無事依頼主と合流できたダンテはまずタツミ達にジュンヤと悪魔なる物の説明を・・・
しようとしたが面倒なので、とにかくジュンヤとサマエルは害がなく
自分の仲間だという事だけを簡単に説明して
ジュンヤ達には今元の世界に帰る方法をタツミ達に探してもらっているとだけ説明した。

タツミの方は『あ、そうなの』といった風に大きなサマエルや普通ではないジュンヤを
特に不審がる様子もなくあっさり受け入れた。

それは多くの経験をしてきた荒野のハンターとしてのカンで
安全だと思ったのか、ただ単に脳天気なだけだったのかは分からない。

・・ダンテとしては後者だと思っているが。

一方ジュンヤの方も受け入れてくれるならそれで別に問題はないらしく
ダンテが迷惑かけなかったか撃たれなかったかと
まるで迷子を預かってもらっていた親のごとくぺこぺこ謝っていた。

かと思えば子供みたいな目でしょうゆを指して『撫でていいですか?』と聞いて
いいよと言われて思いっきりはしゃぐ。

で、タツミもタツミでサマエルを『撫でていいかな』と聞き
あんまりきつくしなければいいですよと言われて
無表情のまま羽やシッポをさわっている。

「・・・ご近所ペット交流会かよ」

おそらくこの中で一番の常識人だろうキリヤがつぶやく。

聞こえていたのならそれぞれに
ペットじゃなくて仲魔だとか友達だとかいうのだろうが
あいにく年若い少年達は目の前にある生き物に夢中で気がつかなかった。

「うわぁ本物だ!フサフサのキツネ色!シッポも丸々!」
「・・牙は?・・あるんだ。砂の中とかは潜らないの?」

しょうゆの方は人柄がわかるのかしっかり懐いて嬉しそうだが
サマエルの方は最初ほんの少し困ったようなそぶりを見せていたが
どちらかというとタツミはシジマ寄りなのですぐ慣れた。

「・・キリヤは?」
「あ?い・・いやオレはいいって別に」
「?・・蛇嫌いだっけ」
「違うっての!・・・ったく、しょうがねぇな」

などと言いながらも少し年上のメカニックは
しょうがなさそうにタツミと一緒になって赤くて大きな蛇を触る。

最初はおっかなびっくりだったその青年も
あんまり蛇に堂々と触ったことがないのかぶつくさ言いながらも結構楽しそうだ。
でも慣れてきて少し強めに触ろうとしたら物理反射ではね返されてのけぞり
ジュンヤに笑いながら気を付けてと諭されたりしている。

「・・オレはペット会と言うよりガキの交流会に見えるが」
「はは、そう言うな。皆まだ年若いのだから
 こういった機会があるのも悪くないことだ」

そしてそんな若者達を大人な2人と3台の戦車達が
遠巻きに静かに見守っていた。



それからしばらくして話し合った結果
とにかくジュンヤ達の帰還方法として鉄くずを集め
バトー博士のところに持っていくというのが第一の目標として定められた。

そしてそこでタツミはある1つ提案をしてくる。

「・・鉄くずは重さもあるから、重量の関係であんまり戦車にのせられないんだ。
 だから家から一台予備の牽引車を持ってきてそれに積もう」

牽引車は積んでいるエンジンを使わず他の戦車が引っぱるだけだからたくさん積めるし
ついでにダンテもジュンヤも戦車の上に乗ったままと言うこともなくなるので
一行はタツミの実家がある街へ戻り、実家の地下ガレージへ向かった。

凄腕のハンターとあってそこには色々な戦車が並んでいた。
ダンテもジュンヤも戦車には詳しくないが、バギーや砲塔が4つある空戦用の戦車
あとちょっと武装されているバスなどそれぞれ色々な車種があって
そこはちょっとした戦車博物館のようになっていた。

そしてそこにあった何台かの戦車からタツミがチョイスしたのは・・

「・・・・オイ、ちょっと待てこれって・・」

はいこれに乗って、と言われたダンテはしばらくそれを凝視して
マジでこれかと言わんばかりにそれを指さす。

ジュンヤも何か言いたそうにするが、タツミはまったくお構いなしに
その車両と最後尾の戦車をつなげる作業を始めている。

しかしよく見れば他にある戦闘用戦車達からすれば
その車体は物を載せやすそうだし乗り心地もタイヤからマシそうだし
機能性という点では申し分ないかもしれない。

いやしかし・・・

「おい、一応聞くがホントにこれでいいのか?」
「・・人が何人か乗るにはこれか・・あっちのバスがいいと思って」
「だったらそっちのバスの方がまだよくないか?」
「これよりもバスは装甲が薄いんだ。それに・・」
「それに?」
「赤いし」

