「・・・とは言え、今頃事情を耳に入れた司馬懿殿が
苦虫と漢方薬と腐ったどんぐりを噛みつぶしたような顔をして
『馬鹿めが』と言っている顔が目に浮かぶ」
「言わせておけばよいのですよ」
手を止めずにあっけらかんと答えた志悠の周りには
蜀の国土状況を把握するために出された膨大な数の資料の山。
曹仁はそれを志悠が読み終わってから指示された通りに分けていた。
というのも志悠はやたらと資料に目を通すのが速く
手伝わなければそこら中が散らかり放題になるので
護衛についていたはずの曹仁もなぜかけっこう忙しい。
「民を思う気持ちはわかるが、何も他国の内情にまで手を出すことはなかろう」
「戦をするのは人の性分ですから、私としても口を挟むつもりはありません。
・・はい、これはそちらに」
「うむ・・・それはそうだが・・」
「ですがその戦乱の水面下で苦しむ者に、敵も味方も国境も立て前も
クソの役にも立たないかと私は思いますが。・・はい、これはその上です」
ぼで
渡された書簡が曹仁の手からすべり落ちる。
「・・・おぬし・・・」
「・・・・・こほん、典韋風に言ってみただけです」
「・・・・そ・・そうか」
少し赤くなりながら志悠は次の書簡を手にした。
だがそれもほとんど目を通したというより眺めただけな速度で
固まっている曹仁に渡ってくる。
「・・・しかし真面目な話、帰国してからのそなたの風当たり
少なからずに悪くなるやも知れんがそれは承知の上か?」
「殿にはいずれ魏の一部となる国なのですからと言って
軍師殿には地盤を固められると攻め落とす自信も失せるのですね、と言うつもりです。
あのお二方を押さえておけば、おそらく心配ないでしょう」
「・・おぬしな・・」
呆れ返ったような曹仁に、志悠は書簡から目を離さずに微笑んだ。
「それにここは蜀なのですから誰も口出しできませんし
この際ですから国外で私にできることはできるだけやっておこうと思いまして」
昔に比べると少々強引にはなっているが
弱者のためなら敵も味方も国も立て前もものともしない信念は変わっていない。
その静かだがまっすぐな気性に惚れ込んで推挙したのは自分なのだが
おかげで色々心臓に悪い経験をさせられている曹仁の心境はちょっと複雑だ。
そんな曹仁の心境を知ってか知らずか
志悠は見ているのか見ていないのかわからないほどの速度で
大量の資料をさくさくと読みあさっていく。
そうして1時間もしないうちに本棚5つほどあった資料は
もう数えるほどしか残っていなかった。
「子孝様、これは元の所へ」
「・・・うむ」
元の所と言われた物はおそらく必要ないものなのだろうか
それとも後でゆっくり目を通すつもりなのだろうか。
志悠の選別している書簡は全体のほんの一握りの量しかない。
そうこうするうち志悠は機械のような勢いで部屋にあった全ての資料に目を通し
最後の書簡を曹仁に手渡して軽く息をついた。
「・・・ふぅ」
「少し休んではどうだ?時間は制限されているが
いざという時の体力は残しておかねばなるまい」
「いえ、これでここの資料は全て把握しましたから
少し休憩してから視察の方にまいりましょう」
「何!?」
全部?!と改めて部屋を見回しても
それは多少魏より少ないとは言えとても一日で見れるような量ではない。
「これをすべて把握したのか!?」
「まさか。これ全てを真面目に読んでいてはキリありませんもの。
この数日で国土を肥やすために必要な物だけに目を通しただけです」
こともなげに言って見せる志悠に曹仁は言葉を失った。
「お役所の方というのは何でも残しておきたがりますが
それ全てが後世に役立つ物とはかぎりませんからね」
実際あまり志悠の仕事ぶりを見る機会のない曹仁は
その人間離れした速読力と判断力に乾いた笑いを作る。
「・・・うぅむ、さすがというか何というか・・・
諸葛亮殿がおぬしを呼びつけた理由がわか・・」
バダン!!
