1. 傷心のハンター・・もとい採集家さん

  「・・?あの物々しいのって・・レイダさんだよな。
   あんな所に寝っ転がって何やってるんだろ」
  「・・・・・」
  「レイダさん何やってるんですか?」
  「・・・・・」
  「レイダさん?」
  「・・・・・」
  「
レイダさーーーん!!
  「
ぎゃッ!?うっわびっくりした!?なんだジュンヤか驚かさないでよ!」
  「いや驚かすも何も・・さっきから何回も呼んでたんですけど・・」
  「え?そなの?」
  「そうですよ?・・・あの・・まさかまだ自分の名前に自覚がないとか?」
  「・・あ、うん、まぁ・・それもあるんだけど・・今・・ちょっと気力がなえててさ」
  「え?」
  「(持ってた立派な剣を見せて)これ、最近作った封龍・・なんたらって名前の剣なんだけど
   作るのに大量の鉱石がいって、お金もそこそこかかった代物なの」
  「へぇ・・カッコイイですね」
  「うん。見た目はカッコイイ。切れ味もまぁまぁある。
   けど作ってから分かったんだけど・・・コレ、あたしにとっては致命的な問題があってさ」
  「え?もしかして威力は弱いんですか?」
  「・・うぅん。龍属性ってのがついてて飛竜系にはそこそこ強いの」
  「飛竜って・・あの赤黒くて大きかった怪獣みたいなアレですか」
  「うん、でかくてデカくて空飛んで火吐いて倒しにくいアレ。
   これさぁ・・・普通の生き物には大した効果はないけど、アレにだけは強いのよ」
  「・・・・・・あ」
  「そ。これってあたしが好きこのんで戦わないヤツにだけは強いのよ。
   他の連中には2ケタのダメージしかいかないのに
   あたしが毛嫌いしてて避けてるアレにだけは効果があるのよねぇ・・・」
  「・・・あの・・・追い打ちかけて悪いんですけど
   作る前に気づけなかったんですか?」
  「・・・狩猟本能が薄いかわりに、なんでも作ってみないと気が済まないタチが
   今となっては憎たらしいわよ」
  「・・・(かける言葉なし)」
  「・・・うーん・・つっても鉱石掘ってる間にまた新しい武器素材(さびた塊)拾っちゃったし
   気分切り替えていくしかないかなぁ・・・」
  「・・そ、そうですよね。過ぎた事は早く忘れて、新しい事に気分を切り替えた方がいいですよ」
  「うっし(跳ね起きる)じゃあ気を取り直してまた結晶集めにでも走りますか。
   ・・あ、そうだ。なんだったら一緒に来てみる?
   色々な場所に行くつもりだから、それなりに気分転換になるかもしれないし」
  「え?いいんですか?」
  「うん。やることは大体素材集めだから、そんなに危ない事はしないしさ」
  「じゃあ行きます。レイダさんが普段どんな事してるのかちょっと見てみたいし」
  「ん。それじゃあいらない物家に放り込んでくるからちょっと待ってて」
  「えっと・・俺が準備する事ってありますか?」
  「いや、必要な物はこっちで用意するから身1つでいいよ。
   とにかくちょっと待ってて。すぐ戻るから」

  2分後。

  「はいごめん、お待ちど・・って、アレ?」
  「(複雑な顔したジュンヤの横で片手上げ)やぁこんにちは」
  「コント兄弟父じゃない。どうしたの?」
  「・・・否定はできないがその呼び方は正しくないな。スパーダでかまわない」
  「ふーん。で?そのおとっつあんが何でいきなりそこにいるの?」
  「いや実は偶然通りがかった所にジュンヤ君が1人でいるものだから
   どうかしたのか聞いたところ、君と一緒に出かけるというのでね」
  「あぁ、憑いてくる気なのね。まぁ別に危ないことしないから別にいいけど」
  「・・・あの・・・会話が微妙にかみ合ってないように感じるんですけど」



