1, どうしてお前はそういつも余計な手間を増やす!!
「お?あの腹立つくらいの自己主張してる青色・・バージル・・だよな?
なにやってんだ?あんな物陰で」
「・・・・(じっと身を潜めてる)」
「オイ、なにしてんだ?新手の瞬間移動の練習か?」
「!!・・馬鹿!寄ってくるな!見つかる!」
「?へぇ、アンタが何かから隠れるなんて珍しいな(一緒になってかがみこんで)。
何から逃げてんだ?ん?家賃滞納した大家?借金取り?
それとも間違えて手出したマフィアの女か?」
「お前のだらしない生活環境と一緒にするな!いいから向こうへ行け!」
「やだね。アンタが困ってるのなんて滅多に・・・・ん?」
「(カチャカチャ音をさせつつ近づいてきた)」
「・・?・・・なんか・・・見た事あるようなないような・・」
「・・ち・・見つかった!」
「(軽装鎧に巨大なハンマー持った
頭だけ青トカゲのかぶり物した姉ちゃんがこっち見た)」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・!(スキを見て逃げ出す)」
「見たなゴラァーー!!」
「ギャーー!!?
(振り下ろされたハンマーかわして逃げた)」
「だから言ったのにこの馬鹿が!」
「あんなもんから逃げてるなんて一言も言ってねぇだろ!
つーかあの姉ちゃんなんであんな異様な格好してんだよ!」
「!?・・お前はあれを知って・・・いや、今はそれどころではないか」
「なぁ!ところでなんでオレら追い回されなきゃいけないんだ?!」
「・・見ての通りだ。あんな状態を見られたからには生かしておけんらしい」
「マジか!?」
「いや、おそらく死にはせんだろうが
あの剣幕では記憶が飛ぶまで殴られ続けるぞ!嫌なら全力で走れ!」
「ちくしょー!あの姉ちゃんに関わるとロクな事ねぇ!!」
知ってる人に説明すると採集のため全身チェーン装備して頭にランポスフェイク。
知らない人に説明すると採取量の上がる軽めの鎧に
青いトカゲのかぶり物かぶった姉ちゃんが、絵の所にあるようなハンマー持って
追いかけてきてると思って下さい。
色々この世界の装備を見てきたけど
これほど恥ずかしくなる装備ってのもそうそうないと思って書いてみた。
・・オンラインで歩いてないのが唯一の救いです。
2, ごめん、多分途中からランポスとイーオスに見えてた
「げ!しまった行き止まり?!」
「・・ち、仕方がない(構える)」
「ちょっと待て!人間の女相手にやり合う気かよ!?」
「あれが普通の人間ならば考え直すが」
「・・・・・。・・・しょうがねぇか(剣に手をかける)」
「・・・(追いついてきて肩で息しつつ)・・・?
あれ?・・ダンテと・・この前の青い子じゃない。
何やってんの・・そんな壁際で二人して」
「・・は?」
「おいまさか貴様・・・」
「・・えっ〜と・・なんか今まで・・何かを追い回してたんだけど・・
何を・・追いかけてたんだっけ?・・あんた達知らない?」
「・・・・・・・」
「だああぁ!待て待て待て!気持ちは分かるが無言で斬るな!」
「・・まぁいいか。えっと・・あぁそうだ。次虫の甲殻取りに行こうと思ってたから
こんなバカみたいな装備してる場合じゃない(ゴソゴソし出す)」
「「ここで脱ぐな!!」」
逃げたら追う。狩猟の基本です。
羞恥心は追跡の間にどっかへ落としました。
3, でも一応前の借りは返すって事から始まる喜劇
「へ?何?借りを返させろ?」
「あぁ、何だかよくわかんねぇけどオレとバージル
どっちも一回はアンタに世話になってるんだよな」
「・・ん?そうだったっけ?」
「そうなんだよ。で、両方とも借り作ったまんまってのもなんだから
何かオレらで出来ることで借りを返せないかってバージル・・がッ?!」
「経過はどうあれ貸しは貸しだ。このままでは仮にもハンターなどという
