大将軍 (君主いわく、古き良き突撃隊長) 
馬超孟起



何?遠星様の事か?

あぁ、確かにあの方とのつき合いは挙兵当時の俺が一番長いが・・・。
・・・昔?いや、昔といってもあの方は昔からあぁいう方だったな。

ぱっと見た目は文官だが、戦場での行動力が誰よりもずば抜けていてな。
誰よりも速く先陣を切り、誰よりも危うげなく拠点を制圧し、誰よりも多く将を討ち取る。

皇帝となった今でもそれだけは変わらん。
いやむしろ・・・何も変わっていないのかもしれんなあの人は。

気さくで人当たりもよくて、身分を鼻にかけることもしない。
かなりの大国になった我が国の主というのに、時折ふらりと民の元へ足を運び
・・・何をしたか知らんが、白い皇衣を泥だらけにして帰ってくるしな。

そうゆう若干あっけらかんとしているのが俺や呂蒙殿の悩みの種なんだが・・・
だがあの方のおかげであれだけ激しかった戦火は
確実に輪をせばめてきているのもまた確かなことだ。

ただ・・・大きな声では言えんが張コウ殿を笑顔で雇用した際には
ちょっとだけ神経を疑ってしまったな。

しばらくしてアレもそれなりに有能な将軍だと知ったが
アレを初めて見て即座に雇用する度胸というか神経というかなんというか
そこらへんが正気の沙汰では・・・

・・あ、いやその、今の話、ここだけの話で頼むぞ。
あの方は影で悪口を言うと実にさわやかな笑顔で
強烈なゲンコツをくれる方だから・・・って、何?

・・後?


・・・あ・・・







右将軍 兼軍師 (君主いわくいいおっかさん) 
呂蒙子明


ん?遠星様の事か?
・・・そうだな、あの方についての印象は色々あるが・・・
単刀直入に言えば・・・不思議な方だな。

俺も張コウ将軍と同じように在野から拾われた身で
最初あの方が戦場に出ると聞いた時
正直戦の人員が不足しているのかと本気で思ったほどだ。
なにしろ見た目が完全に文官で、物腰も落ちついていて
とても戦などしそうもない身なりをしていたからな。

それが戦場であの方を見て心底おどろいた。
純白の文官服に軽い装甲を縫い付けた身なりに
手には異様なほど長い弧刀。
その姿が敵陣の中で動くさまは・・・

正直・・まるで首切り役人のようだったな。

知略重視かと思っていたがそうでもない。
刀一振りに敵兵数人を斬り飛ばし、攻撃の合間にもスキがほとんどなく
しかも馬上からの攻撃にも優れ、さらには乱舞後には何も残らぬほどの破壊力をもち
その上戦い慣れしていて拠点制圧も単騎であろうと実に迅速なのだ。

能ある鷹は爪を隠すと言うが
あの方の場合・・・
隠す爪が速過ぎて見えないといった方が正しいかもしれん。

そうして自ら先陣をきり、敵陣を引っかき回していたかと思えば
俺の苦戦している所へ突然現れ、凄まじい勢いで敵をなぎ払い
こちらの無事を確認してから「無事ですね」と言われ
また風のように去って行かれる事もある。

あの方が修羅の極みを見た方なのか、それとも慈悲深い賢人なのか
どちらが本物の遠星様なのかは俺にはわからん。
ただ遠星様がこの荒廃した大地を確実にまとめ上げてきたのもまた事実。

俺はあの方が修羅であれ慈母であれ仕えるつもりだ。
あれほど印象と実力の明暗が激しくしかも有能な方など
そうそうお目にかかれるものではないだろうしな。






左将軍  兼舞師  (君主いわく素敵な太鼓持ち) 
張コウ



あぁ、遠星様の事ですね?
いいでしょう、少し長くなりますが・・・そうですね・・・
ではまず私があの方のお噂を耳にするまでいた勢力の内情から・・

・・・え?できれば手短に?
・・・無粋な方ですね。まぁよいでしょう。

私があの方を初めてお見かけしたのは
この国の将軍候補の1人として名を上げられ
他の在野の将と共に登城した時の事でした。

私は野で羽を休め乱世に飛び立つ時を待つ在野の身でしたが
あの方の眼前に出たその時より、私の運命はまるで
清流に舞い降りた木の葉のように急激に流れ出したのです。
そうそれはまるで雲の厚い大空から一筋の光がさしたように・・・

・・・え?簡潔にですか?
・・・風情のない方ですね。
遠星様なら私の話を途中でさえぎることなどなさいませんよ?