そう。タツミの指定した戦車・・・と言っていいものかどうか分からない車は
赤いと言われた通り、ダンテと同じで赤かった。

それは誰でも一度は見たことがあるだろう
消防署に置かれている真っ赤な車体の消防はしご車だった。

なんで戦車の他にこんなもん持ってるのかと聞くと
ただ珍しかったから買ったのだと言われ
しかしそれにしたってどうしてコレなのかと聞くと
ダンテとサマエルが赤いから、と根拠理由一切不明な事をさらりと言われ
ダンテもジュンヤもサマエルでさえも、それ以上何も聞けなくなった。



そして三台の戦車と一台のはしご車と一匹の犬は
鉄くずを求めて再び広い砂漠に舞い戻ってきた。

だがここでダンテにのみにとても困った事態が発生する。

砂漠にはあまりタイヤに負担をかける物がないので車体はゆれない。
これが戦車だったらキャタピラの動く音で多少なりとも騒がしかったかもしれないが
タツミのチョイスしたはしご車は運悪くタイヤ式。

しかも運転していたなら多少は気が紛れたのに
前を走る黒い戦車に牽引されているのでその必要もない。

時々機銃の音が聞こえてくる以外は
比較的静かに進む車体の中で、ダンテは非常に困っていた。

なにせ隣にはさっきから一言も口を開かないジュンヤが座っていて
さっきとはうって変わった異様な雰囲気をにじませている。

どうやら犬とじゃれて気が紛れたのは一瞬の話だったらしい。

そのいつもと変わらないような横顔からは
なんであんな無茶するんだという無言の怒りがただよってきて
ダンテは逃げ場のない車内で非常に困っていた。

サマエルがいれば多少のフォローをしてくれ
しょうゆがいればかなりの助けになったろうが
2匹ともはしご車の上や後にいたりで今この場にはいない。

狭い場所に2人きりというのは
こんな状況でないならさぞからかいのネタになったろうが
怒っているジュンヤにそれをするのは自殺行為にも等しい。

もう一台あったバスの方なら後の席に避難してでもやりすごせただろうが
タツミが遊びで書いた車体屋根の巨大なオヤジの文字と
バスカイザーというネーミングで速攻嫌気がさし
しかたなしにこちらを選んだ事をダンテは今さらながらに後悔していた。

と、いってもこの赤い車体も車体で
赤いからアカノタニンなどというふざけた名前がついているのだが。

「・・・おい、少年」

その重たい沈黙に耐えかねて運転席に座っていたダンテが先に口を開く。

「オレの仕事は・・・」
「便利屋でハンターなんだろ。知ってる」

進んでいた車体が急に止まってごとんと揺れる。
おそらくタツミ達が回収した鉄くずになる塊をのせているのだろう。

窓からぼんやり外を見ながら
助手席でまったりしているだけに見えるジュンヤがさらに続けた。

「でも今ダンテさんの依頼人は俺だろ。
 なのにその依頼人に許可も取らないで
 1人で危ない目にあって1人で勝手に戦うのも仕事のうち?」
「・・・・・」

ごとんと車体がゆれ、また走り出す。

「しかしな少年・・」
「うん、わかってるよ。今まで1人でやってきたから
 今度もちゃんと勝つ予定だったんだよな。
 そうだよね。ダンテさん強いから別に俺がいなくっても
 1人で勝って1人で生きていけるもんな」