将来性のない職に就こうとしているこいつのタダでさえない面目も立たん」
「・・ってーな!蹴ることねぇだろ!!大体言い出しっぺはアンタ・・!」
「(無言で幻影剣発射)」
「おわッ!?こんの・・ひねくれ者!」
「・・・え〜と・・・そんであんた達
あたしの所に一体全体何しに来たの??ショートコント?ドツキ漫才?」
「「両方違う!!」」
「・・じゃあ最初の話から翻訳するに、つまりあたしの所で前食っちゃ寝した分
何かでお返しがしたい・・って話なのかな?」
「・・まぁ・・一応な」
「先に言っておくが、貴様に拒否権はない」
「・・・アンタホントにひねくれて・・」
「(ベオウルフ装備)」
「だーもー!わかったよ!好きにしろ!!」
「・・・変な兄弟」
「・・んで?何か手っ取り早く返せる事ってのはあるか?」
「んー、そうね・・・あんた達くらいのやんちゃ盛りになら1ついいのがあるけど」
「(やんちゃという言葉にちょっとムッとしつつ)内容は?」
「ゲロ狩り」
「・・・なんだその・・ゲロって?」
「ゲリョスっていう少し前までしつこくタイマン勝負してた、ちょっと不格好な飛竜の事。
そいつから取れる素材はあらかた集まったんで最近戦ってなかったから
そろそろカンも鈍ってくるころだろうし、丁度いいかと思うんだけど」
「それって強いのか?」
「強いって言うかちょっとクセが強くてね。それなりに準備しないと厄介な相手なのは確か」
「ようし、じゃあそれで手を打とうぜ。バージルもそれでいいよな?」
「かまわん。さっさと片付けるぞ」
「あ、ちょっとそれなら一端家に戻らないと。
アレは行きがけの駄賃には倒せないだろうからちゃんと準備はしていかないとね」
「へいへい」
「・・・・(黙ってついていく)」
てなワケで3人でゲロ狩り。次はお家で準備編。
4, 実はこのブタに惚れたのもこれ始めたきっかけ
「たっだいま〜・・と言っても答えてくれる人もいないけどただいま」
「なんだ、外見のワリに中はあんまり広くないんだな」
「家なんて雨露がしのげて寝れる場所があればいいの。
ほら、ボサッとしてないで入った入った」
「・・・おい」
「ん?」
「(足元でニオイをかいでる子ブタを指しつつ)これは何だ」
「あぁそれ?行商からもらった子。遊んでやったらなつかれちゃったんで
それからなんとなく家で飼ってるんだけど、食べないでね」
「・・食うわけがあるか。そこの愚弟ならいずしらず」
「いくらオレでも生きて動いてるのを食ったりしねぇよ!
しかしコイツ、なんでこんな服(水色のシマシマ模様)着てるんだ?」
「さぁ?最初っから着てたからよくわかんない。
もしかして素のまんまじゃ肉がそのまま歩いてるように見えるから
誰かが勝手に着せたんじゃない?」
「・・こっちの人種ってのはそんなに飢えてんのかよ」
「・・やりかねん話だ」
「そんじゃ何着ていこうかな〜。毒防御は確実にいるから鎧は替えないと。
ハンマーはきかないし・・切れ味のある・・えーもーの〜・・」
「だから目の前で着替えるな!!
少しは遠慮とかしろよ!男として傷つくだろが!!」
「別に全部脱ぐわけじゃないから問題ないでしょ。それにココあたしの家だし」
「そういう問題か!!おいコラバージル!オマエもなんとか・・!」
「・・・・・」
「・・おい?」
「(足元でぶいぶい言ってるブタの鼻凝視してる)」
「・・・・・・コンセントは入らねぇぞ」
「・・!!(ビクッとした)」
ブタの鼻を見るとコンセントさし入れてみたくなりま・・せんか?
5, 持っていかないならそのコートに全部縫い付けるよ
「え〜?なんでだよ。別にそんなもんいらねぇだろ?」
「子供みたいな声出してもダ〜メ。ゲロ狩りする時は解毒剤は絶対にいるの。
あたしはちゃんと耐毒用の装備するけど、あんた達その軽装でいくつもりでしょ?
