5.お怒りと奥の手
全員吠え落とされて踏まれかけるというドジ・・もとい想定外からなんとか逃げ帰り
回復と武器の調整をすませた3人は次のエリアの一番はじ
つまり次にラオシャンロンが出てくる場所で待ち伏せをする事にしました。
しかし肝心のラオシャンロンはまだ姿を見せていないので
武器の手入れを済ませた兄弟達には他にすることがありません。
強いてあるならレイダが暇つぶし用に持ってきていた焼き物セットで
じりじり肉を焼いているのを二人して眺めるくらいです。
「しかし・・・アンタのそのワイルドさというか男らしさというか
大の男をかついでベッドに投げつける行動力ってのは
独り身が長いせいなのかこっちの流儀なのかどっちだ」
その言葉通り、キャンプのベッドに投げ込まれて強制的に回復したダンテは
じりじり色のついていく肉をヤン●ー座りでにらみつつそう聞きますが
あまりそういった事に気が利かないハンターさんは
肉から目を離さないまま怪訝そうな顔をしました。
「・・ん?つまり何が言いたいわけ?」
「緊急時だってのは分かるがな、自分より小さいヤツに軽々とあつかわれると
オレの男としてとか仕事屋としてとかその他もろもろのメンツってものが・・」
「元からない」
パン!ガチン!
コンマ数秒で撃たれた弾はほぼ同時くらいの速さで抜かれた刀の刀身に当たり
綺麗に半分になって後ろへ飛んでいきました。
「・・テメェ・・元はと言えば誰のせいだと思ってる」
「『不可抗力ってヤツだ。小さいことだから気にするな』」
「オレのマネで言うな!なまじ似てるから余計にハラ立つ・・!」
「はーいはいはい。ケンカはいいから今のうちに腹ごしらえして。
はい肉。魚は今焼くからちょっとまってね」
そう言うなり投げてよこされた肉を受け取ってダンテは黙りました。
見るとさっきまで体育座りをしていたはずの兄がきっちり正座して
律義にイタダキマスと言って巨大な肉に何の躊躇もなくかじりついています。
何だか色々釈然としない気分で問題のハンターさんに目をやると
最も細かい事を気にしないその人は次の魚をじりじり焼きながら苦笑しました。
「まぁ何むくれてるのか知らないけどさ
お腹ふくれればちょっとは気分が変わるんじゃない?」
別にお腹が空いて怒っているわけではないのですが
そう言われると何だか自分だけ調子はずれなのもバカらしくなり
ダンテは受け取った肉をじーと見てから黙って食べ始めました。
そしてそんなつもりもなかったのですが食べている間にだいぶと気分は落ち着いたようで
次に焼いた魚を食べるころには兄の下敷きになったことや軽々担がれた事は
すっかり頭から消えていました。
そしてそんなメンツが谷底で顔をつきあわせて肉を食っているというのも
横から見ればかなり妙な光景でしたが、とにかく最後に案内人のハンターさんが
自分の分を手早く食べて準備万端です。
「よっし。それじゃ次のラウンドといきましょうか。
保険はきかなくなっちゃったけど、要は根気よく殴り続けて
踏まれたりしなければ何とかなるでしょ」
「・・しかし楽観的なハンターさんだ。
それで今まで生き残ってきたってのが心底不思議だ」
「あるいはその感性がここで生きるため必要な要素なのかも知れん」
「へぇ、アンタの口からそんなロマンある発言が・・」
ズシーン ズシーン
と、また口喧嘩になりそうな事をダンテが言いかかった時
谷間の霧の向こうから聞き慣れた音が響いてきました。
そして霧の中から見えてきたのは何度も見たあの巨大な鼻先です。
それぞれに武器を構えて立ち上がり、最後に弓を組み立てたレイダが言いました。
「さぁ来た。それじゃがんばって帰ってもらえるくらいのダメージ与えないとね」
「先に聞いておくが、追い返すために必要な蓄積ダメージはどれほどだ?」
「50%って話なんだけど、アレは他の龍と違って弱った時に
ヒレがねるとか足を引きずるとかいうリアクションがないから
いつが弱ってる状態なのか帰ってくれるまでわからないのよね」
「・・聞けば聞くほど不便なヤロウだ。帰ったら迷惑料として一杯おごれよ」
「おー!一杯でも十杯でものぞむところだ!」
「望むな」
そうされると一番とばっちりをくらいそうな兄が短く切り捨て
