『 5月23日はキスの日らしいので親睦を深める意味で男士達と決行せよ。
なお方法については各自の判断で。加えて強制ではない』
・・おい、おいおい待て待て待て。
何だこの適当かつセクハラまがいな指令書は。
いや、親睦を深めるってのはともかく内容がおかしくないか?
あまりそう見えないのもいるがウチは男率100パーセントだぞ。
いやこの場合男女混合でも問題かも知れんが、性格も見た目年齢もバラバラだし仲の良し悪しもあるのにそれをいきなり1つの行為でどうこうしろってのは・・え?屁理屈はいいって?
流行りって、イベントっておま・・・えぇ〜?
・・まぁ確かに出られない部屋とかいう監禁まがいのやつじゃないし
各自判断の棄権可っていうならまだマシな方だが・・
あ〜、わかったわかった。じゃあ要相談の上でってことで。
・・・・・どうなっても知らんぞ。
おためしケース
お乱(乱籐四郎) コタ(五虎退) 愛太(愛染国俊) 秋坊 (秋田籐四郎)
「つうことで、まずお前達に相談に来たわけなんだが・・
まぁ早い話、マズイよな」
「うんマズイよね」
「・・ど、どうなんでしょうか」
「わっかんねぇ」
「僕は主君の判断におまかせしますが・・」
「とは言えそもそもなぁ、今のご時勢それなりに歳の離れたやつと何かするってのは
色々と風当たりがきついし、よからぬ誤解を生みそうで怖いんだが・・」
「似てないけど親子でーすってごまかすのはダメなのか?」
「見てそうとわかる証拠がないと最悪通報されかねん。
それと先に言っとくが、わしその手の趣味ないからな」
「そこまでわかってたんならどうして一番ややこしい事になりそうな
ボクたちの所に最初に来ちゃうのさ」
「こういった判断はお前達が一番当たり障りのない解答出してくれそうだったんだよ」
「えぇ・・?そ、そう言われても・・」
「主君にも判断できない事なのに、それを僕たちで判断していいんですか?」
「なぁ、だったら主からするか、こっちからするかを俺らが決めたらいいんじゃないか?
俺らが決めたなら怒られないような気がする」
「お、成程。愛太の直感もたまには役に立つな」
「そっか?いやぁそれほどでもあるけどな!」
「・・その素直すぎるとこはキミの長所として数えていいと思うよボクは」
「よし。じゃあどっちがするかと、する場合どこにするかをお前達に一任だ。
棄権も許可されてるからそれも選んでくれ」
「えぇ〜?決めなきゃいけないの??」
「どうしてもイヤならやめとけよお乱。たぶん絵図的にお前が一番問題だ」
「はいはいはーい!じゃあ俺いっちばーん!」
「・・躊躇ねぇなぁ愛太は」
「なんか面白そうだから俺からやる!頭のてっぺんでいいか?」
「かまわんが、なんで頭?」
「いつも見てる所から一番遠い!」
「あ、なるほど。そういう意見か。じゃあホレ」
「よい、しょっと」
「・・あの、どう・・だった?」
「・・んー、もっとなんかくさいと思ってたけど普通だった」
「おいおい何の期待してんだ一体」
「えーと、カレー臭とかいうのがあるかと思ってたけど、そんな事なかったな」
「字が違うしそこまで老けて・・いや老けてるけどそこまでじゃない、はず・・」
「あの主君、僕は帽子にお願いします。ご利益ありそうですし」
「お、なるほど。そういった手もあるな。じゃあ、ほい」
「えへへ。主君の加護つきになりました」
「コタ君はどうする?ボクは最後でいいけど」
「え・・えーとえと・・、じゃあ、その、ああたまにおねがいします!」
「ふむ、愛太と逆パターンだな。じゃあ・・ってうお」
「え?ど、どうかしましたか?」
「いや、頭にいるの(虎)にお返しされた。ざらざらだった」
