それはへせべ(長谷部)が普通に廊下を歩いていた時、唐突にやってきた。

くんと何かに頭を押さえつけられたような感覚の後
転んだ覚えもないのに視界が半分以下にまでがくんと下がった。
もちろん殴られたような衝撃も気配もまったくない。
まさか何かの手違いで刀に戻ったのかとあわてて身体を確認するが
手も足も小さいながらにちゃんとあり、意思に合わせてちまちま動く。

?小さい?
ちょっと待て、なぜ小さい?なにが起こっている?

状況がわからずさすがに混乱するが
確認しようにも近くに大きい姿見(鏡)はないし
あったとしてもこんな低い目線では目視が難しいだろう。

へせべは短くなった腕を組んで考えた。
というのも彼の敬愛する主は『お前は賢いからな』と言ってくれているのだ。
今冷静に考えずしてなんとするだ。
合間に『わしが絡まなければ』という大事な文言が抜け落ちているが
そこは今まぁいいとしてとにかくへせべは考えた。

ざっとの感覚では身体が縮んだようだが、まず原因がまったくわからない。
体調も普通だったし熱もなければ咳もかゆみも眩暈もない。
衣服もそのまま縮んでいて身体のサイズに合っているし
圧縮されたにしても身体は重くなく視覚も聴力も問題ない。

そうしてしばらく色々と考えてみたが
ちょっと考えようが長く考えようが、彼の行き着く先は大体決まっている。

よし、主だ。とにかく主だ。主がいれば万事解決する。

そこそこなド●えもん理論を発動させ、へせべは主を探して歩き出した。
ただいつもと今の歩幅がかなり違うため、どれだけ懸命に足を動かそうが
周囲の景色がなかなかに進まず、歩くたびにぽきゅぽきゅと妙な音がするのが微妙に腹立たしい。

もういっそ転がって行った方が早いのではと短気を起こしかけた時
ふと近くにあった資料室の戸が開いている事に気がついた。

そこはいつも閉められているはずなのだが、開いているということは・・。

「主!おられますか!」
「お〜、いるぞ〜」

もしやと思い声をかけると、のんびりした返事が返ってきてくる。
身体は縮んだが声は変わっていないので不審がられてはいないようだ。

よし、よかった。これでダンゴムシの真似をせずに済むと思いつつ
短い手足を駆使してそこへ駆け込むと、いつもよりずっと大きく見える主が
本棚の前で何かの資料を読んでいるのが見えた。

通常ならば邪魔してはいけないのだろうが
そんな場合ではないと口を開きかけたへせべに主の視線が向けられてくる。

「・・お。なんだ。お前もかかったのかそれ」
「・・?も?」

その思いがけない反応の薄さに出鼻をくじかれていると
主の脚に何か見慣れないものがついているのに気が付いた。
それは少し汚れた白いかたまりで、虫のマユのように見えなくも

すたたた ガッ! コロコロコロ

なかったのだが、それが何なのかを一瞬で判断したへせべは
ものも言わずにそれに飛びかかり、主から強引に引っぺがすと
『うわぁかわいく豪快』という主の声をよそに、ちんまりしたまんば(山姥切国広)と一緒になってボールのように転がっていった。

「貴様・・その状態と近侍の同時悪用とはいい度胸だ。
 主の御前につき制裁は控える簡潔に申し開きを述べろ」

という声はドスが効いていてなかなかに怖いが
なにせ今は見た目がどっちも赤子サイズなので違和感がすごい。

とにかく形はどうあれ主のそばにいる事を全うしていたらしいまんばは
声だけ怖いへせべに馬乗られたまましばらく迷っていたが
やがて言う事の整理がついたのかぽつりと口を開いた。

「・・許可は・・一応もらっている。俺はあいつと一緒にいた時、こうなったから
 あの状態でここへ一緒に来た」

それは自分がここに来るまでにした苦労を考えれば理解はできる。
ただサイズの変わっていない主がいながら
どうしてそんな同行方法なんだと思っていると。

「・・最初はあいつが運んでくれると言ったんだが・・断った」
「?なぜだ」
「・・手を煩わせるとかじゃなく・・本当に運ぼうとしてきたんだ。
 ・・・その・・だっこで・・」