だったらこんな薬1つくらいはイヤな顔せずちゃんと持つ」
「おい、回復剤と食料というのはわかるが・・砥石がこれほど大量に必要なのか?」
「うんいるよ。使う武器によりけりだけど、あいつの皮膚はちょっとやっかいでね。
参考までに皮みせてあげようか。えーと・・あったあった。これがゲリョスの皮」
「うわ・・こりゃ皮って言うよりゴムタイヤじゃねぇか」
「・・力任せでは切断できんな。これが厄介という要因か」
「他にも色々やっかいな事はあるけど、まず第一はこれね。
あんた達の武器は・・んー・・切れ味は悪くなさそうだけど・・威力的にはどうかな。
なんならこっちに持ち替えてみる?」
「ちょっと待て!なんだそのサーフボードに棒付けたみたいな物体と
嫌がらせみたいな長さの刀は?!」
「あたしがゲロ狩りでよく使ってた防御力がちょっと上がるセンチネル。
こっちのは神楽っていう、ゲロ狩りではまだ使ったことない鉄刀。
ダンテはセンチネルで、青い子は神楽が使えそうだけど・・どうする?」
「そんなひっぱたくみたいな板使えるか!」
「・・象の首でも斬るつもりかその刀は」
「?やっぱり気に入らない?」
「そりゃ集団相手には使えそうだが・・相手は一匹だろ?
ちなみに他にはどんなのがあるんだ?」
「えーと、一応両手で使う剣(サイクロン)もあるけど、これはちょっとリーチがないし
他の武器って言ってもハンマー以外あんまり強化してないからなぁ・・。
でもやっぱり2人とも、こっちに持ち替えた方がいいんじゃない?(それぞれに放る)」
「「!!?(それぞれ受け損ねて手はさんだ)」」
「あ、ダメでしょそれ重いんだから。片手で持とうとしたら手が潰れるよ?」
「「
先に言え!!」」
脳天気な姉ちゃんに振り回され、双子のシンクロ率は上がる一方です。
・・あ、そういや兄の方、呼び方がまだ青い子のまんまだ。
6, 双子だからなおさらわかる
「回復剤、食料、砥石、追跡用ペイント、耐毒装備に鎧も替えた、うん。こんなもんかな」
「ところでその妙な色をした斧と盾はなんだ?
所々先程の皮が使用されているのは分かるが・・」
「あぁこれ?これを作るのに散々ゲロを追い回してたんだけど
その当人にはまだ使ったことないから、お返しのつもりで装備していこうかと思って」
「だがそれほど作成に執着したということは・・ただの斧ではないな?」
「ふふ、ま、そこらへんは実地実験って事で」
「・・まぁ深くは聞かん。おいダンテ、出発するぞ。何を遊んでいる」
「・・・・(子ブタに何かやってる)」
「・・おい」
「・・あ、こら待て逃げるな、もうちょっと・・」
「・・・・・・鼻スタンプは却下だ」
「え〜!?なんでわかるんだよ!」
「お前の単純な行動パターンとその目に痛いピンクを見ればイヤでもわかる」
「くそ、気の利かねぇヤツだな!こっそりやろうと思ってたのに!
もう塗っちまったんだからせめて一回くらい押させろ!」
「ふざけるな!そんなもの自分のコートで試・・な、こら!持ってくるな!」
「・・・つかあんた達、人ん家の飼いブタで何してんのよ」
戦う前から戦いが始まっている野郎共。
姐は装備をポイズンタバルジンとイーオスメイルに変更しました。
7, オレよりお喋りが嫌いというより、難しい話が苦手なだけだと思う
「で、これからゲロを狩りに行くんだけど
一応時間制限があるから事前の注意点とかはここで済ませるよ。いい?」
「かまわん」
「いいけど・・手短にたのむぜ」
「ん、じゃあまず(地図広げる)あたし達が拠点にするのは沼地のはじのココね。