「あぁああすみませんすみませんごめんさないぃ!」
「いいっていいって。紙じゃないしカビてもなかっただろ?」
「へ??」
「いやいやこっちの話だ。で、あとはお乱だけだがどうする?なんなら棄権しても別に
ってうわ怖い。顔が怖い。可愛い系が劇画風の顔するなよ」
「・・あ、ごめん。考え事してた。
えっと、じゃあ髪の・・ここの一番先のほうでお願いしようかな」
「まぁそこなら大丈夫そうだな。ほれ」
「・・・・・」
「?どうした」
「・・ボク、あるじさんの事、少し誤解してるかもしれないのかなって」
「なんだ、そんな事か。かまわんかまわん。
ひでぇ方面の話じゃないならそのまま適当に誤解しとけ。
なんせわしだってお前さんの事いまだに女の子と間違いそうにうぼぁ!?」
「うわぁ乱闘四郎発動だー!ものどもー!取り押さえろー!」
「たのしそうにいわないでくださいぃー!」
「だめです!主君いじめたらだめですー!」
ケース1
まんば(山姥切国広)
「は?!?そ、そんな事をして一体何の意味が・・!?」
「いや何になると言われても、わしにもまったくまるでわからん。
なので別に強制はせんがどうする、やめとくか?」
「や・・やめな・・いにしても・・やめ、ない、な・・?」
「おー困っとる困っとる。まぁこれを見越してのこんな話なんだろうな。
しかしこんなもん、しろって言われてするもんじゃないだろうに。
ましてや欧米圏の文化をこんなガチガチの和製連中に押しつけろってのが
ってコラコラコラ!首でも締めそうな顔で黙って迫ってくるな!了解を取れ!」
「だ、が、しかし、こんなもの、勢いがなければ出来るわけがないし・・」
「だから無理ならやめとけって言っ、ん?したい・・のか?」
「し・・・・・・・・・・・・・・・・うん」
「・・え〜と、じゃあ本体(刀)の方を貸せ」
「?・・どうするつもりだ?」
「秋坊考案の間接方だ。これなら緊張もしないし一応したことにはなるだろ。
柄の・・えーと、このへんでいいか。ん」
「ぴッ!?!」
「え、何だ今の鳴き声・・ってうわ!?おいどこ行く!?なんで逃げる!?」
ケース2
へせべ(へし切長谷部)
「拝見した事のない不思議なお顔をされているようですが、変顔の鍛錬でしょうか」
「・・うるせぇムッツリ。先に断っておくがどんな選択でも口には絶対なしだからな。
そこ言っとかないとどんな手からどんな食われ方されるかわからん」
「そのような勿体無い。いただけるのであれば爪先から少しづつ時間をかけて
じっくり吟味しつつ味わっていただきますのでご安心を」
「ぐぅわやぶへび!あとこんな安心できない安心の使い方あるか!?」
「何かする前から大変楽しそうなご様子で眼福にございます」
「ぐ・・いや、ここで遊ばれてても仕方ない。
しかしお前の事だから何をやらせても上手くやられそうだし・・
ここはわしからだ。手を・・」
「こめかみにお願いします」
「え」
「こめかみ、目じりと耳の付け根ほぼ中央の部分です。そこにお願いします」
「また微妙なところを指定してくるなぁ・・」
「私からする機会はこれから作ればよいのですが
主から、という機会もよほどの進展がないと望めないかと」
「・・うぅむ、それはそうだが・・なんか上手いこと丸め込まれた気がする」
「では主、お願い致します。ここへ、是非に」
「む・・まぁいい。ちょっとかがめ。じっとしてろよ」
「主命とあらば」
「・・・え〜・・あと・・あんまり見ないで欲しいんだが」
「それはお受けしかねます」
「なんで!?」
「このような機会にしか拝見できないお顔ですので
しっかり拝見して心に刻みつけておきた、あいた」
「はい終わり!やったからな!いいな!追加不可!