あ、なら仕方ないなとへせべはすんと納得し、掴んでいた布を離した。

それがもし自分だったら喜んで、むしろ望むところだの話だが
まんばの場合は欲よりも羞恥の方、つまり『恥ずかしいからイヤ』の方が勝ったのだろう。
すまん誤解していたというつもりでくしゃった布をきちんとなおし
上からどいてなんとなく頭をなでなでしていると。

「主!主はおられますか!蜻蛉切です!火急の事態ですが足元を・・」

急いでいる様子で近づいてきたその声に
サイズ変更された二人は飛び上がって緊張した。

それは蜻蛉(蜻蛉切)だ。そして彼は体格がよく男士達の中でも長身だ。
それが急ぎの用事で来たとあれば、間違えて踏まれるか蹴り飛ばされる可能性が大。
だが急いでいるような声とは裏腹に、近づいてきた音はぽててという妙な音で
上からするはずの声がやけに床付近から響いていて・・

?まさか・・

その場にいた全員がある仮説を思いついたのと同時に
床付近からいつもは視界一杯にあるはずのその長身が
今のまんばやへせべと同じサイズでとててと走ってきて
同じ目線にいた二人を見るなり『・・?こけし?人形?』
と主を探していた事も忘れて困惑している。

なんだかわからないがコンパクトになった面々を見下ろした主は
持っていた書をぱたんと閉じて肩をすくめると。

「よし、三人ともまず入れ。そして座れ。状況整理から始めるぞ」

ちらかしていた物を一か所に集めて座れる場所を作り始めた。




「ふーむ、そうなった時間帯だけが似通っていて
 他の共通点はほぼなしか」

落ち着いて全員から話を聞いて状況を整理してみると
小さくなった三人は三人とも大したきっかけもなく
似たような時刻に突然こんな状態になったらしい。

いつもなら少し離れていないと視界に入らない三人を
一度にまとめて見られるという状況に違和感を感じつつ主は首をかしげた

「ここのバクか何か、それとも催しのなりそこないの一種か。
 ざっと資料を確認した限り、同じような事例はなかったし・・」

ヘンなものでも食べたのかという線もあるが
主も含めて全員毎回同じものを食べているし
全員拾い食いをするような性格もしていないのでその線もないだろう。

「ただ幸い今のところ見た目が変わる以外に害もないから
 時間がたてばそのうちどうにかなりそうな気もするが・・」
「しかしこれでは何のお役に立つこともままなりません!
 馬の世話に畑仕事、戦場戦闘装備整頓掃除洗濯事家事全般!
 遂行すべき任務は山のようにあるというのに・おい!」

まったく噛まず怒涛の勢いでしゃべるちっさいへせべの横で
むじむじと這って主のおひざに乗ろうとしていたちっさいまんばに
へせべのボディプレスが炸裂する。
普段ならどことかどすとかゴツイ音が鳴るが
今はそんな仕様なのか、ぷにとかぽむとかいうかわいい音しか発生しない。

「貴様!今この有事の際に主の近侍たる矜持はないのか!」
「・・今、それがこの状況打破に役立つなら探すが
 俺は今、できる事をしておきたい」
「・・・・・」

へせべは少し考えた後。

「確かにな!」

と、高速で手のひらを返してまんばの背中をぷきゅと踏んづけ主のおひざに飛びついた。

「・・お、おまへな・・」
「ご指摘苦情抗議は全て後ほど!
 今はこの機会を先に堪能させていただきたく!」

あきれる主をよそにへせべはめげずに這ってきたまんばと一緒になって
ごもごもとおひざの争奪戦を開始する。
今は二人ともぬいぐるみサイズなのでおひざに二人くらいまったく問題ないのに
独占欲と嫉妬でその場からお互いを地味にどかそうとするそのムーブは
カッコウのヒナかハムスターのようだ。

