. 薄いとか薄くないとか

「・・あのさ、風の噂で聞いたんだけど、あんたって幸薄いの?」
「・・また何を唐突にワケのわからん事を。
 そんなものは自らの手で掴み取り築き上げて形成されるもので
 先天的に決まっているものでは・・」
「(じーと見てる)」
「・・何だ」
「・・いや、前から気になってたんだけどさ
 あんた達家族って若くても老けててもおとっつぁんでも
 みーんな幸薄くて苦労してるからそんなふうに・・」
「言っておくがこれは遺伝で地の色だ」
「え!?そうなの?!なーんだ。道理でみんな性格バラバラなのに
 みんなそろって苦労の色してるワケだ」
「・・・・」
「でもそれだと歳くってもあんまり見た目に変わらないからちょっとお得ね」
「・・・(何で俺はこんなバカと会話してるんだろうと思ってる)」
「あ、そうだ。だったら1つ試してみたい事があるんだけど
 髪の毛一本貸してくれる?」
「・・?」
「いや呪いに使うとかそんなんじゃなくて
 こう(自分の一本抜いて)一本だけ持っててくれればいいから」
「何のまじないだそれは」
「あれ、そういうの気にする方だっけ?」
「・・・(ムッとしつつ一本抜いて持つ)それで?」
「うん。そんでこうしてあたしのと交差させてこう・・引っぱる」

ぷち

「・・あ、そっちが切れたからあたしの勝ち」
「!(軽くショック)」
「ふーん、色が薄いと強度もそうないんだ・・って、何してんの?」
「・・今のはただの偶然だ。もう一度」
「・・まぁいいけど」

10分後

「・・あのさ、もういい加減にしとかない?
 たかが髪の毛一本のお遊びなんだし」
「・・・五月蠅い。もう一度」
「幸薄いってのは撤回するからさ。でないと幸どころか頭も薄く・・」
もう一度!!



・・・ゴメン。やっぱり幸薄くなった。





. 『身長差』

「・・あれ?なんか見覚えのある青が落ちてる」
「(川の横で倒れたまま巨大な蚊と巨大コオロギにたかられてる)」
「・・えーと、助けた方がいいのかな。えい(毒煙玉投げる)」
「(虫は全部落ちたけどまだ起きあがらない)」
「(落ちた虫の外殻剥ぎながら)おーい、大丈夫?」
「・・・・」
「あ、そっか痺れてるのか。えーと、そんで何でこんな所に転がって?」
「・・・・・・・」
「ふーん、釣り場探して1人で散策してたのはいいけど
 いつの間にか虫に囲まれて刺されて動けなくなったの」
「・・人の過去を勝手に読むな」
「あはは。でも確かに虫の気配ってのは読みにくいから
 油断してると刺されるよね。ほら、立てる?」
「・・・(起きあがって膝はつくけどそれ以上は無理らしい)」
「あれ?刺さり所が悪かったのかな」
「・・解毒薬か代用できる物は?」
「麻痺はそのうち勝手に治るものなんだけど・・
 あ、でも薬草なら1つ持ってるけど食べる?」
「・・・(ちょっと考えて手を差し出す)」
「お、さすがに素直(渡す)」
「・・・不味い。草の味がする」
「そりゃ調合前の材料なんだし
 そのへんに生えてるだけなんだからしょうがないでしょ。
 それでどう?歩ける?」
「・・・!(立ち上がりかけてこけた)」
「うーん、やっぱり気休めにしかならないか。じゃあしょうがない」
「?何をしている」
「(バージルの背中に自分の剣くくりつけて)え?だって
 これ腰につけてたら背負うのに邪魔になるでしょ」
「!!貴様!何を考えて・・!」
「多少体格差と身長差はあるけどハンマーよりは軽いだろうし
 背負うくらいはちゃんとできるから心配しなくても・・
 ってコラ、どこへ行く」
「ぉぐ!?(這って逃げようとして背中踏まれた)
 ・・ッふざけるな!そんな事が出来るか!這ってでも行く!」
「つってもこの辺一帯まだ虫だらけだし
 その状態でまたたかられたらヤバイんじゃ・・」
断る!!
「んー・・じゃあぶん殴って落としてから担いで行くのと
 足掴んで引きずってくの、どっちがいい(手ボキボキ鳴らしつつの笑顔)?」
「・・・・・・・・・・・・・・」

