「・・あのさバージルさん」
「・・・・」
「おーい、バージルさん」
「・・・・・・」
「バージルさんてば」
「・・・・・・・・」
「だからバージルさん」
「・・・・・・・・・・・」
「コラ(拳骨)」
「痛」
「あのさ、ここって会話だけで作られてるから
何か話してないと存在忘れられるって前にも言われてたろ?」
「知っている」
「だったらなんで俺の腹にずーっと無言でしがみつく必要があるんだよ」
「ここは他に余計な邪魔が入らないからだ」
「・・・そりゃ確かにそうだけど・・でもそれ以前に前から思ってたんだけどさ
バージルさん、なんで俺の腹にしがみつくのが好きなんだ?」
「好きだからだに決まっている」
「・・いやだから、その好きな理由だよ。
そもそもバージルさん、俺よりずっと体格いいじゃないか。
アンバランスにもほどがあるだろ」
「俺は別に気にしていないが」
「俺は気にするの!」
「・・・理由は・・・さっきも言った通り、好きだからというのが一番だが
強いて言うならこうしていた方が母さんが大きくなるからだな」
「は?」
「見ての通り母さんは俺よりも小さい。
だがこうしている間は俺よりも大きく身近に
とにかく普段よりも存在を大きく感じる事ができる」
「・・つまり抱きしめられてるみたいな感じになるって事か?」
「そうなるな」
「・・・(頭抱える)」
「・・なぜ呆れる」
「いや・・何というか・・なんで俺はこんな大の大人の人に
こんな風に懐かれているのかなーと・・」
「・・・・(ちょっと考えてからすっと離れる)」
「・・え?」
「すまない。母さんを困らせるつもりはなかった」
「あ・・いや別に・・困ってたって程でもないけど・・」
「ただ俺は・・・ダンテの事もあって
こういったことをあまり元の母さんにする事ができなかった。
だから少しこうしてみたいと・・・思っただけだ(ちょっと目をそらした)」
「あ・・・」
「迷惑だったのなら謝る。すまな・・」
「・・・・・・うー!!この偏屈兄弟!!
」
「うぐ・・?!(頭ひっ掴まれて抱き込まれた)」
「もうこの!見た目は立派なくせにどうしてこんなんなんだよこの兄弟は!
しかもしっかりしてそうな兄貴の方がこんなだなんて
まったく!ホントに!どうなってるんだよこのバカ兄弟は!!」
「・・い・・いた・・・・母さん痛い」
「(ひとしきりぐりぐりした後)・・でも・・よく考えてみれば
バージルさんの事は半分くらい俺に責任があるんだろうけど・・」
「・・・・(変な体勢のまま様子をうかがってる)」
「・・・・う〜〜ん・・(何か考え込んでる)」
「・・・母さん?」
「・・・うん、よし決めた」
「?」
「あのさ・・・俺は・・別にさっきみたいな事は人前じゃなければ・・迷惑じゃないからさ。
それにダンテさんみたく露骨にこっちを困らせたりしないし
そこの所は評価するよ」
「!では・・!」
「公衆の面前とか人前とかじゃなければ・・・・許す。
本物のお母さんほど暖かくはないだろうけどね」
「よし!(喜々として手伸ばす)」
「あ、でもちょっと待った(頭押さえて止める)」
「?」
「ちゃんと座れる所を探そう。
この前放っておいたらいつのまにか寝ちゃった事あったろ」
「母さんが近くにいると寝心地がいいから仕方がない」
「・・俺と寝たがるのはそれが理由か?」
「いや他にも色々理由はあるが・・言おうか?」
「う、(赤くなりつつ)もういい。言わなくていい。ってか言うな。
言わなくていいからちゃんとした所を探そう。・・俺もちょっと昼寝したくなったし」
「わかった。ではどこにする?」
「・・・普段無表情な人がこんなことくらいで物凄く幸せそうな顔するのって
良いことなのか悪いことなのか・・・」
「ん?」
「・・いや、なんでもな・・っわ!
コラ!なんで担くんだよ!自分で歩けるって!」
「軽い上に細い。一体母さんはいつになったら俺より大きくなるんだ?」
「無理!そんなの日本人にはまず無理!
ていうか降ろしなさい(背中ぽこぽこ叩く)!」
「断る」
「声が笑ってるじゃないかこらー!!」
ってなワケで昔出来そうになかった事をここでやらかしてるのが
ここの兄って事で。
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