「いやいやその前に、膝は二つあるんだから仲良く使え。
 こんな時に意地はっても仕方ないだろ」

しかも主は主でそれをどかすという選択肢がないのか
もちゃもちゃしていた二人まとめてきゅっと真ん中に寄せ
縮んた背中をまとめて撫でた。

それを正論と取ったのか主命と取ったのかはわからないが
膝上の丸っこいの二つはすんとおとなしくなり
止めに入るべきか否かを迷っていた蜻蛉がようやくほっと胸をなでおろした。

と同時によく考えたら何だろうこの絵ヅラ。
見た目は赤子に近いが中身は主の有能な側近なはずのこの二人。
気持ちは多少わかるものの事実確認の後にすることがこれなのかと・・。

「そうだ、蜻蛉」

などと考えているとふいに主から声がかかり、はたと我に返って見ると
おひざに側近を二人、いや二つのせた主がこいこいと手招きしている。

何だろうと思いつつ近くに行き、いつもの倍くらいある主の大きさにちょっと怯みつつきちんと正座し。

「はい、御用でしょうか」
「いや御用ってほどでもないんだが、だっこさせろ」
「・・は?」

何のことか意味がわからず変な声を出していると
両脇に手が入ってきて足が宙に浮き、身体が主のにおいと温度に包囲される。
つまりは言われた通りにだっこされた。

一応断りは入れていたが、ほんの一瞬の事なので心構えもなにもない。
普段なら大きさ的に決して体感できないその状況に
蜻蛉の頭の中は一瞬でくしゃくしゃに混乱した。

あ、主が、ちか、あたたか、いや、あるじが、かた、ちか

「ふむ、軽いし硬くもなく質量と質感は別物で、中身と声がそのままか。
 誰得現象なのかまったくわからんが、ここにある事実は事実だし・・」

などとぶつぶつ言いながらも背中や頭を実に優しくぽんぽんとたたかれ
その感触や温度が心地よすぎて思わずしがみつきそうになるが
以前やらかした失態を思い出し、どうにか気合で思いとどまる。

いかん、だめだ。力のかかる行為はだめだ。
触れてはみたいが、あたたかいが、とにかく、主だけは、主に危害だけは!
けっして、誓っても、何としても、断固!ぜったいにー!

という思いでちっさい手をがんばってう〜と上に上げるその動作は
降参か電車内での『俺チカンしてません』のポーズだ。
そして主はそれを知ってか知らずか、しばらくして何か思い出したように手を止め。

「あ、そうだ。ついでにだがな蜻蛉」
「・・?」
「この前のお返しー!」

ぶぎゅと音がするくらいの勢いで抱き込んできた。

いや実際にぷきゅうというかわいい音がどこからともなくしたのだが
蜻蛉の口からもれたのは『うごぅ』という普段の声が押しつぶされた声だ。

それはおそらく以前コムラ(千子村正)といた時のハグの件だろう。
ただお返しと言いつつも力加減はちゃんとされているし
苦しいとか痛いよりも驚愕とか恥ずかしさとか嬉しさととかがごっちゃになり
物理と心の両面で身動きが取れないでいると。

「主!あるじ!」

下の方、つまり主の足元から声がして
苦しいようでちょっと強いだけという絶妙な力加減がふっとゆるまった。
それは小さい手を伸ばしきらっきらのお目めでこっちを見上げ
手を伸ばしジャンプしそうな勢いでこっちを見るへせべだ。

「あるじ!お手遊びならば私が!ぜひ!喜んで!」

それは間違いなく『俺もだっこしてぎゅうをして』という事で
普通なら『わぁかわいい』と思うところだが、声は変わっていないし
夜中のへせべを知る主にその感想は出てこない。
だが同時にそれを無下に却下するほど冷たくもないので。

「・・遊び返さないなら」
「主命とあらば!!」
「じゃあその主命で」

こんなちんまり具合で不埒な事もできないだろうと
降参状態で固まっていた蜻蛉をおろし、かわりにへせべをひょいとだっこする。
おろした蜻蛉はおろされた事にも気付かず
両手を上げたままプルプルしていたので『もう一回やって』に見えなくもない。