その口調は静かだが、声色には明らかな怒気がまじっていて
ダンテは戦いでも感じた事のないあせりに心臓を掴まれる。

「いや、だから・・・」
「けど俺は一応心配してたんだよ。
 なのにそのご本人ときたらやっと見つけたと思ったときには
 なんでか知らないけど砂の中に飲み込まれそうになってるし
 知らない間に普通にこの世界に当たり前みたいに溶け込んでるし
 俺は心配すればいいのか傍観しとけばよかったのかすっっごく複雑な心境なんだよ」
「・・・それは・・・」
「で、俺いつもみんなにもダンテさんにも言ってると思うけど
 勝つよりまず自分の安全を重視して戦えって言ってるよな」
「・・・・・・」
「最近はちゃんと守ってくれてるって安心してたんだけど
 俺の見てないところでは実はそうじゃないんだなぁ。もうびっくりだ。
 でもさ、見てないところで無茶されたらフォローのしようがないって分かっててやってる?
 あぁ、そっか、言われなくてもわかってるよね。ダンテさん経験豊富な大人なんだから」
「・・・」
「でも経験が浅くて心配性な俺の気持ちとかも、一応くんで行動してほしいな。
 捕まえようとしたのを拒否られて、知らない間にピンチになって
 俺の見てないところで危ないことして勝手にケガされたら
 俺がダンテさん雇ってる意味って一体全体なんなのか
 もう何回目になるか分からないけどまた考え直さないといけなく・・
 ・・って、ダンテさん聞いてる?聞いてない?
 聞いてなかったら今まで言ったこと繰り返して
何10回でも言ってあげるけど」
「・・・・聞いてマス・・・」

その後の状況はプライバシーと名誉のために省略するが
自分と同じ色の車体と平行して上を飛んでいたサマエルは
その様子を想像し・・・いや、あまり考えないようにしつつ
でもちょっと身を縮めながらただ黙ってその後をついていったそうだ。

そうしてしばらく前で戦車達が敵を倒しながら鉄くずを集め
後では赤い車の中で静かで有無を言わせない説教会が続けられる。

それから小一時間ほどして

『・・あらかた集まったよ』

積んであった無線からようやくタツミの連絡が入ってきた。

『あとは街でちゃんとした鉄くずと交換してもらって
 博士の所に持っていくだけ』
「あ、すいません。お手数かけます」

いつもの声色に戻ったジュンヤが通信機に向かって頭を下げる。

それが見えているわけでもないのにタツミは『うん、別にいい』
と本当に別になんでもないような返事をし、ブツと無線を切った。

かと思ったらそれはまた思い出したかのようにつながり・・

『・・あ、それと赤い人』

密室状態の説教に長時間付き合わされ
ぐったりしすぎてシートと同化しかかっていたダンテを呼ぶ。

そして言われた言葉は実に短かった。

『ご苦労様』

それはつまり
無線の向こうでずっとこちらの会話を聞いていて
なのに助けもフォローもせずただただ黙って聞いていた証拠。


ダンテは最後の力をふりしぼり、力のかぎり通信機を蹴りたくなった。




賢明なキリヤの必死の説得でジュンヤ達を外に残し
タツミ達はあのちょっと変わったバトー博士の所に鉄くずを持って行く。

中でゴキブリ(ダンテの事だとまだ思ってる)はどうしたのとか聞かれたそうだが
その事はラシードも一緒に外にいる連中には話さない事にした。

そして見た感じいくらでもあだ名をつけられそうな連中の元に
この世界のハンター達は戻ってくるが
見ると最後尾のアカノタニンにどこかで見たことのある
円柱型の何かが積まれていてジュンヤは驚いた。

「Sターミナル!?」
「え?そう言うもんなのか?博士は・・・・・・・・いや、まぁいい」

ホントは博士がゴキブリマシーンRXと無茶な名を付けていたのだが
言うとまたややこしい事になりそうなため
キリヤは何か言いかけたタツミの口をばしと押さえつつ適当にはぐらかす。

それは本物と多少細部の作りなどは違っているものの
手をかざすと別に問題なく動作するようだ。

「・・すごい、これをあの鉄だけで作ったんですか?」
「あの博士、見た目と性格はアレだけど物を作るに関しては天才的な博士だからな」
「すごいなぁ・・・そんな凄い人なら会って見たかったな」
「あ、やめとけ。ホンっっトにやめとけ。
 アンタみたいな特徴のあるやつはさぞ素敵な目にあう」
「は?」

心底心配してくれるキリヤがそう言ってくれ
ラシードもやたらと複雑な笑みでそれを肯定する。

その間ダンテは完全にノーコメントを通していた。

「でも・・本当にいいんですか?
 ハンターってお金をもらって仕事をする人なんじゃ・・・」
「いいんだよ。どうせコイツは金とか報酬とかより
 自分が面白そうだと思ったことに首突っ込んでいくタイプなんだから」
「それに報酬なら先程の賞金首の分でまかなえる。
 そう気にするほどのことではない」

などと言ってくれるメカニックとソルジャーから離れたところで
ハンターでありこのメンバーのリーダーでもあるタツミが
あんまり気にした様子もなくサマエルと遊んでいる。