そこをスタート地点にしていくつかのエリアをゲロを追って走ることになるんだけど
いくつかは洞窟になってるから実際に関係あるのは洞窟以外のココからココまで
で、あたしの経験からゲロが縄張りにしてるのは大体エリア5、4、2
たまに10、つまりココとココと・・これとそこね」
「・・(首ひねりながら)ふーん」
「・・そう広い範囲ではないな。他に注意点は?」
「キャンプ隣の2はまだ安全地帯だけど5と4にブルが出るの。それも大量にね。
それは一度倒せばもう出ないけど・・青い子はブルってのは知ってるよね」
「・・・(子という言葉に少しムッとしつつ)突進力のある巨大なイノシシだな」
「うん。あたしはもう慣れたからゲロに巻き込ませたり同士討ちさせて倒すんだけど
今回はゲロと初対面なあんた達がいるから、先に掃除しといた方がいいかな。
で、問題はエリア10。ここは黄色と青のトカゲが無限に出るから
ここに逃げ込まれるとかなり厄介な事になるのは覚悟しておいて」
「先程から聞いていれば、まるでそいつが俺達から逃げ回るような言い方だな」
「うん。実際よく逃げる。よく逃げるし翼があるくせにドタドタ意味なくよく走るし。
・・まぁどんなのかは実際見ればよく分かると思うから
ゲロに遭遇するまではブルの掃除ね」
「大物を狩る前にまずはイノシシ狩り・・か。
しかしイノシシ狩りと聞くとまるでどこかの誰かを狩るような・・(横見る)」
「・・んゴ〜〜・・(爆睡中)」
「・・・・・(踏む)」
「ぐえ?!ってー!おい何だよいきなり!?」
「・・・貴様・・・戦う前から戦意がないとは、それでも伝説の魔剣士の血族か」
「んな事言ったってそんなもん誰か1人が聞いてりゃいい話・・
わ!ちょっと待て!ベオはやめろ!アンタこそ殴る相手しょっぱなから間違って・・!」
「・・・あ、そか。あんた達にはそれが普通なのね」
集団に、1人はいるだろうこんな人。
姐もいい加減このやり取りにも慣れてきました。
8, 似たもの同士だと兄に鼻で笑われる
「・・くっそ!痛ぇ!なんだよこのブタ!なんでオレばっかに突進してくるんだよ!」
「(突進かわして斬りかかりながら)目立つ色してるしヒラヒラしてるからじゃない?」
「(同じく背後に回って斬りながら)一カ所に留まって攻撃ばかりしているからだ。
それに真正面からばかり攻撃するなら第2撃をあっさりくらって当たり前だろう」
「うん、こいつら走るのは速いけど方向転換に時間がかかるから
真正面には立たずにこまめに横に回って攻撃するのが正解」
「ちょっと待て!んな大事なことをなんで先に言わねぇんだよ!!」
「いや〜言おうとしてたら先に寝てたし
それにほっといたら一体どうするのかなーって思ってたんだけど
予想そのまんまな行動してくれてもう楽しのなんのって」
「・・・・、」
「あ!オイバージル!!今肩で笑・・っだ!?(追突された)」
「あらら・・しょうがないなぁ。ちょっと待ってて、今助け・・に・・・」
「・・?どうした?」
「・・(目つきを鋭くして耳に手を当てて)・・来た」
「(一匹ごり押しで倒して)何が?!」
「・・これは・・羽音か?」
「・・にしちゃデカいだろ。なんだ?何がくる?」
「まだちょっとブルが残ってるけど・・しょうがないか!」
「え?あ、おい!どこ行くんだよ!」
「ついておいで!これからしばらく追い回す相手が来てる!
あたしがこれ投げて命中したら速攻でここを離脱するよ!」
「へ?逃げんのか?」
「まだブルが残ってるから混戦になるとやっかいなの!