以上!おしま・って何で掴む!?」
「逃げないで下さい、先程申し上げた通りお顔をよく見せて頂きたく」
「バっカ!お前趣味悪ぃぞ!大体おっさんの赤面なんか眺めて何が楽しいんだよ!」
「それはもちろん目に焼きつけ後「やめろ言うな使用用途を口にするな年齢制限が狂う!」
ケース3
蜻蛉(蜻蛉切)
「あのぅ・・・蜻蛉よ。いやならいやでいいからやめとけよ。
こんなもん人体にあるまじき震え方してまでする事じゃないからな」
「いいぃいぃえじじ自ぶぶ分だけががが我侭を通すすわけににいませせせ」
「うわぁもう無理の極み。よせよせ悪かった落ち着け。深呼吸だドクターストップ」
「し・・しかし主より賜りし機会を自分の惰弱さでふいにするわけには・・」
「いやこれは外の国では表現方法というか挨拶の一種でそう必須なもんじゃない」
「そ・・うなのですか?」
「そうなんだよ。だから無理するな。そもそもそんな事しなくてもお前の場合
ある程度筒抜け・・じゃない、言いたい事はなんとなくわかる」
「しかし・・主のそばに控えるものが、主に触れられない、と・・いうもの・・」
「?前に多少は触れただろ。書き出すと結構誤解されそうな形で」
「それは言及しないでいただきたく!!」
「うーん、そうだなぁ、じゃあ秋坊やまんばと同じ方法でならいいか。
本体(槍)を貸せ。そっちにすれば問題ないだろ?」
「・・え?いや、しかし主、お忘れではありませんか?」
「?何をだ?」
「我々は元々こちら(槍)から主に引き出された存在ですので
主がこちらにしてしまうと自分のどこにどう当たるか予測できぬのですが・・」
「・・・あ。そうか!それでまんばに逃げられたのか!」
「すでに実行されたのですか!?」
「直じゃないから平気だと思って軽い気持ちでやったら
ものも言わずに走って逃げられたんだ。・・まんばのやつ、怒ってるかな」
「いえ、ただ逃げられたのであればそれはないかと思います」
「そう・・なのか?」
「・・自分も同じ立場であればおそらくはそうしますので・・」
「・・そっか。しかし一体どこにした事になったんだ?まさか尻にでもやったかな」
「!!?」
「せんぞ!断じてせんぞ!?尻を隠すな!頼まれてもせんわ!!
・・ともかく、本体もダメとなると・・あ、そうだお乱式が残ってたな。
お乱式でしっぽの先にでもするか?」
「しっぽ?しかし自分に尻尾は・・」
「いや本物じゃなくてそういう表現だ。
その背中の髪の先がしっぽみたいだろ?」
「成る程、そこでしたらおそらく」
「じゃあ、ほれ」
「ぐ・・」
「え、何だ。まさかそこにまで感覚あるのか?」
「いえ、そうでは、ないのですが・・自分の持っていた価値観のようなものを
急にひっくり返されたような感覚に・・」
「・・もじもじされてもわからんが、お乱も似たような事言ってたなぁ」
「・・・・。では主、自分が主に同じ方法を試みるというのは・・如何でしょうか」
「?お乱式をか?かまわんが」
「・・では、少しばかり失礼を」
「ぐっ」
「い・・いかがですか?」
「た、確かに。なんだこの・・えぇと
確かに何かをごっそり変えられたような感じが・・
面白いっちゃ面白い・・が・・・」
「照れが後から来る・・ですか?」
「そうだな!なんでかわからんが後から来る・・!
うぐぐ、すまん蜻蛉。なんかすまん!」
「い、いえそんな主が謝られる事などなにも!
自分の方こそ今しがたの思いつきでとんだ役得・ではなく!ご無礼を!」
「ぐわー!じわじわ来る!何だこの道連れ行為こっぱずかしー!」
「いやそ、の、主、そう強調されますとこちらとしても居たたまれなく・・
うぅ、しばし!自分はしばらく邪魔にならぬ場所に引きこもりますゆえ!
できればお探しにならぬよう!」
「あ、こらずりぃぞ!お前がやったんだろ逃げんなこらー!」
ケース4
コムラ(千子村正)
「ナルほど。しかしそんな事をわざわざ指令方式でさせようとするノですネ」
「誰の発案かは詮索しない、とういうかしたくないからしないが
結構最近入った文化だし、そういう国民性というか何かに乗らないと
不安にかられる性質になってるというか・・
まぁとにかくいろんな扉をばんばか開けすぎて
何やってるのかわからなくなってきたというのもあると思う」
「そうだとしても男同士でする事デハないデショウに」
「・・ぐう正論。で、お前はどうする?」
「もちろんお受けしますヨ。私からデス。手を貸してクダサイ」
「?外来情報まじりなのに案外普通なところにするんだな」
「だからこそというのもありマスが、この手は山のような鍵を持って
ワタシを宝箱から出した手でしょう」