スタートの合図のように飛んだ矢の下を兄弟達が走ぬけて
あまり効いているようには見えない地味な攻防がはじまりました。
しかしもうかなりの数や時間斬りつけたというのに
ラオシャンロンはツノや甲殻をちょっと落としただけでまるで止まろうとする気配がありません。
きちんと斬れば血も出るし時々のけぞったりもするのですが
それ以外にほとんど変化がなく本当に追い返せるかどうか疑問に思えてきます。
「しかし・・!腹が立つほどに動じないハ虫類だな。
ここまでやってもまだ先に行こうとする理由が知りたくなってくる」
「あぁ、それ多分Uターンするのが面倒か
帰ろうにも方向転換できないからだと思うな!」
「?待て。その理屈が正しければ追い返すという依頼は成立しない」
「いや一応最後のエリアに逃がすための別ルートが作ってあるのよ。
そこである程度の嫌がらせを続けてれば方向を変えてそっちに進んでくれるはず・・
って、壊れないなぁ肩!徹甲榴弾でもないとダメかコラー!」
まったく変化のない破壊部位にもさすがに飽きてきたのか
矢を射る手を止めないままレイダが苛立ったように言いますが
元からこんな巨大怪獣に原始的な弓矢で挑もうとするのが
間違っているのだとダンテは思いました。
が、自分の事を棚上げして振り下ろした剣がふいに空振りし
ダンテは思いがけず数歩たたらを踏みます。
「おっと・・と」
「?何をやって・・う!」
しかし注意しようとしたバージルの攻撃も空振りし
思いがけず早くやってきた大きな足が砂煙をが巻き上げバージルは慌てて後退しました。
見ればさっきまでタイミングよく攻撃できていたはずの目標が
それとはまったく別の動きで進んでいくではありませんか。
「・・オイ、何か妙じゃないか?」
「進行速度にズレが生じている・・おい!」
「っとと!気を付けて!今怒ったから歩くスピードがあがってるよ!」
外側から矢をはなっていたレイダが走りながらそう声をかけますが
そうしている間にもラオシャンロンは今までにないスピードで
ずんずんずんずん前へと進んで行きます。
「速度以外変わったように見えないけど歩行スピードが上がるのは怒った証拠なの!
とにかく怒ると歩くのが速くなる上に攻撃力も上がっちゃうから
絶対に踏まれたり引っかけられたりしないように・・うわぷ!」
などと言ったそばから大きな足が砂を巻き上げ
慣れているはずのレイダも危うく引っかけられそうになり
バージルが一瞬反応して走ろうとしますが、ダンテに止められました。
「待て。あの姐さんもプロだ。そう簡単にくたばらない」
「・・・わかっている!」
「それよりタイミングの計り直しだ。欲張りすぎて轢かれるなよ!」
「言われなくとも!」
弟に諭されたのは少しシャクですが、言うことはもっともなので
とにかく今は目の前に集中する事を考え
バージルは動きの速くなったラオの頭に向かって走りました。
しかし怒ったラオシャンロンというのは速くなった以外にあまり変わりはないものの
先程と比べてあまり攻撃を当てている隙がなく
止めることのできない巨体だけがどんどん前へと進んでいってしまいます。
力ずくで止めたい所ですが、踏まれたダメージも多くなっているというなら
あまり無茶もできません。
そんなもどかしさの中で3人とも黙って攻撃をしていましたが
ふいにダンテがバージルに聞こえるくらいの声でこう切り出しました。
「なぁオイ、思ったんだがこの場合・・奥の手を使った方が早くないか?」
「・・奥の手?」
「アンタが最初に使い出したんだからできるだろ?親父の方の力」
ダンテはハッキリと言いませんでしたが
それは2人が父親の方から受け継いでいる共通の力、魔人化という力の事です。
それはあまり長時間は使えませんが、攻撃力と速度を飛躍的に上げる
2人のちょっとした奥の手でした。
ですがバージルは少し考えるような顔をした後
斬り上げて下ろす動作をしてからぽつりと一言。
「・・却下だ」
そのどこか言いにくそうな物言いにダンテはおやと思いました。
様子からして使えないと言うわけではないようですが
それをしないというのは効率の悪い戦い方を選ぶという事になり