突然ノックも断りもなしに、いきなり勢いよく部屋の扉が乱暴に開いた。
志悠がさっと身構え、曹仁がいつものごっつい盾がわりに携帯していた剣の柄を掴む。
しかし扉を開けた人物は入ってきた姿勢のままなぜか驚いたように硬直していた。
青と白に染められた鎧。龍の刺繍の入った衣。
長い髪は以前のようにまとめられていないが緑の鉢金と整った顔立ちに変わりはない。
そのいくつかに覚えのある志悠は今回の入国に関し、諸葛亮にばかり気を取られていて
私情ではあるが重大な見落としをしていたことに気付きガッカリした。
魏には張コウ。
蜀にはこの青年。
・・・私に安住の地なしですか。
志悠、一人遠い目をして哀愁にくれた。
「・・・志悠・・様?」
驚きと懐かしさの入り交じった声が戸口で固まっていた青年の口から出る。
やはり聞き間違いようのないその声に、志悠は内心頭を抱えたくなった。
「・・・知り合いか?」
まだ警戒を解かないまま曹仁が聞くと、志悠は額を押さえつつ・・・
「・・・・・・一応」
と何やら苦々しさと心労の入り交じるげんなりした答えを返してきた。
見た所、悪い知り合いというわけでもないが
良い知り合いというわけでもなさそうな様子に曹仁はちょっと眉をひそめる。
何か言いたそうな曹仁に志悠は補足を付けた。
「・・・出かけぎわに簀巻きにされた方と似たような方です」
「・・・そうか」
奇怪な説明だが曹仁は一発で納得した。
「・・・お久しぶりですね趙雲将軍。まだご息災でしたか」
ちょっとトゲのある言い方をされたのも気にすることなく
五虎将軍の一人趙雲子龍、ぱっと目を輝かせると
手を組んできっちりした一礼をする。
「はい!お久しゅうございます志悠様!
まさか蜀の地であなたにお会いする事など
もっと先の事だとあきらめていたものを・・!」
「・・・言っておきますが・・・」
「はい、事情は関羽殿から聞きました。
それでもこうして堂々とお会いする事、私は嬉しゅうございます」
「・・・相変わらず妙な事に歓喜なさるのですね」
「はい。私はあなたが好きですので!」
照れも恥じらいもチリほどない、直球ど真ん中ストレートなセリフに
志悠の顔がじゅうと音を立てそうなほど赤くなる。
張コウのように冗談と酔狂の見分けもつかない奇妙なアプローチならさらりと流せるが
こうも真面目に言われると、真面目な志悠には返す言葉が見当たらず
非常に始末に悪いのだ。
横にいた曹仁が何か言いたそうにしていたが、志悠は無言で首をふる。
頭痛がするので何も言うなという意味らしい。
「時に志悠様。蜀にしばらく滞在なさるそうですね」
「えぇ」
「ではわ・・」
「お断りします」
私が案内をしましょうという言葉は3文字目で切り捨てられた。
「私は自由に視察する権利をいただいていますので案内は不要です」
「しかし・・」
「ご心配なく。多少の不都合は生じるでしょうが
私は今までこの流儀で魏の土地を肥やしてまいりましたもの。
あなたに案内や同行を頼むことは死んでもいたしませんわ」
やたらにトゲのある言い方に黙って聞いていた曹仁。
このやり取りだけで二人の間に何があったのかなんとなく想像できてしまい
そっとため息をついた。
そうしている間にもたたみかけるような志悠の言葉は続く。
「そもそもあなたの役目は外交ではないのでしょう?