  どっちも微妙に天然だから。





2. 森と丘のエリア6(ダンテとよじ登ってた崖)にて

  「ほらほら、大丈夫だから早くおいでってば」
  「(直角の崖下をのぞきながら)えっと・・でも・・ホントに大丈夫・・なんですか?」
  「平気平気。ここ、一番高いところ(高さ数10メートル)からダッシュで飛んでも
   着地の時に膝と両手つくだけだから」
  「・・・ダッシュでって・・・ここの重力ってそんなに甘くできてるんですか?」
  「さぁ?他がどうなってるのかは知らないけど、少なくとも落ちてケガはしない」
  「(満面の笑みで見上げて両手広げつつ)不安なら私が抱きとめるが?」
  「結構です!!(いろんな意味で)余計に危なそうだからいいです!!」
  「照れなくともいいのに」
  「・・・いいからどいてて下さい。自力で降りますから(飛んで降りた)」
  「はい、ご苦労さん。んで、ここの亀裂でピッケル使うと
   鉱石が取れるんだけど・・誰かやってみる?」
  「力仕事のようだから私からやろう」
  「ほい、じゃあまずはおとっつあんね(ピッケル渡す)。
   でもそれあんまり頑丈じゃないから壊れた言ってね」
  「わかった(構える)」
  「・・・・(それを見て何やら複雑な顔)」
  「ん?何かな?」
  「・・・いえ・・・その外見でツルハシかまえるってのも・・どうかと思ったんですけど
   でも・・何というか・・不思議と似合ってますね」
  「ははは、そうかそれは光栄だな」
  「じゃあこっちはどう?(虫とりアミ渡す)」
  「・・似合ってますね」
  「じゃあこれは?(そこらで摘んだ薬草渡す)」
  「・・以下同文」
  「(緩みきった顔で)そうかそうか。うんうん、やはり君は見る目があるなぁ」
  「・・・でもその何でもかんでも似合うっていうは逆に不気味ですよ」
  「うん同感」
  「(笑顔のまま固まった)・・・」



  でもこの世界のハンマーだけは似合わないので安心。





3. 気を付けないと勝手にそっちへ走ってしまう伝説の父

  「え?こんなクモの巣にかかってる虫の死骸までいるんですか?」
  「うん、それ自体は使えないけど、それは森の奥のジジイの所で
   それなりにお金になるキノコと交換する立派な品物なの」
  「さっき拾った石といいこれといい・・無駄のない世界ですね」
  「そりゃあ自然の物ってのは何でも無駄なく出来てるから。あ、そこのキノコもお願い」
  「はいはいと・・」
  「・・・・(それをさっきからしゃがんでじーーっと見てる父)」
  「くおら(投石)」
  「あいた(直撃)」
  「あのさ、さっきからずーっと気になってたんだけど何してんの?」
  「いや何と言われても・・なんとなく見とれていだだけだが」
  「這いつくばって物探してるジュンヤの尻がそんなに面白い?」
  「いや面白いというか魅力的というか、どうしても見ずにいられないというか
   (ビー)とか(ブー)だとか(パップアー)し・・
うご(至高の魔弾直撃)!?
  「(片手に真空ためながら物凄い目で睨みつつ)
   ・・・スパーダさん、真面目にやって下さい
  「いや私はいつでも真剣・・・あ、いやすまない。ゴメン。ソーリー。私が悪かった。
   だからその手は下ろしてくれないかな」
  「・・うーん、やっぱ親子だ。見事なコント」
  「
違います!!



  戦わないとロクでもない事にしかならない血族。
  ちなみにただの石は投げる以外にネンチャク草と合わせて素材玉になり
  他の素材と合わせていろんな玉になったりします。





4. 資金繰り中級編へ

  「・・え?砂漠・・ですか?」
  「うん。森と丘だけじゃ集める物にも実入りにも限界があってさ。
   もうちょっとまとまった資金調達に砂漠に魚狩りにでも行こうと思ってるんだけど・・
   あ、でも砂漠っていってもそれなりに花とか草とかは生えてるし
   ただただ砂だけってわけでもないんだけどね」
  「いいですよ。俺魚釣りは好きな方ですし、砂漠で釣りなんて珍しそうだし」
  「そっか。じゃあ砂漠行きの依頼受けてくるね」
  「あ、ちょっと待ってくれたまえ。その前に1つ質問していいかな」
  「ん?なに?」
  「魚、狩り、なのか?」
  「うん、魚狩り。ちなみにエサはいらないし、使うのは竿じゃなくてコレ(ハンマー)」
  「・・・え”?
  「じゃあちょっと待っててね。ジジイ(村長)の所に行ってくるから」
  「ちょ、ちょっと待って下さいよ!何ですかその短くて不吉な言い回しと
   物騒極まりない巨大鈍器は!?」
  「まぁ危険がないというのだし、万が一には私がついているから安心しなさい」
  「そういう万が一は事前に避けるのが一番なんですよ!
   それにスパーダさんが嬉しそうに笑ってると余計に不安がかき立てられ・・!
   ちょっとレイダさんってば!レイダさーーん!!」