「あぁなるほど」
「・・しかしこうしてみると確かに親睦深まるノは元より
何か別の扉を開けたような感覚にはなりマスね」
「そうか?お前の場合、扉どころかそれをはめる壁すらないような気もするが」
「おや、これは一本取られマシタね。脱いでもかまいマセンか?」
「全部じゃなければかまわん。あと寒くなったらちゃんと着ろよ。
・・?どうした大人しい笑い方して」
「いえ、ただワタシは蜻蛉切を敵に回さなくて済みそうだと思っただけですヨ」
「??なんだかよくわらんが、その蜻蛉が血相変えて走ってくるのはいいのか?」
「かまいませんトモ。どうせ殴られるなら脱いでカラ殴られますノデ」
「相変わらずヘンなやつだなぁお前」
ケース5
ヒミツ(燭台切光忠)
「・・ん?つまりそれは・・わしからやれと?」
「強制はしないけど、できたらその方がいいかな。
なにしろ僕からするとまず確実に長谷部君が怒るからね」
「いやそれ以前に笑ってやめておくとかいう選択肢はないのか」
「だってすごく面白そうだし、せっかくの機会なんだから
ちゃんと活用しないと勿体無いじゃないか」
「・・この企画の発案者にしろお前にしろ、わしの周りは物好きが多いなぁ」
「はは、誰の影響とは言わないけれど、考えてみればそうかもだね」
「うーむ、しかしへせべを考慮するとなると、こめかみはダメだろうし
そもそもへせべの観点からしてやって怒られないような場所なんてあるのか?」
「・・でもちゃんと付き合ってくれる君も君なんだけれど」
「?何か言ったか?」
「いやただの幸せな独り言」
「??まぁいいか。それより決まったぞ。ちょっとかがめ」
「こうかな?」
「もう少し、そうだ、動くなよ」
「?・・え、わ、ちょっと・・!」
「・・・よし。そこ(眼帯)なら直接じゃないし
お前にしかない部分だから文句言われないだろ。
って、どうした。すごい顔して」
「え・・・と・・いや、その・、なんというか・・・
意表を突かれて・・錯乱中・・で・・・ふ、ふふッ」
「?ん?なんだ?何か面白いところあったか?」
「いや、面白いにはおもしろいけど・・いいなぁって思ってね」
「いい・・か。たまに聞く言葉だが、お前が言うとなにやら意味深な響きになるな」
「当たらずとも遠からず、かな。ところでさっきから気になってたんだけど
袴のすそ、汚れてるよ」
「え?今朝おろしたばかりなんだが・・」
「そこじゃないよ、もっと下のそっち」
「?おかしいなぁ。今日はまだ庭掃除も炊事もやってないのに・・・ん?」
「あ、ごめん。影か何かと間違えてたみたいだ」
「・・お前、今後頭部さわったか?」
「さて、どうかな」
「おいなんだ。何隠してる」
「ははは。秘密はヒミツだからこそ価値があるんだよ。とだけ言っておこうかな」
「ぐぉ、なんとなくつけた呼び方が今になってはね返ってきやがった」
「うーん、それにしてもどうしようかな。
僕もたまには長谷部君達とケンカするのも悪くないかも知れないなぁ」
「何で突然そこに行くんだよ!?しかも達ってことはまんばも込みか!?」
「巻き込まれないようにはするつもりだけど
でも駄目と言われると進みたくなる気持ちもあるし、楽しそうだし
うーんどうしようかなぁ・・って、何そのにぎりこぶし」
「いや、その様子だと口での説得がムリくさいから
帳消しの意味もこめて今やった所(眼帯)に一撃入れておこうかと」
「あ、ゴメンやめて。他のところはいいけど帳消しはやめてすみませんゴメンなさい」
ケース6
くりた(大倶利伽羅)
「へぁ!?お前まで参加する気かこのbゲッふゲフン!な企画!?」
「馬鹿に付き合うつもりはないが、屋根裏のホコリになるつもりもない」
「だぁあ、せっかく濁したのにすっぱりハッキリ・・
しかしつまりは忘れ去られるのがイヤって事だな」
「それもある」
「?残りは?」
「興味と疑心と好奇心とその他」
「・・・。まぁお前はそう大事に発展する属性でもなさそうだし。
で、どうする?お前からか?」
「手をよこせ」
「はいはい」
「・・・・・・・」
「?なんだ。手に何かついてるか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「え、ちょ、なんだよ。におうのか?今日はそんなに草むしりしてな
ぶっは!嗅ぎすぎかぎすぎ!くっすぐってぇ!犬かおま・いってぇ!?」
「・・悪く、ない。はずだ」
「は?!一体何の話・・ってこら!何で逃げ・・うわ歯型ついてる?!
噛んで逃げるとか野良猫かおまえー!?」
ケース7
本号(日本号)
「ぶわっはっはっは!!なんっっだこりゃ!これぞ誰得!