これでマークだけしたら別エリアのブルの掃除!いい?」
「それが良策というなら従う」
「・・なんだよ。いつもは人の言うことなんかお構いなしなのに
今日はやけに素直・・おわ!」
「・・・無駄口をきくヒマがあるなら回避の練習でもしろ愚弟」
「だから殴る相手間違ってるっていってんだろが石頭!!」
「・・こんな時でもあんた達好きねぇ」
最初ここへ来た時、ブルにしこたま突かれまくったのはいい思い出。
9, どいつも初対面ではビックリするもので
「あぁ、いたいた。相変わらずイヤな色してること」
「なんだありゃ!?・・鳥?コウモリ?いや・・トカゲ?」
「・・どちらにせよ随分と不細工な生き物だな。
まるで長年下水に生息していて身体が有害物質で変質したようだが・・」
「そ、あれがゲリョスっていうちょっと不細工な今回の獲物!(何か投げた)」
「おい気付かれたぞ!?何投げたんだ?」
「遠くにいても居場所がわかるマーキングみたいなもの。
あれでしばらく居場所だけは確認できるからね。それじゃ退却ーー!」
「おいホントに逃・・ぎゃあ!?(吐き飛ばされた紫の液をギリギリ避けた)」
「あ、それ当たらないでよ!ただ紫色のゲロに見えるけど猛毒だから!」
「だからそう言うのは先に・・うわ?!今度はなんだぁ!?」
「あ、平気平気。ゲロまき散らしながら走るけど狙いはデタラメだし
長く走る時のルートはいつも決まってるから落ちついて逃げれば大丈夫!」
「・・呆れるほどにあだ名通りな生き物だな。
よくこんなものと何度も顔を合わせる気になったものだ」
「つーかゲロ吐き散らすのもそうだけど走り方まで気持ち悪いんだよ!」
「ま、慣れないうちはね!とにかく一端退却するよ!」
この世界のボス達はみんな個性的で初対面の時は大体ビビらされるもんです。
兄に見せてもらった口しかないバイオハザード竜も気持ち悪いですが。
10, 悪い予感は大体当たる法則
「ふぅ・・これでブルの掃除は終わったから、心おきなくゲロと戦えるんだけど・・」
「けど・・なんだ?まだなんか言い忘れてる事でもあんのか?」
「うん。まず聞くけどあんた達ガード、つまり防御ってできる?」
「「・・・・(顔見合わせる)」」
「・・え?どっちもダメなの?」
「いやオレ今トリックスターだからなぁ・・」
「一瞬をかわす事は可能だが・・防ぐという行為はない」
「んー・・じゃあさらに聞くけど、相手から出来るだけ早く距離を置けるのってのは?」
「ダッシュができるから多分オレ」
「(ダンテ指してる)」
「・・・・・・・ま、いっか。なんとかなるだろう」
「・・その間と言い回しが不吉極まりないように感じるのは俺の気のせいか?」
「うん。気のせい。それじゃそれもふまえてゲロとの戦い方、説明するよ」
「・・・・・・・」
「あ、でもその前にクギ指しておくけど・・」
「んな目で見るなよ!今度は寝ねぇよ!・・長くなけりゃな」
「心配せずともその時は俺が責任を持って血反吐が出るまで殴ってやろう」
「鬼かよてめぇは!?」
「悪魔だ」
「・・・えー、それはともかくまず注意点。誰も好きこのんで当たらないだろうけど
まず第一にゲロに当たらない事。万が一当たったら持ってる解毒剤を飲んでね。
長く走る場合のルートは決まってるってのはさっき言ったけど
走るのに飽きて接近してきたら尻尾とかかみつきとかしてくるけど
攻撃に気を取られて踏まれないようにも注意すること。
あと切れ味の悪い武器とかはガンガン弾かれちゃうし切れ味も落ちやすいから
定期ルートを走ってるスキに砥石を使う事も覚えておいて。
で、さっきのガードの話なんだけど・・・(バージルを見る)」
「?・・なんだ」
「・・・やっぱり後でいいか。とにかく武器研いだら追跡開始ね。
やっかいなエリアに逃げられる前にカタつけないと」
「・・・??(なんかイヤな予感させて後を追う)」
「・・・(黙ってた方が面白そうなのでその後に続く)」
そういやゲロは他の竜に比べてやっかいな事が多いなぁ。
姐が何を心配してるのかは後ほど。
11, 言い出しっぺの貧乏くじ
「ちっくしょう!なんなんだあのゲロトカゲ!
何考えてるのか知らねぇがドタドタバタバタ意味もなく走りやがって!」
「文句言ってないでさっさと研ぐ!あんたの剣が一番弾かれてたでしょ?」
「俺でも致命傷を与えられんとは・・・これは長期戦になるな」
「うーん、どうだろ。あたしの持ってるコレが使えればもうちょっと楽になるんだけど・・」
「?それはどういう・・」
「オイ!来たぞ!!」
「まぁ出来ない事を言ってもしょうがない。頭狙える?」
「可能だ」
「じゃあ食い付かれないように頭お願い!ダンテ!足は弾かれるから腹を狙って!」
「わかっ・・ってぇ!!?痛ぇな!当たりそうもない尻尾のくせに!」
「それをかわせないお前の動きが悪いだけだろう」
「一々うるせぇよ!いいから黙って斬っ・・て、なんだよ口なんか鳴らしやがって!