  次回は砂漠でちょっとワンランク上の資金繰り。





5. 砂の海に着きました

  「でもよかった。あんた達熱いの平気で。
   クーラードリンク(暑さ対策のお薬みたいなもの)あんまりないから
   全員に渡したら短時間しか動けないと思ってヒヤヒヤしちゃった」
  「・・・それはいいんですけど・・・聞いてもいいですか?」
  「ん?」
  「あそこの砂の中・・勢いよく走ってるでっかいヒレって・・・・サメですか?
  「ううん、ガレオスっていう砂の中を泳ぐ魚みたいなやつ。
   たまーに出てくるけど走るルートは回る向きが違うだけで大体一緒だから
   その進路上と潜った少し先とかにいなければ安全」
  「・・・あの・・・まさか・・・魚って・・・」
  「うん、アレのこと」
  「ヒレだけでも優に1mありますよ!?どうやって釣るんですか!?」
  「ハンマーで叩き出すの」
  「エサは!?」
  「自分」
  「・・・・(絶句)」
  「しかしそれほど余裕があるのなら狩りの仕方は熟知していると見ていいのかな?」
  「うん。最近気がついたやり方なんだけどね。
   ま、あれは後回しにするとして先に洞窟に鉱石取りに行こうか」
  「・・・・・(凶悪な形のヒレを見つつ複雑な顔)」
  「(その肩たたいて)心配しなくとも狩りの方は私と彼女で担当しよう。
   君は君の出来る範囲の事をしていなさい」
  「そーね、その子素手みたいだし迫力負けしちゃいそうだし
   ジュンヤにはまた別のことを担当してもらった方が・・(洞窟の前で立ち止まって)
  「な・・なんですか?」
  「・・・ゴメン。ちょっと待っててすぐ戻るから(1人で狭い入り口の洞窟内に入っていく)」
  「?」
  「(中でゴツとかバキとかぶしーとか変な音させて)
   はいお待ちどうさま。もう入っていいよ」
  「・・・あの・・中で何・・」
  「ジュンヤ君早く入らないと日に焼けてしまうぞ(押し込む)」
  「え、ちょっと・・!」
  「・・(小声で)あ、わかっちゃった?」
  「・・(小声で)血の臭いを消し切れていない。
   だが君は粗野に見えてもなかなか気がつくな」
  「そりゃさすがにこんな子に見せるわけにもいかないしね・・」
  「?何ひそひそ話してるんですか」
  「「ナイショv(人差しゆび)」」
  「・・レイダさんはともかく・・スパーダさん怖いです」



  気にしない気にしない。中にいる物を盗む猫をぶん殴って排除しただけだから。
  だってここの猫ども、マタタビ掴ませても逃げてくれないんだもん。
  入り口付近で排除して白猫一匹残せればマシな方。