おっさんとおっさんでハブアンドハブ!マングース対マングースだはははは!」
「・・そ、そこまで笑うか??俺がせっかく勇気出して
あ、いや別にいばる事じゃないかこんなもん」
「はは、いやすまんすまん。悪い事じゃないな。
形はどうあれ歩み寄りの姿勢があるのは大いに結構だぶっッフーー!」
「・・あんた、絶対に誰かから殴りてぇとか言われた事あるだろ」
「もちろんあるぞ。むしろ言う前に殴られて身体が半回転した事もあるぞ」
「・・やっぱりあんたと話してると酔いが勝手に飛んでっちまう。
まぁともかく、ここはあんたが決めてくれ。
でないと犬以上の忠誠心持ちの護衛どもに睨まれるか
無言で真正面からぶった斬るかされかねねぇこんちくしょう」
「そんな極端な・・のもいるな確かに。
だったらここは安全策として握手程度にしとくか?」
「名案だ。無理にどうこうするよりもその方がいい」
「じゃあほら、握手。蜻蛉もたまにしたがるから不快感はないと思う」
「・・ホントにくえないお人だなぁあんた。ま、ともかく今後ともヨロシクって事で」
「うん。ところでこうしてみて思い出したんだが・・
お前、へせべのこと格下とか言ったんだってな」
「え」
「いやいや、斥候や密告でもへせべから聞いたわけでもないぞ。
ただ記録で残ってただけの純然たる事実だからな」
「・・あのぅ、もしかして、地味にお怒りでいらっしゃる??」
「ははは、怒っとらんぞ。わしがヘボでバカでどんくさくて無能なのは事実だが、そんな奴にお前より長く真面目にきっちり仕えてくれてるやつをやる気なさげに酒臭い息吐きながら上から目線で格下呼ばわりしたその出所のよくわからん万年何位の気位の高さも今はそれなりにナリを潜めとるようだから今ふっと思い出してイラッとしたただけの事で別にまーーーったくこれっぽっちも怒っとらんぞ(ノンブレス))」
「台詞の長さからして根に持ちまくってるだろが!
てか痛え!なんだこの握力?!地味にいてぇあいたたた!」
「よぅし、いい機会だ。ここはへせべも加えて和解の場をもうけようじゃないか。
なぁに、時間は幸い山ほどある。話す事がなくても5時間でも12時間でも
顔つき合わせてじっくり親睦を深めようじゃないかげははははは」
「なんだその台詞と真逆の悪役みたいな笑い!?ってか引き離せねぇ!
うぉわ!しかも嬉しそうな犬(長谷部)まで来た!
なんか俺だけ主旨がおかしくないかおぉいーー!?」
ケース8 山筋(山伏国広)
「成る程それは妙案!では拙僧は頭巾にお願いしてもよいかな?」
「うすうすどころか大体そんな気はしてたが、ためらいゼロだなお前。
まぁ愛太と同じくそういうつもりがないからなんだろうが」
「?そういうつもりがどのようなつもりなのかはわかりませぬが
主は口が本体も同然!言葉により物事を動かし、様々な変化と流動をもたらすお方であるからして、このような機会、なかなかに面白いと拙僧は思いますぞ!」
「・・お前、たまに妙なところから芯を突いてくるというか
余計な事をそぎ落としきってるというか・・」
「それに主殿のおそばは災害や盗難より我らを守る蔵の中にいる感覚に近く
言わば実家のような安心感、とでも言いますかな!」
「あ、なるほど。まぁ元をたどればそうなのかもな。
ま、ともかくちょっとかがめ」
「うむ、ではお願いいたす!」
「・・うん、ちょっとばかし汗臭い。
あ、そういえば、まんばとの話を見てて思ったんだが
お前はもし選ぶとしたらどっちがいいんだ?戦の中で振るわれる刀か
台座にのってる美術品としての刀か」
「む、そこは一つお忘れですぞ主殿」
「ん?まだなにかあったか?」
「あるではありませぬか!ここで主殿とこうして共に有り
動き、話し、笑うことのできる拙僧を!」
「・・あ、そうか。引き出したわしが忘れてるのもなんだが、それもあるのか」
「うむ!今のこの状況、拙僧なかなかに気に入っておりますのでな!
刀としても戦い甲斐が有り、人としても実に快適に過ごすことができ
蔵の中や実家にいるがごとくの安心感まで完備!よって実にお得!
主殿もあまりご自分を不必要に卑下なさらず、楽しまれるが吉かと!」
「そりゃ誉めて・・るんだろうなお前としては。ま、心には留めとく。ありがとよ」
「カッカッカ!こちらこそである主殿!」
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