「(いたって普通の足取りで)いやー重い重い。おまけに歩きにくーい。
 何だって男の身体ってのはこんなに重たくできてるのやらねぇ」
「(もう怒っていいやら赤くなっていいやらどうしていいかわからず
 ずーーっと怖い顔のまんま黙ってる)」
「あ、そうだところでさ・・」
いきなりこっちを向くな!!」
「うわったた!ゴメンゴメン。悪かったから暴れないの」
「・・・(可能な限りそっぽ向いて)何だ」
「えーと、探求心が強いのは悪い事じゃないけど
 こういった所を歩くなら一声かけてほしいな。
 色々とやっかいな所もあるしやっかいな生き物もいるし
 それと前にも言ったけど人間1人じゃ色々限界があるしさ」
「・・・・・」
「でないとまた今日みたいな目にあうけど、それでもいい?」
「・・・・考えておく」
「ん、そっか。じゃあ(背負い直して)あともう少しでキャンプだから
 腹立つだろうけどもうちょっとだけ我慢ね」
「・・・・・」
「?なに?」
「・・何でもない」


人間だけど人間じゃないけど、妙な身長差のある2人。
ちなみにこれ絵の所に漫画にしていただいてます。




. おそれるものはなにもナイ (2.14砂かけロマン)

「あ、いたいた。おーいそこの常時不機嫌な君」
「・・何だ、常に巨大鈍器を持ち歩いている原始狩猟民族」
「いやさぁ、さっきそこであんたの若い弟に会ったんだけど
 これあんたに渡してくれってたのまれたの」
「(何か言いかけたがやっぱりやめた)
 ・・貴様、あれと俺の折り合いが悪いのは・・」
「うん知ってる。でもなんか嬉しそうだったし断るのもなんだったし
 なんか変わった物だから中身がどんなのかも見たかったし」
「(突き出されたリボンのついた可愛い袋睨み付けてる)」
「で?何?毒でも入ってるの?それとも動物の死骸とか?」
「・・開けてみろ」
「え・・」
「俺の想像が当たっていれば危険物ではない」
「あ、そうなの。えーっと・・(開けてのぞく)」
「(とっても不機嫌そうにそれ見てる)」
「・・・・あのさ、2つほど聞きたいんだけど・・いい?」
「何だ」
「1つはなんでこんな嫌がらせを楽しそうにするのかってのと
 もう1つは・・・これ、何のう●こ?」
「1つ目の回答はそれがこの時期に貴様を利用し
 俺に対して出来る最大の嫌がらせだからだ。
 2つ目はそれは排泄物ではなく植物の実を加工した食品だ」
「え!?鹿か何かの●んこじゃないの!?」
「その台詞、今度是非に愚弟の前で言ってやれ。
 もちろん同じ物を食っている最中にな」
「・・・へぇ、そっちにはこんな見た目に困る食べ物があるんだ」
「・・・あの愚弟、つまらん事にだけは鼻がきくな」
「?何?」
「・・何でもない」
「で・・これって味の方はどうなの?」
「そんなもの食えばわかる」
「・・・いや、さすがに草とか虫とか食べてる身でも
 こんなうん●似のを食べろってのもねぇ」
「それを奴の前で連呼するのは一向にかまわんが
 それ以外では2文字で言え。もうとっくにないだろうが品位が落ちる」
「?ク●?」
「・・・・字数は近いが違う」
「あ、フンね。ゴメンゴメン」
「(もう諦めてるので何も言わない)」
「ん〜・・(一個つまんで)でも悪いニオイはしてないし
 見た目はアレでも・・味が気になるし・・でもなぁ・・」
「・・それと1つ忠告しておくが、あまり素手で持っていると温度で溶ける」
「げ!?うわ!ほんとだ!・・えぇい!挑戦!(口に入れた)」
「(もしかして毒でも入ってるんじゃないかと思ってる)」
・・何これ甘っ!?・・あ、でも・・なくなった」
「本来それはそんな甘さのある物ではないのだが
 加工途中に砂糖やその他をやたらと入れるのでそうなる」
「・・ふーん、でも・・不味くはないね。見た目はともかく」
「気に入ったのなら全部持っていけ。俺はあまり好きではない」
「え?いやでも渡せって言われたんだし、それにこんなには・・」
いらん。二度は言わんぞ」
「(かわいい袋片手にじーと見てくる)」
「(イヤな予感して)・・何だ」
「いやさ、前から思ってたんだけど実力行使ってのが可能かどうか・・」
「(光速でひったくった)」
「・・・ちぇ」
「残念がるな!」
「?あれ?なんで半分に分けるの?」
「・・こうしておかねば後で色々と言い訳が面倒になる」
「??・・ところでさ、その食べ物を弟君が自分じゃなくて
 わざわざあたしに届けさせた理由ってのは?」
「(一瞬びしと固まって)・・・あの馬鹿の頭の中を
 理解してやる必要など一切まったくない」
「・・・ねぇ、二人してあたしに何か隠してない?」
「・・(内心冷や汗かきながら)少なくとも俺はしていない。
 知りたくば本物のフンを袋につめて直接奴に聞きに行けばいい」
「・・(半分にしたのをもらって)ま、いっか。じゃあそうする」
「是非そうしろ。・・あと口と手を拭け」
「・・あ、ホント。やだなぁもう、生々しいったらありゃしない」
「(もうツッコむのも面倒なのでハンカチだけ出した)」