そしてだっこしてみたへせべはというと
嬉しすぎてうれションしそうな犬みたいな顔をしていたので
まさか本当にしたりはしないだろうが、念のためにおろした蜻蛉をもう一度ひろい上げ
一緒にだっこして中和をはかった。

しかし蜻蛉はいまだに『俺チカンしてません』状態で固まっているので
何というか、うれションしそうなへせべとの対比がすごい。
なので。

「蜻蛉、とんぼ」
「・・・・?」
「大丈夫。何も悪い事はしてない。力抜け。休め」

そうなだめながら頭を撫でてやると
指摘が効いたのか緊張の糸が切れたのか
ぶつっと電池でも切れたかのような勢いで脱力した。

ただぐんにゃりしているし目がうずまきだったので
休んだというよりは気をつめすぎて気絶したらしい。

ちなみに膝に残ったまんばはというと、おひざをひとりじめ出来て満足なのか
そこを居住地とするかのように微動だにしない。

腕に二人、膝に一人。突然三人の子持ちになったような状況だが
こうしてみると今回1つ、主として気付いた事があるにはある。

「・・原因とか理由とか行程とか、ありとあらゆる事がわからんが・・」

丁度よい具合にまとまった元大の男たちを見ながら誰に言うでもなく。

「こうしてまとめて甘やかせるのは、それなりに便利かもな」

そんな事を呟いて撫でやすくなった連中を順番に撫でると
膝の上のまんばがぎゅっとしがみつく力を強め
腕の中のへせべがため息をつきながらすりすりしてきた。

ただいつまでもこんな状態でいるのもなんなので
主はちょっと考え、何かを小さく、近くにいてようやく聞こえる程度に口ずさみ始めた。
それはその場にいる誰もが聞いたことのない音色で
推測するにおそらくは子守唄の一種だろう。

その効果はその状況と状態のせいかすぐに表れ
目を回していた蜻蛉からすーすーという寝息が聞こえてきて
おひざにいたまんばがころぽてというかわいい音をたてて転がり落ちた。

残されたへせべが『あ、こらお前達の主への執着はそんなものか』と思うが
いつもより格段に大きな手と包み込んでくる温かさと心地さに加え
手ずからの子守唄まで聞かされてはさすがに抗えない。

使命感とかプライドとか、もっと色々したいとかいう欲が勝手に蒸発していき
入れ替わるように襲ってきた眠気に目蓋が重くなり意識が遠のく。

あ、あるじ、いやです、もっと一秒でも多くこの状況を堪能させてください。

そう言いたくとも猛烈な眠気に阻まれて何も言えず
すがるような気持ちで主を見ると、大きな手で前髪を分けられ。

「・・なに、気にするな。おやすみ」

などと優しい声で言われてしまったへせべは抵抗をあきらめた。
もっと堪能したかったのにという悔しさと
目蓋を閉じる前に見た主の表情を永久保存させろという気持ちをかかえ
へせべもまた夢の世界へやんわりやさしく落とされた。





そしてそれから少し時間が経過したころ。

ぽん! ごっつぼこがん

「「「ごふぅごいっつ!」」

小気味のいいかわいめの音がした直後
鈍い音と複数のうめき声が混ざり合って発生する。

何が起きたのかを順を追って説明すると
一か所にまとめて寝かされていた小さい面々が突然元のサイズに戻り
増えた体積でぶつかり合って組体操に失敗したみたいな状態になったのだ。

「?・・戻った・・のか?」
「!そんな!なぜだ!一体なんの拍子に?!」
「主・・!は、おられぬようですが・・」

ぐちゃぐちゃ状態のまま各自で現状確認をしていると
廊下の方からとたとたと足音がして主がひょいと顔をのぞかせた。

「お、戻ったのか?掛けるものもってきたんだが・・」
「あぁあ!主が!主が小さい!いえ主はそもそも主なのですが!」
「はいはい、わしはわしだ。お前はへせべだ落ちつけ」