はい。あの方は初対面の私の口上を、実に穏やかに最後まで聞いて下さいました。
お隣にいた金の鎧の方が、毒を飲んだような渋い顔をしておいででしたが
あの方はそんな事には目もくれず、それはそれは私の口上を
楽しそうに最後まで聞いて下さったのです。
そして私が口上を終え一礼した後、遠星様は微笑を浮かべてこう言われました。

「採用しましょう。面白いですし

お隣にいた金の鎧の方が断崖絶壁から突き落とされたような顔をして
何か絶叫されましたが、遠星様はそんな事などおかまいなしに
私をその場即日採用し、その日から将としての任をお与え下さいました。

初めてでした!私の口上で古びた雑巾を嗅いだような顔をしなかった方は!
しかも遠星様は私の芸術性をも評価し、時折舞を踊ることまで許可して下さる!
そのたび金の鎧の方が頭を抱えて転げ回るのは少々気にかかりますが
そんな事は実にささいな事柄にすぎないのです(暴走開始)!

私は私を認めて下さった遠星様のためなら!今日も明日も明後日も!
戦場で舞い、城内で舞い、めくるめく美の世界を
知勇兼備文武両道た
る遠星様に・・・・・



・・・・・・・・・



逃走成功





皇帝 兼君主  (部下達いわく白黒の死神)
遠星


あぁ、あなたが新しく配属された方ですね?
はい、私が遠星です。

まぁまぁ、そう固くならなくてもかまいませんよ。
礼儀はあまり度が過ぎると嫌味にしかなりませんので
最低限守って下されば結構ですから。

そう言えば以前馬超に何か聞いていたようですが
参考になりましたか?

なんだかわけがわからなくなった?
はははは。それはそうでしょう。
あまり多種多様な人物から聴取してしまうと
かえって答えがまとまらないのは当前です(特に張コウとか)。

まぁ私のことは追々わかるでしょうから、あまり先入観を持たない事です。
そうだ、気になるのでしたら実況見分もかねて
次の侵略戦での同行をお願いできますか?

そう驚く事ではありませんよ。
私はどのような戦闘であれ常時参加する主義なのですから。

そもそも放っておけば突撃して木に激突しそうな馬超や
気がつけば味方の士気を下げていそうな張コウを
心労でおかゆしか食べられなくなってきた呂蒙にまかせておけませんからね。

ははは、そう何もしない内から気に病まない事です。
ともかく次週、侵略戦をおねがいしますよ。
それまでに防衛戦があるかもしれませんが、兵力が回復するまで待機を取って下さい。
あぁ、それと補足ですがもし馬超に出陣の交代を頼み込まれても
無視して結構、聞かなくてかまいません。
以前の戦で敵の挑発に乗って自滅した罰がまだとけていませんから。

では私から言えることはそれぐらいですが・・・
よろしければこれからお茶でもいかがです?

ですからそう固くならなくてもかまいませんよ。
と、いってもすぐに打ち解けるのも難しいでしょうから
親睦もかねて、という意味でもご一緒頂けるとうれしいですが。

はい、良い返事です。

では手の空いた人員を集めましょう。
大丈夫、皆個性は強いですが気のいい方ばかりですから
きっとすぐ打ち解けますよ。

ところで甘い物はお好きですか?











エンパイアでしこたま使った周泰モーションの軍師モデル丁寧口調の話でした。
名前の由来は水滸伝にいた人から。
あといた人員は馬超、呂蒙、張コウ、太史慈、甄姫とか。

ちなみに調査をしてたのは太史慈とお思い下さい。


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