報酬を気にしないという所はダンテに似ているが
この少年ハンターはなんだかどこか闘争本能というか戦闘意欲に欠けて見え
ジュンヤもダンテもそれを見ながらなんだか複雑な気分になった。



そしてSターミナルは一応安全のためにと
街から離れた砂漠のど真ん中で使用することになった。

タツミはどうせなら自宅で一泊してから帰らないかと勧めてくれたのだが
ジュンヤはそれを丁重に断った。

何しろ自分はこんなだし大きなサマエルも目立つし
あまり自分たちが他の世界に関与してはいけないからというのが断った理由だ。

けれど理由はそれだけではないだろう。

あまり長居をするとここから離れたくなくなるだろうし
何より自分たちはここの世界の住人ではないし
元いた世界に帰ってするべき事をちゃんとしなければならない。

でもジュンヤはタツミの好意は嬉しかったと少し寂しそうに笑った。
タツミはそれを見てちょっと考え
相変わらず何を考えているのか分からないような顔で手を差し出し・・

「・・がんばって」

と、どこか何かを悟ったかのように静かな言葉をかけた。

おそらく見た目にはそうは見えないが、凄腕のハンターのカンからして
ジュンヤが今大きな坂を上っている最中だというのが分かるのだろう。

ジュンヤは少し驚いたような顔をしてから

「ありがとう」

しっかりとその手を握り返した。

あまり歳は違わないようなその少年の手は
戦車を操るためか、それとも経験の差なのか
大きさも違わないというのになぜかダンテのように力強かった。

「あんた達の世界がどんなもんなのかもうちょっと知りたいところだったが・・
 なんかそっちはそっちで込み入った事情がありそうだから
 また今度落ちついたときに機会があれば教えてくれよな」
「それはいいですけど・・また来れるなんて保証は出来ませんよ?」
「機会があればって言ったろ?
 それにコイツといるとそう言った事態には不自由しないからさ。
 またいつかどこかでばったり会うなんて事もあったりするかもしれないぜ?」

そう言ってキリヤはタツミの頭をぺしと叩く。

その性質はまるでジュンヤのようだが、そう言ったトラブルを呼び込む体質も
時としてはまた新たな出会いを生んだりするものだ。

「・・ま、そういうのも強くなるには悪くない要素だな」
「はは、違いない」
「笑うってことはアンタもその素質に引かれて付き合ってるってタイプか?」
「それもあるが・・・それだけではないのはそちらにも分かるだろう?」
「・・・まぁな」