こんな所で油を売るお暇があるのなら
治安維持と防衛に力を入れるのがスジではありませんか将軍」
遠慮ない志悠の言葉に趙雲は反省するどころか
なにやら何年も会わなかった人に再会したような笑顔になる。
「あぁ・・やはり志悠様だ!本物だ!」
「・・・何を当たり前のことを喜々として・・。
ともかく、私はこれから開拓地への視察に参りますので
あなたはあなたの仕事をなさいませ」
言いながら手元の書簡をいくつか抱えると
志悠は足早に趙雲のわきを通り抜け、曹仁が少し慌ててその後を追う。
「あ、ではお送りを・・・」
「結構です」
間髪入れず返ってくる冷たい言い方に、趙雲はそこで初めて表情を曇らせ
「別れ際の事をお怒りなのですか?」
カツ
志悠の靴音が少し強い音を立てて止まり、少し間が空く。
「・・・ご自分でお考えなさい」
そして振り返りもせず志悠はそんな言葉だけを残すと再び早足で歩き出し、扉を出る。
曹仁が少し遅れてそれに続き、趙雲に軽く会釈して出て行った。
誰もいなくなった資料室の入り口で趙雲は頭をかき
少し困ったように笑う。
「・・・怒っているな、あれは」
と、口では困っているように言うが
内心志悠の心の中に自分を残せていた事を嬉しく思い
趙雲の顔は本人の自覚なしに、嬉しそうに笑っていた。
●●
それからの志悠の行動力はまさに電光石火だった。
城下や街の視察から始まり地方の村や農村までを用意された馬車を拒否して
曹仁と一緒に早馬で、それこそ戦場さながらに駆け回る。
彼女は元々自分の目で見てしか納得しない性格だ。
村から町へ。町から城下へ。城下から村へとかけずり回り
その分節約した時間はすべて民との意見交換や視察に回す。
最初はやりたいようにやらせてみようとは思っていた曹仁だったが
そのあまりの荒々しさというか強行軍なやり方にさすがに不安が出てくる。
「おぬし、まさか魏でもこのような強行軍をしていたのか?」
馬を変えるのと同時の昼食の合間、そんなことを聞いた護衛将に
志悠は新しい馬に馬具をつけながら笑って答えた。
「まさか。魏は国の地盤がしっかりしておりますし
もちろん調査期限もありませんからこのような無茶はしません」
「しかし関羽殿が心配しておったぞ。文官の身でありながら馬車にも乗らず
護衛隊もなしに敵国の領土を駆け回っていては、何かあっても対処してやれんとな」
「ですが馬車で優雅に移動していては時間も消費しますし
野軍などのよい標的になってしまいますからね」
と話す合間も志悠の手は止まらない。
一体いつ覚えたのか馬具をつける手際もやけに手慣れていて
曹仁はため息をつきながら手を速めた。
「・・・やれやれ、スジは一応通っているが
それはそれで自分の立場がないな」
●
「いえ、そうも言っておられません。先日視察した国境近くの村で
夜間に数人の不信人物を目撃したとの情報を耳にいたしました」
「何?」
曹仁の手が一瞬止まる。
「武装していたそうです。しかもその地域に兵が新たに配置された報告もなく
魏とは違う国境近くという事から推測して・・・」
「・・・呉の者か?」
「断定はできませんが・・・可能性として心にとめておくべきですね」
「ふむ・・・」
再び手を動かし始めた曹仁のかわりに今度は志悠の手が止まった。
「・・・承知しているつもりですが、やはり始終人を疑って見なければならないのは
よい気分ではありませんね」
「・・・・」
無言でこちらを気遣う曹仁に、志悠は静かに微笑んで見せた。
「はやく戦乱が終結し、人が人を疑わない世になるとよいですね子孝様」
「・・・うむ、そうだな」
それは自分達への課題の意味もある言葉であることを思いつつ
2人は新しい馬に乗り換え再び蜀の領土を走り出した。
それから数日後、2人は視察の合間をぬって
関羽から五虎将の紹介をしてもらうことになった。
というのそれはあまりに激しい仕事ぶりに関羽が心配して
少しは休めという意味合いも込めての事だ。
蜀の五虎将の話なら志悠も知っていたが実際に会ったのは趙雲と関羽のみ。
前者に対してはあまりいい顔をしない志悠だったが
たまたま趙雲は用があっていないという事もあり
内心ほっとしつつ承諾した話でもある。
まず最初にあったのは高齢ながら名将と名高い黄忠に
関羽の義弟で魏でもそれなりに名の知れた張飛。
ただ残る1人で馬超という将だけは何か事情があって遅れるとのことで
今ここにはいなかった。
「ほほぉ!なるほどなるほど、おぬしがそうか!
