1.始まりはふて腐れていたコレを見つけたことでした

「ん?あそこでゴロ寝してる赤いのって・・
 おーい、老け・・じゃなかった、ダンテじゃない」
「・・・(首だけ向けて)なんだアンタか久しぶり髪型変えたんだなあと鎧」
「・・うわ、なにそのこれ以上ないくらいの棒読みと投げやりな態度。
 どうかしたの?ちょっと元気ないみたいだけど」
「・・・アイツが・・・最近相手してくれなくなった。
 クロニクルがどうとかショセイさんと戦うのがどうとかナントカで・・」
「・・??何が何だかサッパリわからないんだけど
 でもいい歳こいたごっつい大人が子供が見てないのをいい事に
 尻かいてふて腐れてるってのはどうなのさ」
「・・・(そっぽ向いて)オレの勝手だ」
「・・なんかどっかで聞いた覚えあるなぁそれ。
 ま、いいや。そんな所でいい男台無しにしてないで荷物持ちでもしない?
 多少の狩りとか釣りもふまえて身体動かすつもりでさ」
「・・どっちにしろ台無しな気がするが・・
 とにかくオレは回りくどい狩りは性に合わないんでな」
「いや今回は大物を狩らずに材料だけを集める狩りだから、そうはかからない。
 あと取ったのを焼いたり調合したりもするんだけど、気晴らしにでもどう?」
「・・・(かなり考え込んで起き上がった)ま、確かにこんな所で腐ってるよりはマシか」
「そうね。凹んでるよりは何かする方が気が紛れるし。
 えっと、それじゃこれで3人になるから虫あみも持っていって大丈夫かな」
「3人?オレの他にまだ誰かいるのか?」
「うん。先約が1人ね。古い釣り仲間なんだけど別にいいでしょ?」
「かまわないさ。アンタの知り合いならよほどのヤツでもない限りイヤとは言わない」
「あ、そうなんだ。それ聞いて安心した」
「で、誰だ?もしかして同じハンターってやつか?」
「いや、ハンターとは言えないけどそれなりに場慣れはしてる・・
 じゃなくて、場慣れはしてたって方が正しいのかな。まぁ会えばわかると思うけど」
「オレの知ってるヤツなのか?」
「たぶんね」


「・・・・・(やっと忘れられたと思っていた嫌なヤツと偶然ばったり会ったみたいな顔)」
「・・・・・(それとまったく同じ顔)」
「えーと、それじゃ自己紹介はいらないっぽいから省略して
 持っていく荷物ややこしくなりそうだから分別しようか。
 ダンテの方は肉類、バージルの方は魚とか釣りのエサ持っててね。
 あたしはその他の野草とか虫のたぐいを担当す・・」
オイコラ
ちょっと待て
「ん?なに、2人して深海魚みたいな怖い顔して」
「そりゃ確かによほどのヤツでもない限り、とは言ったがな
 コイツはそのよほどのヤツのぶっちぎりトップだろうが」
「じゃあ嫌なの?」
「当たり前だ!イヤもイヤ、全身全霊をこめてお断りだ」
「それはこっちの台詞だ。確かに足手まといにはならんだろうが
 なぜよりによってこんな世界に1人だけの馬鹿と一緒に行動せねばならない」
「・・あらら、歳くってもその反発ぶりはあんまり変わらないのか」
「「歳くってるとか言うな!」」
「んーと、まぁ順番に説明するならこっちのお兄さんは
 昔やってた事を色々忘れたらしくてさ、それを思い出したいっていうから一緒に行くの。
 で、こっちの弟さんは相棒に相手してもらえずに腐ってたから拾ったの」
元あった所に捨て返せ
「・・オレの説明が妙にいい加減なのはともかく、コイツとだけは絶対ゴメンだ」
「どうして?」
「どうしてもこうしても・・とにかくコイツとは色々あわないし生理的にイヤだ」
「人を台所の茶色い害虫のように言うな。
 俺とてお前と共同で何かするなどと考えただけでも頭痛がする」
「・・てめぇ・・自分が昔した事を棚に上げてよくそんな口が・・」
「はいはいはい、仲が悪いのはわかったから、そろそろ行こうか。
 はいこれはダンテの分、バージルはそれ持ってね」
「オイちょっと待て!だからオレはコイツとは・・!」
「(力強い笑顔で)知りません。むしろ知るかめんどくさい」
「・・・(どごんと荷物投げ渡されそれ以上何も言えなくなった)」
「・・同じ所で足踏みをせず、前向きに行動しろという事だな」
「お、さっすが。飲み込みが早い」
「(渡されたザックを背負って)考え方を少し変えてみただけだ。
 ・・あと忘れてしまった昔の経験かも知れんがな」
「だとすると野山を歩いた経験が多かったお兄さんは
 弟に比べるとちょっと有利になるのかな」
「(ちょっと誇らしげに)おそらくは」
「・・ハ、何言ってる。平和ボケした無職の甘えた野郎に
 現役のハンターが負けるとでも思ってるのか?」
「狩りをし対象を排除するだけが生きる術ではない
 と、言ったところで貴様の小さな脳には多くの事は入らんか」
「言ってな運動不足」
「吠えていろ体育会系」
「(口喧嘩はちょっと地味になったなと思いつつ)あ、それと先に言っとくけど
 あたしあの子みたいにケンカの仲裁とかいう細かいこと出来ないから。
 止められないくらいのケンカ始めたら即・放置ね」
「「・・・・・」」