6. 砂魚の狩り方力押し講座

  「それじゃあ今からアレ(砂の中を泳いでる魚・・と思われる生き物)を狩るんだけど
   見ての通りあのままじゃ倒せないからね。
   まず一匹叩き出すのを実戦してみるから、ちょっと離れて見てて(チャージ姿勢)」
  「だそうだ。ジュンヤ君」
  「・・・俺、魚をハンマーで釣る人初めて見ますよ」
  「・・・(走ってくるヒレを見つつ狙いをさだめる)」
  「・・来るぞ」
  「うぅ・・離れてても迫力あるなぁ・・」
  「・・・・・・ふん!!(ヒレと接触する寸前、チャージで地面を
どガンと叩く)」
  「うわっ!?な・・なんか出た?!」
  「おぉ成る程。立派な魚だ」
  「立派なまでついてるじゃないですか!?
   っていうかあれ魚?トカゲ?深海のサメ?どれ?!?」
  「(そんな頭三角な魚を血しぶき飛ぶのもかまわず叩きまくって仕留めた)」
  「・・・・(絶句)」
  「(そこから剥ぐ)はい、一丁上がり。
   これ、ホントは音の出る道具がないと地面から出せないらしいんだけど
   こうして叩いた音でも出す事ができるってわかってからだいぶ狩りも楽になってさ。
   キモも牙とかもいい値で売れるから時々・・・ん?どしたの?」
  「はは、ジュンヤ君には少々生々しかったかも知れないな」
  「あ、そっか。じゃあジュンヤはあそこに見えてるサボテンから花取ってきて。
   狩りの方はあたしとおとっつあんでやっとくから」
  「私の装備はこれ(イフリート)だか効くかな」
  「んー・・まぁ同じ殴る物だから効くんじゃない?」
  「(などと言いながらヒレのウロウロしてる所へ平気で歩いてく2人を呆然と見送る)」



  ハタから見てると大迫力な魚釣り。
  攻略本持ってないのでこれを知るまでずっとヒレをうまーく斬りつけたり
  潜って上がって来る所を地道に叩いたりしてました。
  でもこれは攻撃力のバカ高いブレスコアを使った時の話なので
  そう上手くいくかどうかはちょっと自信なし。





7. スタイリッシュも経験なしでは普通の人

  「(サボテンの花を袋につめながら)え?一端キャンプに戻るんですか?」
  「(武器を研ぎ終えて)うん、依頼されてたキモが2つ取れたからその分を納品しにね」
  「(靴から砂を出しつつ)・・?確か依頼では3つとあったはすだが・・」
  「そう。だからあと残り納品用の1つと自分用のを持てるだけ持つの。
   このキモは10個までしか持てないから2つ先に納品しておくと
   10個取ってても納品で減るのは1つだけでしょ?」
  「・・さすがに慣れてますね」
  「そりゃあ大物退治以外は1人で色々とやってるからね」
  「でもレイダさん・・いつもあっけらかんとしてるけど
   狩りをする時はやっぱりハンターらしくてちょっとカッコイイですね」
  「そう?あたしはただ魚との距離を測るのに集中してるだけなんだけど」
  「(平静を装いつつ物凄く嬉しげに)では私は?」
  「・・え?えーっと・・そりゃスパーダさんはいつも何してても
   なぜか不思議と・・かっこいいんですけど・・」
  「けど?」
  「・・・(なんか言いにくそうに目そらしてる)」
  「あぁ、さっき魚の尾びれで横っ面ぶっ叩かれてすっ飛んで
   その先でちょうど頭出したのに食い付かれちゃったアレの事」
  「レイダさん!もうちょっとオブラートに包んで言って下さい!!
   ・・あ、ほらスパーダさんも、そんな所でうずくまって丸くならないで下さいよ。
   また食い付かれた後トドメとしてただ通りがかっただけのヒレに斬られて
   すっこけたら危ないですから」
  「・・・ジュンヤこそ、あたしが避けて言わなかったこと事細かに言ってるじゃん」