現実的な兄の選択とは思えません。
「・・なんでだ。アンタの性格からしてこんな地味な戦い方を
長々するのは嫌気がさしてくるんじゃないのか?」
「奥の手だというなら今使うべきではない」
「しかしこのままジリ貧のままで突破されるのも・・」
「使いたいのならば勝手にしろ。俺はいい」
そう言ってまるで乗ってこようとしないバージルに
攻撃の手を休めないままダンテは眉をひそめましたが
その時少し遠くでずっと弓を引いていたレイダから次の指示が飛んできました。
「おーい!この先にバリケードがあって
そこを壊しにかかると巻きぞえ喰らっちゃうからそろそろ引こう!」
そうして結局あまり当てられなかったなと思いつつ
2人は同時にその場から離れようとしたのですが
その途中、ダンテはバージルが力を使う事にしぶった理由に思い当たり
「・・もしかして理由はアレか?」
と言って走りながら弓を引いているレイダを指しました。
するとバージルは一瞬顔を引きつらせ足を引っかけようとしてきますが
ダンテはそれをギリギリでかわしそれが正解なのだと意外ながらに納得しました。
というのも魔人化は能力を飛躍的に上昇させるかわりに
姿がかなり人間離れしたもの、つまり悪魔に近い姿になってしまうのです。
効率の悪い方を選んででもそれを使いたがらないということは
つまりはそう言う事なのでしょう。
「・・こりゃ意外だ。まさかアンタがそんな事を気にするとはな」
「五月蠅い愚弟。そもそもあれの前では昔何度かやっている」
「?だったら別に気にすることないだろ」
するとバージルは少しダンテを睨んでから
少し顔を曇らせ自分の手を見ました。
「・・今と昔では事情が違う。内面的にも外見的にもな」
それは心情的な変化もあるのでしょうが
外見的というのは昔に比べて姿がより悪魔に近くなった事をさすのでしょう。
ダンテはそれもそうかという風に軽く相づちをうって
なぜかそれ以上何も聞きいてきません。
ですがそうされると逆にバージルの方が不思議になり
疑問の目を投げかけると、ダンテは走りながらこう返してきました。
「実はまだオレもアイツの前ではやってない。
理由は多分、アンタと一緒だ」
そう言ってダンテは目を見開いたバージルの背中を軽く押し
ぶうんと飛んできた大きな尻尾を一緒に回避しました。
「けどな、あのワイルドなハンターさんも、アンタがなついてるオレの相棒も
元はといえばオレ達を愛してくれた母さんと同じ、人間だ」
「・・・・」
ズシーンズシーンという音が遠ざかっていく中
バージルはしばらく黙って抜き身だった刀をぱちんとしまいました。
言われてみれば自分の本当の母親も、今親代わりの少年も
自分の姿がどうであってもほとんど態度を変えてはいません。
かすかに残っている昔の記憶でも、思わず何度かやってしまった後に
あの脳天気なハンターさんがそれで態度を変えた記憶はありません。
とはいえやはりバージルは不安でした。
昔ならこんな不安に駆られる事などなかったでしょうが
やはり人の世界に長くいてあの少年のそばにいた事が原因でしょう。
けれどその不安のうちの数割は、彼自身もレイダもほとんど覚えていないのですが
一度魔人化した状態で追いかけられて剥がれそうになった事が影響しているのでしょう。
そしてその不安の元凶たるハンターさんが弓をしまいながら歩いてきて
どことなく様子の変な2人を見てちょっと首をかしげました。
「?どうしたの?もしかして軽く踏まれでもした?」
「どうやったらあの巨大なおみ足で軽く踏まれるなんて芸ができるんだよ」
「あはは、それもそうか。・・で、そっちの兄貴の方
なんだか元気ないみたいだけど平気?」
変なところでカンの鋭いレイダのその一言に
バージルは一瞬ぐっと言葉につまったような顔をし
黙ってさっさと行ってしまいました。
「?どうしたの?もしかしてお腹の調子でも悪いの?」
「・・なに。あれはちょっと不器用な所があるんでな」
「?」
まぁオレも実はそういう事に関しちゃ器用な方でもないんだが。
と心の中で付け足してダンテはその後を早足で追いこそっと横から。
「・・オレもいつかはバラすつもりだが
情が重くなるなる前にやった方が楽じゃないのか?