いっちょまえに挑発のつもりかよ!」
「やばっ!!(近くにいたバージルの襟首ひっつかむ)
ダンテ!!今すぐ出来るだけそこから離れて!!
「・・おい・・何を!」
「え?!(一応言われた通りダッシュで逃げつつ)なんだよ急に・・!?」
「全員・・目ぇつぶれーー!!
(ゲリョスの発した閃光と同時にバージルごと地面(下、沼)にダイブ)」
「!?!(顔から沼地に突っ込んだ)」
「目くらまし!?んな事もできるのかあのゲロ!?」
「首を上げて口を鳴らしたらトサカから強烈な閃光が出るの!
まともにくらったらしばらく動けなくなるから予備動作を見て・・」
「・・・・・・・・待て。なぜそれを事前に言わなかった」
「いやあれの回避のタイミングって難しいから口で話すより実演した方がいいし
ガードができないならこうして回避するしかなくってさ」
「お前の持っているそれ(盾)は・・!!」
「飾りじゃない。ちゃんと使えるよ。
でも自分の身を守る前に近くに助けられそうな子がいるなら
あたしはそっちを取るだけ」
「・・・(顔の泥をぬぐいながらものすんごい不服そうな目)・・・」
「それじゃ(頭にのってた藻をはたいて落としてやりながら)
今のでタイミングは覚えたって事でいい?」
「・・・覚えなければ何度でも同じ事をする気だな?」
「(ニコニコしながら)手の届く場所にいるならね」
「・・・・(笑い噛み殺してたダンテに向かい、ありったけの幻影剣撃ち込んで)
・・速攻で・・かたをつける!!」」
「うわったた!?だーかーらー!怒る矛先間違ってるってんだろ!!」
「あっははは!若い若い!真っ直ぐで若い!」
「・・?なぁ、そう言うアンタは一体いくつなんだ?」
「ん?えーと、成人してから数えてないから正確には分からないけど
20以上の60以下くらいじゃない?」
「アバウトすぎだろ!?!」
いやホント、年齢なんて20過ぎれば数える気なくします
12, こっちは非力なんだから仕方ないという言い訳で作ったブツ
「・・お!やった倒れた!」
「やったか?」
「あ、ちょっと待った!2人とも離れてそこから動かないで!」
「?・・なんだよ、仕留めたんじゃないのか?」
「いや・・一見して倒れて動かなくなったからそう見えるんだけど・・・
ね!(倒れてる所にペイントボール投げつける)」
「うおっ?!起きた!?」
「死に真似か!?」
「演技力あるからつい喜んで駆け寄りたくなるけど
近づいた瞬間思いっきり来るから、あたしがいいって言うまでは気を付けて!」
「しっかしアンタよくこんなのと1人で殴り合ってたもんだな!」
「そりゃ20何回も1人で戦ってれば・・・あ!」
「・・ッ!(条件反射で身構えつつ)今度は何だ?!」
「やった!かかった!みんなちょっと離れて!」
「なんだまたかよ?!離れたらまた走り回るんじゃ・・」
「・・いや待て。様子がおかしい」
「何が?」
「よく見ろ。毒も吐いていないのに毒気が上がっている」
「あ・・そういやそうだな。なんでだ?」
「そんなの毒にかかったからに決まってるじゃない」
「毒を吐き散らす奴が毒にかかるのか!?」
「詳しい理屈は知らないけど、あたしの持ってるコレ(ポイズンタバルジン)はそういうものなの。
元々はゲロの内臓器官を使って毒を添付させてるんだけど
それがなんでかゲロ本人にも効いちゃうのよね。
で、あっちは解毒なんて事までできないから、自然と毒が消えるまで
バカみたいにある体力をじりじりじりじりこっちが何もしなくても削られるって寸法」
「貴様・・・まさかその効果を得るためだけに今まであれを?」
「うふふ〜〜(形容しがたい嬉しそうかつ怖い笑顔)」
「「・・・(走り回って体力を勝手に消費してるゲロをよそに
2人同時に悪寒で震えた)」」
「ほらほらぼーっとしない。走り終わったら攻撃開始。
あ、それと怒ってる時は危ないから回避に専念してね」
「・・・オレ・・・今なんかアンタがあれに頭上がらない理由が分かった気がする」
「・・・・(反論する気力なし)」
よく考えれば毒ってのはどんな異常状態よりもエグイ効果だと思う
13, ゲロを倒した。・・・もとい勝手に倒れた。
「ふーんふふーん(ナイフでゲリョスを剥いでる)ふんふーん・・あれ、毒袋。
なんだ毒防御装備してたら取れないと思ってたけど取れるじゃん」
「・・・(それを見ながらリベリオンを杖にボーっと突っ立ってる)」
「ふーんふーふー・・そしてやっぱり皮。ふんふーふー・・げ、また袋!?