オレ世界の中心で愛のまったくない会話を書・・
トリュフにゴメン





. じしゃくにくっついたさてつのような (3.14リベンジ玉砕)

「♪〜ふーんふふー・・ん?」
「(血みどろで倒れてる見たことのある青色)」
「・・・んー・・(そのそばでしゃがんで)
 ・・まぁ何回か前例があるからもう深く気にしないけど
 空腹とケンカと事故の一体どれ?」
「・・・・(完全黙秘)」
「・・あっそ。でもケンカするにももうちょっと加減しないと
 落ちてる場所によっては結構危ないと思うな」
「・・だから・・人の過去を勝手に・・!」
「空腹なら素直に音でかえってくるし
 事故にしてもそっちの腕ならここまでなったりしないと思っただけ」
「・・・・・・」
「んで、ケンカの原因は(血溜まりに残ってた包みをつまみ上げて)
 もしかしてコレ?」
「な・・ッ!?!あの馬鹿が!!置いていったな!?!」
「なんだまた弟から?じゃあ今度は何なの」
「・・あ!・・開けるな!捨てろそんなもの!」
「こらこら、そんなボロ状態で暴れない。
 ほら、回復剤あげるからまず飲んでから動く」
いらん!それよりそれを・・!」
「(その鼻ひっつかんで口にビンを突っ込む)」
!!(飲まないと死にそうなので窒息しそうになりつつ飲んだ)」
「はいよし。それじゃ言いたいことやりたい事があるならどうぞ」
「(起きあがって散々咳き込んで)・・どりあえず、ぞれを返せ・・」
「捨てちゃうの?」
「・・・・(5つ6つ同時に考えごとしてるような顔)」
「・・あ、込み入った事情があるなら返すけど」
「・・別に・・込み入ってはいない。
 ただあの馬鹿がまたしてもつまらん手引きをして
 俺に恥をかかせようとしているだけだ」
「?じゃあ中身は前みたいな甘い物?」
「ぐッ・・!」
「あ、やっぱり。でもなんで赤くなるの」
「う、五月蠅い!やはり返せ!!」
「じゃあハイ」
「・・!」
「?返せって言ったのに何で固まるのよ」
「・・・(もの凄く複雑な顔して脂汗流してる)」
「う〜ん、何が何だかよくわからないけど
 弟君の思惑通り見事に困ってるみたいだから
 これ、こっちで処分してもいい?」
「・・か・・勝手に・・いや!適当に・・!いやそうでもなく!」
「(がさごそ開けて)しっかし見事なまでに困るのね。
 んーと・・あぁ、今度は普通の色だ。
 で?これってなんて言う食べ物?」
「・・く・・穀物を乾燥させて粉末状にし甘味料と鳥類の玉子と乳製品
 その他を混ぜ合わせて高温で焼いた焼き菓子の一種」
「長!?・・でも最初に言いかけた『く』ってのは?」
「(出来るだけ目をそらして)く・・口がすべっただけだ」
「??・・お、でも結構いいニオイがする。
 (1つ口に放り込んで)・・うん、今度はそんなに甘くないし
 名前はわからないにしろそこそこ美味しい」
「・・・(横目で盗み見)」
「ふふ、弟君が何考えてるのかはさっぱりだけど
 ともあれお礼は言っとくね。ありがと」
「(貧血起こしたみたいに崩れた)」
「おわ!?何?ここんとこ色々忙しいけど・・大丈夫?」
「・・(はいつくばって)・・厄月だ」
「??いつもながらに変な兄弟」



アメとクッキーどっちなのかと思ったけど
売られてるのはクッキーの方が多かったんでこっちにした。
あとこの後空腹と間違えられてまた半分この目にあうといいななんて。


もどる