とくにアンタは愛情表現が極端っ」
黙って飛んできた肘鉄に黙らされた弟を放置し
兄はさっさとキャンプに戻ってしまいます。
昔に比べれば話せるようになったかと思っていましたが
やはり兄は気むずかしいままのようでした。
「・・・今も昔も・・世話の焼ける兄貴だ」
じんじんする脇腹を押さえつつダンテは苦笑いし
もう慣れたレイダに笑われながら背中を押されつつその後を追いました。
しかしそれをもし彼の相棒が聞いていたのなら
確実に蹴りを入れられていた事まではもちろん想像していませんでした。
どっちもどっち。もうちょっと続きます。
6.大きくもささやかな砦にて
キャンプからいくつも別れている道の最後を選び
赤くて大きいトカゲ(イーオス)のいる通路をぬけて
3人が最後にたどり着いたのはまさに最後の砦となる巨大な門の上でした。
そこには見たまま古風な大砲や巨大なボウガンのような物が設置されていて
ちょうど真下がラオシャンロンの通ろうとするだろう巨大な門になっていました。
「さて、ここが書いてその名の通り最後の砦になるわけだけど・・・ダンテ君」
「・・・・」
しかし呼ばれたダンテは砦のある一点を見たまま無言のままです。
それは砦の門の上にあった丸い何かで、いかにも何かありげな形をしています。
レイダは無言で地図を出し、くるりと丸めるとダンテの耳元へ向け。
「ダンテ!!」
「ッ!何だいきなり!おどかすな!」
「・・あんたが話を聞かないって事はなんとなくわかってきたけど
まず先に言わせて。そこにあるそれ、絶っっ対にさわらないでね」
そう言ってレイダが指したのはダンテがさっきから話も聞かず
ずっと凝視していた何かの装置です。
それは門の真上のまん中にどんとあって
見た目には巨大なボタンのような形をしていました。
「それ、対大型用の武器を出すのスイッチなの。
威力は高いんだけど一回しか使えないからさわっちゃダメよ」
「・・押すとどうなるんだ?」
「門の数カ所から槍が出て門の前にいるのを攻撃する仕組みになってる。
ただかなり引きつけての一回こっきりしか使えないから
ホントに冗談抜きでさわらないでね」
するとダンテは数度まばたきをして呆れたように肩をすくめました。
「そんな念を押さなくてもガキじゃあるまいし、さわらないさ。
ちょっと押すマネくらいはするかも知れないが・・」
ですがその時黙って聞いていたバージルがその肩にぼすと手を置き
とてもマジな顔をして言いました。
「何かやりたければ好きにするがいい。ただしそれで何らかの失態が生じた場合
お前はその瞬間から『何やらせてもダメ太郎』に改名だ」
「・・・・・」
「あ、なるほど。ついでにラオの口ん中に放り込んで
失敗した分のダメージを腹の中で暴れて消費してもらうってのはどう」
「成る程、その手があったな。
消化される方が先かも知れんが、外殻を斬り続けるより効率が良さそうだ」
「・・・わかった。あやまるからマジな顔して話し込まないでくれ」
経験上、そこにある装置は起動させないと気が済まないダンテでしたが
ダメ太郎も消化もイヤなのでしぶしぶあきらめました。
「えっと、それはさておきとしてここからの注意点だけど
見ての通り、ここを壊されるか時間内に突破されるとあたし達の負け。
あっちにある別ルートに追い払えればあたし達の勝ち。簡単でしょ?」
「ルールとしては簡単だが・・いや、まぁいい(愚痴るだけムダだ)。
