方じゃ・・あれ、ちょっとどこ行くの」
「時間の無駄だ。先を急ぐ」
「え、でもこの子はどうするの?」
「見ての通り貴様のおかげで戦意喪失だ。捨てて置け」
かかって来ないならそのへんのオブジェと同じとばかりに
バージルはまったく興味なしとばかりに奥へ行ってしまいます。
レイダは軽く肩をすくめた後、レディの前に膝をついてこんな事を言いました。
「・・ま、色々あるだろうけどしばらく休んで落ち着いたら上へおいでよ。
ここでじっとしてるよりその方がいい気がするからさ」
「・・?」
何それと思い怪訝そうな顔をすると
青いコートの消えた方向からコンコンコンと苛立ったような音が聞こえてきます。
「っと、じゃあね。急がなくていいし気が向いたらでいいから」
そう言ってその妙な人は小走りにその音の方へ行き、すぐ見えなくなりました。
それと同時に苛立ったような音もしなくなったので
やっぱりあのヘンな鎧の人はあの青い男の連れなのでしょう。
レディは色々とワケが分からなくなってきましたが
でも確かにここで全てが終わるのを待っているわけにはいかないような気がするので
体力が回復するのを待ち上へ登ってみようかと思いました。
「・・それにしてもヒドイじゃない。
普通女の子相手にあそこまで執拗に刃物振り回したりする?」
「出会い頭に寸分のくるいなく頭部を撃ち抜こうとしてくるのはヒドくないのか」
「・・む。でもよくない。いくら強くたって女の子に暴力はダメ。男として」
「・・・・・・・」
「?なにその不満げな目は」
「・・いやいい。もう慣れた」
「む、なにまたヘンなこと考えてるつもり?」
「!!・・な、よせ、その手は何だ!その行為はヒドくないのか!
大体貴様っ!性別が言うに同じ女の分際でやめろおぉぉぉーーーーー!!!」
トラウマ。
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