飛ぶようにやってきてばたばた体格を確認しだしたへせべを軽くいなしつつ
通常だとこの中で一番の小柄になる主は冷静に確認をとった。

「それより今鈍い音がしたが、皆怪我はないか?」
「俺は・・なんともない」
「自分も大事ありませんが、主の方こそお怪我は?」
「見ての通り席を外してたからな。
 膝にのせたまま元に戻られたら大惨事だったろうが・・」
「あるじ・・あるじが包囲されるほど大きくない・・
 精神的にではなく物理的に・・なんという、せっかく・・」
「だから落ちつけってのに。なんで元に戻ってから取り乱すんだお前は」

しかし先程の甘やかされ方がよほどよかったのか
へせべは珍しく主命そっちのけで詰め寄ってきた。

「主!一刻も早く今回の原因の究明を!
 そしてもう一度主の抱擁とぬくもりの恩恵にあずかりたく!」

やっぱり落ち着けてないのか建前そっちのけむき出しの本音を進言してくるが
主は呆れと仕方なさ半々の様子でこんな返しをしてきた。

「そうは言ってもな、お前たちあのままだと
 どこで落ちたり引っかけたり転がっていったりして
 どこでどんなケガをさせるかわからんだろ」
「そ、れは・・」

確かにあの状態にはそれなりな利点があるものの
同時にありとあらゆる任務の役に立たないのは元より
いつ元の大きさに戻るかわからないという不確定要素もあるため
今のように突然戻った場合、主にケガをさせる可能性だって十分にある。

「だからちゃんとした原因がわかるまで、お前達はしばらく外出禁止。
 しばらくはここで待機任務だ。あと念のため、また急に小さくなった場合に
 こいつを鳴らして報告と位置を確認してくれ」

そう言って主が各自に持たせたのは洋風の鈴、ベルに紐をつけたもので
リーンと高くよく通る音をした、いわゆる呼び鈴だ。

「一応こんすけにも話を通して上に報告してくるから
 お前たちしばらくここにいろよ。必要なものは取ってこさせるから」
「主!」

指示を残して踵を返そうとする主の袖をへせべが思わずはっしと掴み
あ、しまった不敬だったという顔をするが、主は笑って。

「なに、すぐに戻る。いい子で待ってろ」

その頭をふさふさと軽く撫で、袖から手が離れるのを律儀に待ってから
来た時と同じ足音を残し去っていった。

へせべはその主を見えなくなるまで見送り
嬉しいけど嬉しくないという微妙な顔で残された二人の方を振り返る。

そして今回色々あった男士達は何を思ったのか
無言でそもそと円陣を組んで座り、しばらく猫集会のように無言で向かい合ったあと。

「・・俺達は、あいつを守っているのだろうか。
 それとも守られているのだろうか」

その独り言のようなまんばの台詞に誰も何も返すことができず
気持ちだけをさっきのサイズまで縮ませて
主が戻るまでの間、気まずい時間を共有する事となった。

ちなみにこの後、三人が突然縮むことはなかったが
しばらくの様子見として主と寝食を同じ部屋でする事になり
『何かの合宿みたいだ』と笑う主と共にそこそこ楽しい時間をすごす事になったそうだ。




「え”!?わしの恋バナ?!んなもん聞いてどうするんだ!?」
「このような集団就寝前の雑談の定番とのことですので
 ぜひ、ご遠慮なさらずお聞かせ下さい。
 我々に関してはすでに御存じの通りですので」
「・・そんなもの、寝る前に・・でも・・いや、なんでもない」
「そ、その・・なんというか・・申し訳ありません。御武運のほどを」
「うわお前ら三対一とかずりぃぞ!
 と、言いたいところだが、わし、知っての通りその手の話にとんと縁がなくてな。
 話せる事と言えば最近で言うところのお前たちがそれぞれわしにとった
 アレとかこれとかの熱っぽい話なら思い出しつつ個別にできるが・・」
「「「おやめやめろんべんを!」」」



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