こいつ、いらない時になって2つもよこしてくるなんて狙ってるとしか思えない」
「・・・(閻魔刀抜き身のまんま呆然と突っ立ってる)」
「うん、よし。採集終わり。それじゃご苦労様、戻ろ・・
・・って、ねぇ、どしたの?さっきから二人して黙り込んで?」
「・・・・いや・・・・その・・・なぁ?」
「・・・・(無表情)」
「?・・あぁ、これ(死んだゲリョス指す)?
別に気にしなくていいって。確かにちょっと味気ないかもしれないけど
それまでにちゃんと活躍してくれたからこそ、こうやって楽に倒せたんじゃない」
「・・・しっかし・・・3人がかりであれだけ研いだり走り終わるのを待ったり
逃げるのを追い回したりゲロを避けたりで苦労したってのに・・
勝手にそこら辺を走り回ったあげく・・・毒で自然死・・ってのは・・・ねぇよなぁ」
「気にしない気にしない。ブルが残ってる時にブルと激突死して
その後剥ぐの大変だった時だってあるんだから」
「・・・・(ふて腐れて)釈然としねぇ」
「(やっと刀収めて)・・・・帰る」
「あ、ちょっと待った(後から襟掴む)」
「っぐ!?」
「こんな所走り回ったり飛んだりして汚れたでしょ。
せめてそれ落としてから帰ったらどう?」
「・・・・(もうウンザリ絶頂の目)」
「ついでに言うとキャンプの裏、釣りもできるし
さらに言うと今日肉を焼く道具もあるし、さっきブルから取った生肉もあるんだけどな」
「肉!?今度はトカゲじゃない肉か!?」
「うん、しかも取れたて。どう?食べてく?」
「食う!!」
「青い子は?」
「(音が出るほど歯ぎしりした後、閻魔刀突き付けて)
・・・前々から言おうと思っていたが今言わせてもらう。形容詞で呼ぶな」
「そうは言ってもどう呼べばいいの?まだ名前聞いてないんだけど」
「・・・・・・・(かなり悩んで)・・・バージルだ」
「なるほどわかった。バージル君」
「君は余計だ!!」
「おーい!なにやってんだよお前ら!さっさと帰ってディナーにしようぜ!!」
「こらこら!そっち違う!帰る方向はそっち!あとあんまり走るとこける!」
「・・・(突き付けっぱなしだった刀をやっと収めて頭を押さえつつ特大のため息)」
「さてと、じゃあ帰ろうか青・・じゃない、バージル」
「・・・・・・・もう・・・勝手にしろ」
毒怪鳥ゲリョス、毒殺。ホントにあった(と思う)怖い話。
体力バーがなくダメージ要素が色々あるので、いきなり死なれる事多々ある世界。
そしてやっとこさ兄は青い子を卒業しました。
14, 戦いすんで小休止
「(ズボンだけで川に入ってコートの泥を落としつつ)しっかし・・なんつーかオレ達・・」
「(同じ格好で顔を洗いながら)・・黙れ。それ以上言うなら輪切りにして撒き餌にするぞ」
「・・あーハイハイ。わかったから服着るまでケンカはなしにしような」
「・・・・(睨むのをやめてブーツに入った泥を落とし出す)」
「でも・・こうやって2人で水浴びするなんて何年ぶりだ?」
「・・知るか。だが少なくとも俺にはお前とこうした状況になるまでの経過に
ロクな思い出はまったくない」
「ん?そうか?」
「泥遊び、雨の日に外へ遊びに行った迎え、そしてケンカ
俺が何もせずとも大体はお前の尻ぬぐいで付き合うのがほとんどだった」
「でも今回の言い出しっぺは・・おわっぷ?!」
「(水面を蹴った足を戻し洗濯続行)」
「・・やったなコラ!!(ひっかけ返す)」
「!!(頭からかぶった)・・貴様!!」
「お、やるか?言っとくがこういった遊びはオレの方が上手いぜ?」
「五月蠅い愚弟!!そんな事が上手くなる暇があるなら
もっと有意義な時間の使い方をしろ!」
「おぉっと甘い!カウンター!」
「っ・・(また頭からひっかけられた)・・こういった事にだけは有能だな!」
「器用って言うんだよ!っと!当たるか!」
「・・お?(脱いだ鎧片手に)なんだ、騒がしいと思ったらまた随分と仲良さげに」
「「良くな・・
!!」」
「ん?どしたの?」
「お・・おまッ!なんて格好してんだよ!」
「へ?なにって・・あたしも洗濯と泥落としにきたんだけど・・
あ、ゴメン。もしかしてまだ来ちゃダメだった?」
「(言われてなんとなく胸を無駄に隠しながら)違う!!オレらじゃない!!