うむ、趙雲がうるさいほど口にするだけの器量じゃのう!」
「へぇ、あんたが魏の台所頭で司馬懿とケンカしてるって姉さんか」
出会い頭に勝手なことを言い放題だが
本人達におそらく悪気はないのだろう。
「・・・これ翼徳に将軍も。言い方にもほどがあろう」
関羽がたしなめるが当の志悠は元からこんな性質の人間に囲まれているので
大して無礼とも思わず笑って手を振った。
「いいえ、かまいませんわ。
遠回しな言い方より率直な意見を言って下さった方が助かります」
「お、話のわかる姉さんだな。
曹操の所とは昔から色々あってあんまり好きじゃないんだが
あんたみたいなのは嫌いじゃないぜ」
そう言って豪快に笑う目の前の虎ヒゲ男と
出かけに見送ってくれた気さくな方の義兄が重なって志悠は苦笑した。
そういえば同じように義兄がいるのも
その兄同士がちょっとした因縁があったりするのも不思議なものだ。
しかもさらに話は終わらない。
「ところでおぬし夏候の血を引いとるとの話じゃが・・
ひょっとして夏候淵ともつながっとるのか」
「あぁ、淵おじさまですね。
はい。血縁と言ってもほぼ他人同然ですが、よくしていただいております」
「・・ふむそうか。あの鼻タレにこんなしっかりした血縁とは、何やら妙な気分じゃの」
そういえば、いつだったか夏候淵が戦で負けて帰った時
しきりにジジイがどうのとか話していたが
どうやら目の前にいるのが問題のジジイらしい。
普通ならここで親族を打ち負かした相手として警戒の一つでもするところだが
志悠は戦関係の怨恨に関しては限りなくタンパクだ。
「あら、では定軍山でおじさまにお灸をすえて下さったのはあなたですね」
「お灸?」
「はい。あの一件以来おじさまは無闇に突撃しようとしなくなりましたから
よい薬になったものだと密かに感謝しておりました」
「かかか!そうか!そう考えよるか!確かに面白いおなご・・」
だだだだだだ どがん!
何か言いかけた黄忠の言葉は何かがダッシュして
止まると同時に蹴り開けられた扉の音によってさえぎられ
派手な鎧の青年が飛び込んできた事によってその場の空気が一変した。
「これ馬超!扉は手で開けんか行儀悪い!」
非常にもっともな説教を聞いているのかいないのか
馬超と呼ばれた青年は志悠と曹仁にさっと目を走らせると
何を思ったのかいきなり剣を抜こうとして近くにいた関羽に止められた。
「馬超!やめぬか!」
「止めて下さるな関羽殿!!