それはそれで寂しいらしい大人兄弟。
何の因果かおおざっぱなハンターさんと一緒に採集活動。
適度に続きます。 





2.回を増すごとにワイルドになっていく人

「はーい、初心者向け探索採取コースの密林に到着〜。
 船固定するからそこの板から降りてね〜」
「・・やれやれ。まさか船で来るハメになるとはな。
 しかも無人島みたいみたいだが、近場じゃ取れない物でもあるのか?」
「人里から離れてて危ないから仕事になるんじゃない。
 近場で取れるものは普通の商人とかにまかせて
 あたしたちはこうやって人の寄りつかない所を歩かないと。
 おーい、ところで大丈夫?生きてる?」
「・・・・(船酔いで足元フラフラな兄)」
「オイオイ、何かする前からそんな調子で大丈夫か?」
「・・・・・・五月蠅い・・嬉しそうに笑うな・・愚弟」
「ハッハ!今なら後ろから蹴ってもずっこけそうだな。試してみるか?」
「・・・・・(閻魔刀構えて威嚇)」
「コラコラ、何かする前からお兄さんをいじめない。
 それよりこれ、適当な所に埋めといて」
「(蓋された壺を受け取って)?なんだこの妖しげな壺は」
「何かの菌が入ってて、入れた物を別の何かに作り替える壺。
 マカ漬けの壺って言うんだけど、時間がたってそこから出てる煙が緑になったら
 掘り出して中のもの取るからね」
「・・ハンターだってのに不思議な事をするな(砂浜の中に埋めた)」
「色々なものを狩るには小細工もそこそこ重要になってくるのよ。
 えっと、それじゃあこれからあちこち採集に歩くワケなんだけど
 (近くにあった箱を引っかき回し)ハイこれ、ここのざっとの地図ね」
「・・ちょっと複雑だな。これを全部歩くつもりか?」
「まさか、さすがに全部は行かない。必要な物がある場所は全部把握してるから
 そこだけ歩いて必要な物だけ集めるの」
「どこに何があるのかも把握済みなのか?」
「これでも称号が『密林の案内人』だからね。
 ・・ところでもう大丈夫?無理ならしばらく休んでていいけど」
「・・いい、歩いているうちに回復する。それよりそこに魚影が見えるが・・」
「あ、やっぱりいいところに目をつけてる。
 お察しの通りその船先で釣りができるようになってるよ。
 今温暖期だからいろいろ釣れるし、運がよければレア物も釣れる」
「レア物?」
「知ってるかな。カジキマグロって人より大きい魚」
「こんな浅瀬で!?」
「滅多にいないけどいればすぐわかるよ。
 あたしも釣ったのは二度くらいしかないけどね」
「・・・・(じーと海面が焼けそうなほど凝視する)」
「もの凄く釣りたそうなのは分かるけど、今はいないからあきらめようね。
 というか釣りの方法は覚えてるの?」
「・・具体的には忘れているが、手に感覚としては残っている」
「お、それなら十分ね。まぁとにかく行こうか。
 まずメインクリア条件のキノコから探さないと」
「オイちょっと待て、その前にその腰に下げてるイカリはどうする気だ?」
「へ?使うんだけど?」
「いや今使わないのか?どう見ても船のイカリだろうそれは」
「?・・あ、そっか。(腰に付けてたのを叩いて)これはね、船のイカリじゃなくて
 ハンマーの部類、つまりぶん殴って使う物なの」
「・・・(難しい顔して)それはジョークなのか?」
「だから違うんだってば。これはイカリクラッシャーって言って
 村にいた船大工のおっさんから色々もらって作った立派な武器なの。
 つっても元はやっぱり船のイカリなんだろうけど
 今は立派に武器として使用されてるって寸法ね」
「寸法ね・・って・・言われてもな・・」
「・・発想の起源がまったくわからん」
「まぁまぁ、細かいことは気にしないの。
 それより先に言っとくけども勝手にはぐれないでよ。
 どこにどんな生き物が出るかも把握はしてるけど
 あんた達といると変な例外に出くわしたりするからね」
「そんな子供じゃあるまいし心配するな。
 それにオレは狩るジャンルは違うが現役のハンターだぜ?」
「・・・・(かなり疑わしい目で見てる兄)」
「・・何だその目は」
「いや何も」
「・・いいかなと思ってたんだけど、やっぱり渡しとこうかな。
 ハイこれ、1つづつ持ってて」
「(調合された丸い物を受け取って)コイツは?」
「モドリ玉っていう緊急用の道具。
 もしはぐれて道が分からなくなったら地面に叩きつけて。
 ここに戻ってこれるようになってるから」
「だから子供じゃないんだからそんな用心しなくても・・」
「じゃあこの地図、どこが現在地かわかる?」
「・・・・(アゴに手を当てて考え込んで)ここか?」
真逆!とにかくここは視界が悪くて道も入り組んでるんだから
 自信過剰にウロウロしないこと!いい?」
「・・・なんだか状況がいつもと変わらないような気がするな」
「返事は!」
「わかった!わかったから船舶の道具を振りかざすな!」
「・・・・(ちょっと再生の母を思い出してる)」