  律儀な心は時と場合でジャックナイフ。





8. ルールと秩序の問題ね

  「7.8.9の・・10!よし!魚のキモ取り依頼、これにて完了ー!」
  「え?でも鱗とか牙はまだ集められますよ?」
  「だーめ。確かに他の素材はまだ集まるけど
   倒した先でまたキモが取れたら倒し損になちゃうでしょ。
   そいつから取れる素材が1つでも一杯になったら
   それ以上は狩らないのがマナーだからね」
  「命を粗末にしない・・って事ですか」
  「そう。あんまり意味のない事かもしれないけど
   これはあたしがハンターとして守ってる約束事だからね。
   ・・つってもこれ、あたしが自分で決めてるだけの事で
   他のハンターはどうしてるかわかりゃしない事なんだけど」
  「・・いえ、大事な事だと思いますよ。確かに見た目は怖い魚だったけど
   もしかしたらこの魚を食べてるもっと大きな生き物がいたりして
   あんまり狩りすぎると生態系が壊れたりするかもしれないですし」
  「・・ふふ、あんたやっぱりいい子だ。ダンテとかバージルとかおとっつあんとか
   血の臭いのする奴らが自然と集まってくるのもなんとなく分かる」
  「え!?俺ってそんな血生臭いですか?!」
  「違う違う。そういった連中はね、いろんなものやバカみたいな力を持ってる分
   自分にないものを持ってる奴が急に恋しくなる時があるんだ。
   無い物ねだりっていうか寂しがりやっていうか・・・
   ま、一番は本人にしか分からない理由ってやつなんだろうけどね」
  「・・無い物ねだり・・ですか」
  「そう。人間にはよくある話。・・・・んで、その人間じゃないそこのおとっつあん
   いつまでいじけてるつもり(投石)?」
  「・・・(後ろ向きのままひょいと避けた)」
  「・・う〜ん、変にいじけられるのはイヤだけど
   無言でいじけられるのもちょっと鬱陶しいな(ハンマー構える)」
  「ちょ!ちょっと待って!だからってそれで殴るのはさすがにマズイでしょう?!」
  「そう?あのおとっつあん頑丈そうだから3撃くらいは耐えられそうだけど」
  「耐えたとしても人道的に駄目ですよ!・・とにかくどうするかは歩きながら考えましょうよ。
   もう魚は狩らないんですよね?」
  「うん、後は暑くないところの採集がちょっとあるくらいだから」
  「・・・・(不機嫌顔のまま無言でついてくる)」



  父無言でいじけ中。まだ続く。




9. よい子が真似したらどうするんですかな話

  「え?麻痺効果ですか?」
  「うん、前にあんたたちにたかってた青いヤツの一つ上がこれで
   ゲネポスっていうヤツなんだけど・・(剥ぐ)この牙に麻痺毒か何かがあるらしくて
   かじられるとしばらく動けなくなっちゃう時があるの」
  「うわ・・数に囲まれてる時は危ないですね」
  「最善策としてはとにかく正面にいない事と、かじられる前に倒す事なんだけどね。
   でもここはまだ広いからいいとして、狭いところで囲まれると悲惨だよ〜」
  「う・・脅かさないでくださいよ・・」
  「あ、そうだ。いい事思いついた。ちょっとこれ、持っててくれる?(剥いだ牙渡す)」
  「?」
  「で、それを持ったままあそこで後ろ向きに突っ立ってるおとつぁんの肩叩いてみて」
  「え?でもまだイジけてますけど・・」
  「いいからいいから」
  「・・・?えっと・・スパーダさ・・(肩叩く)」
  「(無言で振り返った拍子に持ってた牙が顔にささった)」
  「!!
  「・・・(ちょっと間を空けてぱたと倒れた)」
  「ぅ
わーー!?
  「あ、かかっちゃった」
  「あ、かかっちゃった。じゃないですよ!!知っててやらせたんですか!?」
  「いや、できるかなーとか思っただけでホントに痺れるとは思わなかったから」
  「そんなあっけらかんと!?」
  「まぁまぁ落ち着いて。ちょっと痺れはするけどそのうち動けるようになるから」
  「・・うぅ・・レイダさんもどこかの誰かさんに感化されてきてるような気がする・・」
  「・・・・・(少しして起きた)」
  「あ、スパーダさん大丈夫ですか!?」
  「・・・(じーと凝視して)・・・ふ・・ふふ・・ははは
   まったく君は・・面白いなぁ(頭撫でる)」
  「・・え?」
  「そうだな。せっかくの時間をふさぎ込んでしまうのは勿体無い。
   こんな簡単な事に長々と気づけないとは情けない話だ」
  「???」
  「では行こうか。次はあの洞窟だろう?限りある時間は有意義に過ごさねば」
  「あの・・ちょっとスパーダさん手・・・」
  「・・・(引っぱられていく後姿見送りながら)
   ・・奇怪な立ち直り方だこと。まぁ別にいいけど」