我が生涯の仇敵たる者の血を引く者を前にして剣を引くなどこの馬孟起
一族の怒り受け継ぐ者としてできぬ相談!!」
「馬鹿かてめぇは!おめぇの仇は曹操だろうが!」
「その曹操は我らの血縁を殺した!ならば同じ報いを受けるが当然の理であろう!」
などともみ合っている蜀の面々を見ていた志悠の顔つきが
馬超の言葉を聞いたとたん突然鋭くなる。
曹仁がその事に気付いた時には志悠はもう行動に出ていた。
馬超が抜こうとしていた剣の鞘をしゅっと引き抜き
何を思ったのか剣先を馬超に持たせたまま自分の首へ突き付けた。
「志悠殿!!」
「おい姉ちゃん!!」
関羽も張飛も驚くが、しかし驚いたのは馬超も同じだ。
いくら気が立っているとはいえさすがに女子供を斬る剣は持ち合わせていないので
必死になって剣を引こうとするのだが
不思議な事に指先でつままれた程度に固定された剣は
その白い首先からピクリとも動こうとしない。
「・・な・・何を・・!」
「あなたの望む通りの事をしているのですが・・・不満ですか?」
「何!?」
「私は曹家と直接関わりはありませんが
多少なりとも関わりのある夏候家の遠い血縁です。
ならば多少なりとも血は混ざっているでしょうから排除の対象内。
遠慮する事はありません。この場でこの首、はねてしまいなさい」
ぐ、と剣先が白い喉元に食い込み馬超が息をのむ。
その声は淡々としていて背筋が寒くなるほどの冷たさを持っていた。
「何をためらっているのです。
これはあなたが今先程望んだ事ですよ?」
「ち・・違・・!」
「違いません。血のつながりある者を根絶やしにするというのはこういう事なのです。
女子供関係なく目についた者、それも弱い者から順に確実に・・」
がっ
しかしその時、さらに力を込めようとする細い手が
横から伸びてきた大きな手に掴まれる。
「・・・もういい、やめんか零」
その途端、今までどれだけ力を込めても引けなかった剣先が
今まさに刺さろうとしていた首元からあっさり離れ
安全な範囲にまでいくとがしゃんと音を立てて床に落ちた。
「・・・おい、大丈夫か?」
張飛の言った言葉は志悠と馬超両方に向けられたものだ。
志悠はたった今我に返ったような顔をして首に手を当て
馬超は冷や汗を流しながら浅い息を繰り返している。
そうして少しの沈黙の後、先に口を開いたのは志悠の方だ。
「・・・・・すみません、出過ぎたまねを・・」
「・・いや、双方無事ならそれでかまわんわい。
こやつにも少々いい薬になったろうてな」
さすがに多少驚いたがのと言って老将は豪快に笑う。
この様子だとこの馬超という青年
仇に近い者を見つけては同じようなことを繰り返していたのだろう。
「・・っ!」
「あ!こら待ちやがれ!」
その血気盛んな馬超という青年はきっと志悠を睨むと
落ちた剣も拾わずその場から逃げるように走り去り
どたどたとその後を張飛が追っていくう。
少し心配そうにそれを目で追っていた曹仁に
関羽が気にするなとばかりに手を振った。
「あの者・・五将の1人で少々気性が荒いのが欠点ですが
きちんと話せば納得のいくまっすぐな心根の持ち主。
気が落ちつけばいくらか話もできましょうぞ」
「だとよいのだが・・・」
しかし気にするなと言った通り蜀側の人員があまり気にしていない様子からして
あの青年は本当にあんな事ばかりしているらしい。
これはまた困った青年もいたものだと曹仁は内心ため息をつく。
何しろ今さっきの志悠の気性とどこか似ているものがあるからだ。
志悠は普段冷静だがああ言った人の命を軽視する行動には
静かだがかなり危ない行動を取る。
その理由を知る曹仁は肩を落としている志悠の肩をぽんと叩いた。
「・・しっかりせぬか。おぬしらしくない」
「・・・・申し訳ありません」
「なに、そう気にせんでもよかろうて。あやつはまだ若いゆえに突進が多くての。
壁にぶつかるのも何かと激突するのもまた若さじゃて。
それにアレがふて腐れておったとしても趙雲がなんとでもしおる」
そう言って笑う老将に志悠は少し救われた気持ちになったが
それと同時にある違和感が浮上する。
そう言えば・・・ここへ来て一度会ってから趙雲の姿をそれっきり見かけていない。
最初は何かしら理由をつけて接触してくるかと思っていたが
忙しさに数日過ぎてすっかり忘れていたが
今この場に顔を出そうとしていないというのも少し妙だ。
志悠は一瞬関羽に所在を聞こうと思ったが
わざわざ蒸し返すのものなんだし大人しくしているのか忙しいのか
とにかくへタに聞いても状況が悪化しそうなので結局やめた。
まだ続く