面白そうだからとついてきて
いつのまにかそれだけが一緒にいる理由でなくなったダンテは
タツミ達と騒いでいる若者達を見た。

「しかし興味を持つのは悪いことではないが
 その対象に喰われてしまうのは避けたいところだ」

そう言って苦笑するラシードにダンテは思いっきり鋭い視線を突き刺す。

「・・・おい、まさかてめぇ・・」

あのぼんやりしたハンターと同じように
ただ聞いてやがっただけなのかと聞こうとしたが・・

「あの・・ジュンヤ様名残惜しいかもしれませんがそろそろ」

実はこの場で一番の常識人であるサマエルによって
その場全員の意識が現実に引き戻された。

「あ、そっか。それじゃあお手数かけました」
「うん、別にいい」
「いいって。おかげでこっちも賞金首1つ片付いたしな」
「・・・痴話ゲンカもほどほどにな」

ぽそりと言ったラシードに向かって、ダンテは青筋立てつつ銃を抜きかけるが
それはジュンヤがびしとチョップ一発当てて止めた。

そしてジュンヤは最後にしょうゆを抱きしめ
タツミ達から離れた所に置かれていたSターミナルを起動させる。

それは一応またはぐれないようにとサマエルがジュンヤに軽く巻き付き
ダンテのコートのすそを噛むという変な状態だったが
それは問題なくその周囲を赤い光に包んでいく。

「それじゃあお世話になりました!」
「お互いに御武運を」
「・・・・」

ダンテは無言でラシードに首をかっきる動作をしてみせる。

そう言えばかなり性格は違っても
かつてこの銃器を使わないという姿勢の身内とは
昔そりが合わずに色々あったものだ。

そして赤い光は一瞬強烈になったかと思うと
中にあった物を全部、ここではないどこか
しかし元あるべき場所へ持って消えてしまった。

この世界の少年ハンターはそれを見送った後
ぽりと頭をかくようなしぐさをしてこんな事をつぶやいた。

「・・・母さん達に・・会いに行こうか」

キリヤが少し意外そうな顔をする。

「お、なんだよ。珍しいな」
「・・最近修理にも行ってないから、たまには顔出さないと」
「あの2人のようになりそう・・か?」

楽しそうにそう言うラシードにタツミは『うん』とうなずき
しょうゆの頭を撫でてから黄色い戦車によじ登り、滑り込むように操縦席に入る。

「そういや俺もたまにはオヤジ・・はともかくおふくろのとこに顔出した方がいいかな」
「はは、確かにそうかもしれん」
「ちぇ、独り身のオッサンは気楽でいいよ」
「いや、そうは言ってもこちらから見れば
 待ってくれている人間がいるというのはいいものだぞ?」
「・・ま、そうかもしんねぇけどな」

けどあんな静かで強烈な説教をくれる待ち人はごめんだと言い
ラシードと同じくやっぱり盗み聞きしていたキリヤは
怖い怖いとばかりに肩を抱きながら紺色の戦車に乗り込む。

そう言えばあの自分を目の敵にする女ソルジャーも
あまり姿を見せないとどこへ行ってたんだと怒りそうな気がして
ラシードもたまには顔を見せに行こうかと思いながら
黒い戦車の操縦席に潜り込んだ。

「・・あ、そういやしょうゆの面倒ばっかり見てたら
 研究所に残してきた他の子達がやきもち焼くかな」
「・・・おまえなぁ・・・」
「ははは、アットホームなハンターだ」
「でも・・大事なことだと思うよ」

戦車の小さな窓越しに
変な連中の消えた砂漠を見ながらタツミは言った。

そしてタツミは古びた研究所に残してきたしょうゆ以外の犬3匹の事も視野に考えながら
戦車のドッグシステム(自動帰還システム)を起動させた。

そして三台の戦車と一匹の犬は退廃した砂漠の大地を走り出す。

しかしその彼らの行き先は、戦場でも賞金首の元でもなく
たまには帰るべき故郷や家族の元だった。






「なぁサマエル」
「はい」
「あの人達、ボルテクスと似たような世界にいるのに
 親切だったし・・人も良かったな」
「そうですね」
「それで思ったんだけどさ、俺もみんながいなかったら・・
 多分今みたいになってなかったと思う」
「・・・・」
「仲間も仲魔も・・やっぱり誰かが近くにいるっていうのは大事なことだよな」
「ジュンヤ様がそうおっしゃるなら・・そうなのでしょうね」
だ・か・ら!ダンテさんも1人で突っ走らないで
 たまには回りを見回そうな!OK!?」
「・・・・OK」




まぁとにもかくにもそれぞれの世界に戻ったハンター達であったが
今回の事件、あまり自分の家業に集中していると
時たまひどい目にあったりするのだという事がわかった一件でもあった。


特に悪魔も泣き出し悪魔に泣かされそうになったハンターなどは
この一件以来、しばらく口数も少なく行動も大人しくなり
事情を知らない他の仲魔などから気味悪がられたりしたとか。




「・・・オレもそのうち・・アイツに賞金かけられるかもしれないな」


それからしばらく後のとあるバー。

何気なくそうもらされた平ぺったい神獣は
何のことだとばかりにつまみのチーズをくわえたまま小首をかしげる。

その横にいた赤い背中は
哀愁半分、残りは嬉しさ楽しさその他もろもろというちょっと微妙な空気を漂わせたまま

誰かの目と同じ金色の酒を少しづつ飲んでいる。









好きな人は好きで知らない人はまったく知らないだろうメタルサーガの話でした。
ファミコンでメタルマックスというのをやってたらわかると思いますが
怪物を生身ではなく戦車で倒すというある意味現実的なRPG。
バランス的にはちょっと首をかしげる部分も多いんですが
そこそこ楽しかったんでダラダラと書いてみた結果がこんな感じに。
ゲームとは多少違った部分がありますがご勘弁。

でも勝っても何ももらえない無意味な早飲みとか
柴犬が書けたらそれでよかったような気もします。
ちなみにタツミというのは昔よくかよってたサイトさんの人修羅名。
主人公はゲーム中ほとんどしゃべらず無表情だったんでこんな感じになりました。

あと毎度の事ながらこんなダンテですみません。


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