「ダンテ、お前は私達の中では一番古くからジュンヤ君を知っているようだが
あの子は昔からあんなにしっかりとした子だったのか?」
「ん?いいや?そうでもなかったさ。
最初会った時はちょっと銃を向けただけでも驚くし
何事にも一々必死になってて仲魔の連中が近くにいなけりゃ
吹けば飛ぶくらいの貧弱そうなガキだった」
「・・・(無言で閻魔刀に手をかける)」
「あ、ちょっと待て、落ち着けよ。
オレだって最初は仕事の依頼でアイツと遭遇したんだ。
それに人型の悪魔ってのもそう特別珍しいものでもないだろ?」
「だがそれでもお前はあの子を狩らなかったんだな?」
「あぁ。理由は色々あったが生かしておくと面白そうだったってのが一番だな。
そう言うオヤジ達はどうなんだ?アイツの第一印象は」
「私が最初にあの子を見たのはバージルが再生されて少ししてからだが
年若いというのに色々とバージルの面倒を見ている姿は
日本らしい健気で奥ゆかしい少年だと思ったよ。
・・あぁ言うのをヤマトナデシコと言うのだろうな」
「あ、それ言うとアイツ怒るぞ」
「誉めているのにか?」
「それで照れるなよって言ったらさらに倍くらい攻撃された事がある」
「はは、随分と恥ずかしがり屋なんだな」
「ま、それもアイツの良いところだ」
「・・・・(ツッコミ所は多々あるけどあえてスルー)」
「で?バージルはどうなんだ?アイツの第一印象」
「俺か?俺は・・・・あまり覚えていない。
今の母さんと会った時は色々とあって、それどころではなかったからな。
そうしてどうしていいか分からないまま、しばらく色々な事を教わる内に
元の母さんに似ているのだと言うことは分かってきたが・・
明確な第一印象というものもあまりない」
「・・ふぅん?で?今の印象はどうなんだ?」
「今の俺の全てだ」
「・・・・・直球すぎて球が返せねぇ」
「ははは、かつての性格のリバウンドというわけか」
「・・・そう言うオヤジはどうなんだよ。今のアイツの印象」
「年若いが優しくもたくましい、芯のある少年だと思う。
私が生きていてあの子の性別が逆であれば、迷うことなく再婚していたな」
「・・・・・・確かにアイツは母さんに似てなくもないが・・・
だからって背中を預けてた相棒が義理の母親になるってのは勘弁願いたいな」
「そうか?しかし悪い話ではないと思うぞ。
何しろバージルにとっても名実共に母になるのだから」
「・・・・・・・」
「オイコラそこ!真顔で考え込むな!
そもそもアンタはアイツの事を一体なんだと思ってる!」
「母さんだ」
「・・・即答かよ」
「いや、元の母さんと違うというのはわかっている。
だが全てを最初から始めているような俺には色々なことを教えてくれ
色々なものを惜しげもなく与えてくれる今の母さんは・・・」
「・・あー!わかったからもういい!
それ以上ノロケられるとオレのアイツに対するイメージが混乱する!」
「ほう?どんなイメージだ?」
「・・アンタ達が考えてるのとはちょっと違うヤツだよ。
オレはこの中ではアイツと一番付き合いが長い。
相棒で、手を引いてやってたガキで、ヘタをすればオレより強い依頼人で
遊びが過ぎると後から蹴りを入れてくるヤツで・・
・・とにかく上げていくときりがないくらい、色々と思い入れのあるヤツなんだよ」
「・・成る程な。ではそれほど思い入れがあるならもういいだろう。
後は私にまかせて遠慮なく仕事に精を出せ」
「・・ちょっと待てクソオヤジ。
なに人の相棒さりげなく奪還しようとした上に同族殺し勧めてやがる」
「私はもう隠居の身だ。
後は若い者達に何もかも託すのが道理だろう」
「言ってることはもっともらしいが
やろうとしてることは仕事もせず酒ばっかり飲んでるダメオヤジよりタチが悪いぞ」
「・・・・(巻き込まれたくないのでそーっと帰ろうとしてる)」
「あれ?3人そろって何の話してるんだ?」
「あ・・」
「あぁ、いや、ちょっと・・な」
「いやいや、簡単な意思疎通を少しね」
「?・・(なんでみんなして目をそらすんだろ)
・・まぁいっか。ところでチーズケーキ買ってきたんだ。みんなでどう?」
「そりゃ食うに決まってるだろ」
「あれ、イチゴじゃないけどいいのか?」
「ただしドリンクはイチゴミルク、もちろん砂糖は4杯以上でな」
「・・・・あっそう。えっとバージルさんは紅茶のストレートで
スパーダさんはコーヒーの砂糖とミルク入りでよかったですよね」
「はは、君は本当に気の利くいい子だな」
「?」
「母さん、父さんが笑いながら手を出してくる時はあまり近づかない方がいい」
「・・・父に向かって失礼な奴だな」
「・・はいはい、何話してたのかよく分からないけどとにかくお茶にしようか」
「・・・うっ・・・(一瞬純矢の後ろ姿が母の後ろ姿と重なった)」
「おーい、ダンテさん何してるんだ?置いてくぞ」
「・・・お前の印象がまた増えちまったよ・・・・畜生め」
「??」
付き合いの長いダンテだけは母と混雑したくないようです。
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