そりゃあんたの方だろ!なんだよそのキワどい格好!!」
「ん?あぁ、これ?あたしもちょっと中まで汚れちゃってさ。
別にいいじゃない、全裸じゃないし。大事な所は隠してるんだし
特に見られて減るもんじゃないし(パンツに指つっこんで伸ばす)」
「(頭かきむしって)だーかーらーー!!」
「ん?(それを気にせず硬直してるバージル見つけて)あらら、なーんだ
あんまり似てないかと思ったけどそうして髪おろしてるとそっくりじゃない。
ふーん、そっか(頭ぐりぐり撫でる)顔が変えられないから服とか髪型を工夫してるんだ」
「・・・(しばらく硬直した後、その場で丸くなって引きこもる)」
「あれ?どしたの?腹でも冷えた?(上からつつく)?」
「・・・・オレ、あんたのそう言う無意識でそいつに大ダメージ与えられる所、尊敬する」
「(尻かきながら)はぁ??」
Gの世界のすっぴんは一応着ててもドキッとするのでなんとなく。
兄、いろんなショックに1人で撃沈。
15, うっかりフォーエバー
「でも悪かったな。あんまり役に立てなかった上にまたゴチになって」
「ううん、普段の半分くらいの時間ですんで楽だったから気にしなくていいよ。
それに複数戦の経験ができてあたしもいい勉強になったし」
「そう言ってもらえるとちょっと楽になった。な?」
「・・・(背中向けてもう帰る体勢)」
「(小声で)・・悪いな、真面目なくせにヒネくれた兄貴で」
「はは、かまわないよ。結果はどうあれ、あたしは色々楽しかったから」
「・・・ダンテ!いつまで話している!帰るぞ!!」
「あーハイハイ、わかりましたよ。じゃあなワイルドなハンターさん」
「うん、それじゃ。(バージルに向かって)あ、それと青・・じゃないバージル!」
「・・(振り返って何だコノヤロウと睨む)」
「気が向いた時にまたおいで。釣りのエサ、用意しておいてあげるからさ」
「・・(一瞬かなり複雑な顔で固まって、背中向けてズカズカ歩き出す)」
「しっかし・・人の好意に弱い野郎だな・・ってぅわった!?(束で飛んできた幻影剣を回避)
ったく、いい加減にオレに八つ当たるのやめろよな!(でもその後を追う)」
「・・ホントに変な兄弟。でもま、それが兄弟ってやつなのかもしれないけど」
「あー・・それにしても肩こったなぁ。
複数で戦ってたからかデカイのを長時間相手にしすぎたか
とにかく帰ったら事務所前でリハビリでも・・」
「・・・(急に立ち止まる)」
「っとと、オイなんだよ急に。忘れ物でもしたのか?」
「・・・・・・おい」
「あ?」
「お前・・・あの女の名前を・・・聞いたか?」
「・・・・(顎に手をあててしばらく考え)・・・・・・あ」
「(全武器同時装備)」
「おわッ!?ちょっと待て!だからなんでアンタは何でもかんでもオレに当たっ・・
って、しかも魔人化の暴走かぁ!?」
兄、誰かさんを訪ねた時の二の舞でエンド。
普段仲のよろしくない若兄弟ですが、上にもう1人いたらどうなるかなと思いつつ
色々書かせていただきました。うん、自己満足。
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