   父回復。まだちょっと続く。




10.地底湖DEコント

  「うわ寒っ!なんか急に気温が下がってませんかここ!?」
  「あ、そういえばここ、その崖から下が地底湖になっててちょっと寒いんだ。
   あんたその格好じゃさすがにちょっとこたえるかな。
   一応この下で採る物もあるんだけど・・ここで待っとく?」
  「いえ、そう長時間じゃなければ大丈夫ですよ・・うわ・・でも息が白いや。
   さっきまでは砂漠にいたのに変な感じ」
  「ジュンヤ君」
  「はい?・・って・・何してるんですか?両手広げて」
  「暖めてあげよう」
  「いっ!?いいですよ!ちょっとくらいなら平気だし!」
  「(ニコニコしながら)しかしその状態では寒いだろう。遠慮する事はないぞ」
  「勝ち誇ったような顔して言わないでください!
   というかそんな事するよりもその上着を貸すとかもっと他に方法が・・!」
  「ははは。照れ屋だな君は。
   しかしこう言った事は理屈で考えるよりも行動で示したほうが効果的だろう」
  「なんのですか!・・え!?ちょっと待っ!なんでにじり寄って・・!?」
  「そいや(蹴)」
  「(尻を蹴られて崖下に落ちた)」
  「うん、確かに行動した方が手っ取り早くて効果的ね。
   それじゃ行こうか。下にちょっとだけゲネポスがいるけど寒いから手早く済まそう。
   (と言って飛び降りた先で、なんか潰されたみたいな悲鳴がした)」
  「・・・・(もうツッコむ気も起こらない)」



  別に邪魔するとかノーマルだからとかじゃなくて
  ただタンパクなだけなバケモノハンター。





11. 運が悪いけど運のいい子

  「・・うん、虫とりはこれくらいでいいかな。そっちはどう?」
  「えっと・・カラの実と何かの種ありました。
   でもよくこんな何もない草の中にあるって分かりましたね」
  「それなりに調べたからね。ある程度使えるものが落ちてる場所は把握して・・
   あ、ちょっとそこの背中に靴あとつけてるおとっつあん。そっちはいいからこれ詰めて」
  「・・・誰のおかげだと思っているのかな君は」
  「運動能力はあるとか言って自慢してたのに
   落ちてすぐどかなかった目の前のお方のおかげ」
  「・・・・・・」
  「・・あの・・スパーダさんとりあえずその踏み跡消しましょうか」
  「・・・お願いしよう」
  「さて、これであらかた採集は終わったんだけど・・
   ねぇジュンヤ、そこの崖下の暗いところ、ちょっと見てくれる?」
  「え?ここですか?」
  「うんそこ。何かある?」
  「・・・えーっと・・暗くてよくわからないけどただの石しか・・・あれ、キノコがある」
  「ホント?!」
  「はぁ、一個だけですけど・・こんなやつが」
  「うわっはー!やっぱり!さっすが黄金魚を初回で釣り上げたラッキーボーイ!(飛びつく)」
  「うわあ!ちょっとレイダさん!鎧冷たい!」
  「?それは・・もしやマンドラゴラか?」
  「そう、噂じゃ引き抜いた人間を殺すっていう物騒なブツだけど
   そんなのあくまで噂だし、これってここでしか、しかも滅多に手に入らないから・・」
  「・・あの・・レイダさん・・ホントに冷たいんでそろそろはなして・・」
  「あ、そっかゴメンゴメン。じゃあそっちへパス(スパーダの方にポイ)」
  「えええーー!?!」
  「(ぼすんと受け取って)ははは。やはり随分と冷えているじゃないか。
   若いと言えどもやせ我慢はよくないぞ?」
  「いや!やせ我慢もなにも!俺元からこんなくらいしか・・うわ!ちょっと!待っ・・!!」
  「・・・よしと。それじゃあ今回の採集はこれで終了にしようかな。
   はいそれじゃそこのスットココンビ、そろそろ帰るよー・・えい
   (思いっきりなんかしようとしてたスパーダにチョキ作って鼻フック)」
  「っ・・!!ちょッ!はの!君!一ほう女の子なんらから
   男ひの鼻にゆひをすっこむのはいかはなものはと・・!(引きずられてく)」
  「・・・・・アレもある意味・・・かっこいい・・のかなぁ・・・」