それでこの砦はあのデカブツに対してどれくらいもつんだ?」
「あたしの経験だと接触してから10分はもつみたいだけど
ラオが積極的に壊そうとしてくるなら誤差は出るからね。
耐久度の残りは%で見れるけど、それと残り時間とは上から報告してあげるから
気になるなら上へ合図するか怒鳴って。あとは攻撃と回避に専念してね」
「上って・・この高さから狙う気か?」
そこから下へはそこそこの高さがあり
矢を射ってもラオシャンロンの背中に当たるくらいが精々です。
しかしレイダは門の上に並んでいた色々な装置を叩いて言いました。
「ここの装置類も使いたいし、アレがこの下まで来ると門を押したり叩いたりで
動きが変則的になって弓だとちょっと狙いがとりにくくなるの。
立ち上がった時ならそう動かないから、その時の頭を狙うつもり」
「・・それはつまり今まで行っていた近接攻撃のパターンが通用しなくなると言うことか」
「そうね。あれが門の前まで来たら門と挟まれるから頭は狙えなくなる。
あとは踏まれないように上手く立ち回って足を狙うしかない」
「・・こんな最後でそんなギャンブルをしろってのか。最後までつくづくやっかいな岩山だな」
「あ、それともう1つ。咆哮されるとちょっとだけ動けなくなるから
急に動きが止まった時は注意して。できればガードを・・・できる?」
しかし昔ならそれぞれ反応が違った兄弟達は
ほとんど同じ動作で首を横に振りました。
「・・・ま、いっか。そっちもそうヘボでもないだろうし
一回くらったくらいで死にやしないでしょ」
「・・どこまでもお気楽な話だ。70m級のヤツを相手にしてるような気がしないな」
「勝てる気しないままで戦うよりはマシでしょ?
ほら早く行った行った。あっちの谷から出てくるからここに到達するまではお願いね」
「じゃあ装置のたぐいは任せるが、間違ってもオレに当てるなよ」
「あはは。ここにあるのは大型用だから当てる方が難しいって」
「待て。オレ、ということは俺には当ててもかまわないという事か?」
「ハ、なに当たり前な事確認し・・」
ゴッ
肩をすくめて鼻で笑っていたダンテは
砦の横にあった階段も段差もいっさい使わず
巨大な門の真上から真下までショートカットで蹴り落とされました。
「では行ってくる。残り時間と耐久度の報告は頼む」
「はい行ってらっしゃい」
すっかり慣れたのか横から見ると熟年夫婦にも見えるやり取りをし
バージルはちゃんと横にあった段差を飛び降りて行きました。
そして下で追いついたダンテと遠目で何か言い合っていましたが
しばらくしてあの地響きが聞こえてきたのですぐにやめ
谷の向こうからやってきた巨大な影に向かい一緒に走って行きます。
それを見送ったレイダは荷物の中からバリスタの弾という巨大な矢のような物を出し
砦の上にあった本体と合わせて調子を確かめながら
狩りの時に見せるちょっと不敵な笑みを浮かべました。
「・・さぁて。なし崩し的にここまで来ちゃったけど
どうせやるならキッチリ追い返さなきゃね」
そう言ってかつてここで何度も巨大な龍を追い返したハンターさんは
双子達に攻撃されながらもやっぱり進むことをやめないラオシャンロンに
大きなバリスタの照準を合わせ、鋭い目をしながら射程に入るのを待ちました。
思えばここは描写のむずかしい所でした。
次くらいで終われ・・るかなぁ。
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