  バカやってないでいい加減に帰りましょう。





12. だってこの世界の男女差なんて服のデザインだけだし

  「キモ9個、牙4つに顎5つ、鱗3枚とヒレ1つにマンドラゴラ
   サボテンの花にエトセトラ・・っと。よし!これだけあれば結構な収穫だ!
   ありがと!これでしばらくは金欠に困らないよ」
  「そっちの金利がどれくらいなのか知りませんけど・・よかったですね。
   でもレイダさんってそんなに浪費する方じゃないんでしょう?」
  「そりゃそうだけど・・お金っていうのは貯めるのは大変なのに
   使うとなるとあっという間だからね。これが作りたいなとか思ってやり出したら
   いつの間にか貯めてた分が貯蓄してた資材と一緒に一瞬で消えてるし」
  「あ、それちょっと分かります」
  「(鼻を押さえつつ)私も少し」
  「でも実は言うと、最近欲しいと思う物の物価がやたらと破格でさ。
   このくらいしてないと資金繰りが追いつかないのよね」
  「欲しいものって・・また武器ですか?」
  「ううん、防具なんだけど黒くて金の縁取りのしてある
   ちょっとかっこいいスカートと具足があってさ」
  「ほう?君もそういった女性らしい所はあるのだな」
  「・・でもそんな黒でシックに決めてみても
   持ってるものは巨大鈍器のまんまなんですよね」
  「うんそりゃあね。ちなみにその黒の装備
   今回集めてたキモ200個分のお値段だから・・」
  「
わー!やめて!そんな恐ろしい換算の仕方しないでー!!」
  「・・・(前言撤回と思ってる)」
  「さて、それじゃそろそろ戻って荷物換金しないとね。
   2人ともありがと。結構助かっちゃった」
  「・・いえ、なんかもう色々振り回されただけな気もしますけど
   それなりに面白かったですし」
  「(ちょっとなんか言いたげだけど飲み込んで)
   ・・まぁいくつになっても経験をつむことは悪い事ではないのだし
   お役に立てたというのならそれでよしとしておこう」
  「微妙な言いまわしねぇ。まぁいいけど。
   それじゃ、また機会と余裕があったらお願いするね」
  「ジュンヤ君が同行するのなら喜んで」
  「・・・真顔で言わないで下さいよ」
  「あはは。おとっつあんもあんまりその子困らせたらダメだよ。
   それじゃ、ダンテとか若い息子達によろしくねー。
   (ちょっと生臭いザック背負ってズシズシ帰ってく)」

  「・・・女の人も色々ですね」
  「・・・人類の神秘だな」



  いや、ここにいる連中はどっこいどっこいだろと思う。





13. 番外編。メールから生まれた若兄と姐の話

  「・・あれ、青・・じゃなくて、バージルじゃない。どうしたの?なんかえらく汚れて」
  「・・・(持ってた袋突き出して)やる」
  「へ?」
  「聞こえなかったのか?やると言っている」
  「・・?(とりあえず受け取って)なに?なに詰めこんでるの・・
   って・・ん?特産キノコと・・黄金魚こんなに!?」
  「行きずりに拾った。どれも邪魔にしかならんので貴様にやる」
  「え・・いやでもこれって行きずりなんかで手に入る代物じゃないし
   特にこの黄金魚なんてあたしでも滅多に取れる魚じゃ・・」
  「いらんのなら適当に捨てろ」
  「・・いや、捨てるも何もありがたくもらうけどさ・・でもいいの?」
  「俺には価値のないゴミ同然のものだ。勝手にしろ」
  「そっか。・・あ、でもいっこ聞いていい?」
  「・・・なんだ」
  「なんかこの距離からでもすんごいミミズ臭と生臭さが入り混じって
   ぷんぷん臭って来るんだけど・・一体どれだけ水辺でねばりまくったの?」
  「!!そ、
そんなものは忘れた!!とにかく渡した!!以上だ!!」
  「あ、うん。ありがとね。有益につかわせてもらうから」
  「・・・、(一瞬立ち止まってから早足で去った)」
  「(それを見送って)忘れた・・ねぇ。口は悪いけど素直な子だなぁ」



 ちなみに特産キノコとは特定の場所で取れる初期の換金用としてはそこそこ価値のあるキノコ。
 黄金魚とは特定の場所でごくたまーに取れる同じく換金用の魚です。
 ただし黄金魚はランダムで出現しなかなか狙って取れないので
 売却値段は巨大魚のキモの2倍強とかなりの高額。

 彼がどういった意図でこれらを野山かけずり回って採集し
 ミミズを掘りたくって水際で長時間ねばって押し付けていったのかは
 想像におまかせしときましょう。
 以上とある方のメールから生まれたネタでした。

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