寒くも暑くもなく毒沼とかもないけれど、最初はちょっととまどう密林編。
イカリクラッシャーは船大工のオッサンと色々やって作った漢の武器です。
見た目はアレだけど水属性がついてて便利。
そしてD氏は2のマップがマップとしてあまり機能してなかったため
地図に弱く方向音痴気味だとか。





3.きっとコイツの行動プログラムだけ他の倍はあるに違いない

「(地面にヤンキー座りでしゃがみ込んでキノコをブチブチ取りながら)
 ・・なぁオイ、このナントカキノコってのはこれくらいでいいのか?」
「特産キノコ。で、そっちに持ってるのはアオキノコ。
 ・・別に今すぐ使わないから名前はいいんだけど
 特産の方は5つあれば十分だから、そんなもんね」
「・・(虫の詰まった袋を突き出して)取れたが」
「あ、ご苦労様。・・?なによ変な顔して」
「・・いや、こんな得体の知れない虫をこれだけ集めてどうするつもりだ?
 俺にはどれも虫としか判別のきかないものばかりだが・・」
「んーと、知らない人にはサッパリでも用途は色々あって・・(袋に手を突っ込む)
 これは発光する性質を利用して目くらまし用の閃光弾に
 これはキノコと調合して増強剤にするもの。
 で、こっちのは普通に食材で・・これは釣りに使うバッタね」
「・・自然界の中にそれだけ多く利用できるものがあるのか?」
「そっちの常識がどんなのかは知らないけど
 こっちで無駄になるものはそうそうはないよ。
 石ころ1つから火竜の骨髄まで使える物はたくさんあるからね」
「・・(感心したように)摂理だな」
「ならさっきからその辺をウロついてる
 あのシカみたいな生き物も使う対象になるのか?」
「あぁ、ケルビの角も皮もレバーも全部使える。でも今は必要ないから無視していいよ。
 それにその子達は好きこのんでこっちの邪魔してこないし」
「?じゃあ好きこのんで邪魔をしてくるヤツもいるのか?」
「・・(ガラッと表情を変えて苦々しそうに)いる。
 この世界にまんべんなくいるランゴスタって大きい虫。
 蚊とハチをたしたようなヤツなんだけど・・もしそれっぽいのを見かけたら注意して」
「・・それに関しては少し覚えがある。確か麻痺毒を持つ大型の羽虫だな」
「うん。集団でくるとか攻撃力がバカみたいにあるわけじゃないけど
 とにかく絶妙なタイミングで邪魔してくるのが特徴。
 採集、採掘中、大型モンスターとの戦闘中、薬飲んでる最中から
 食事中にしとめて素材を剥いでる最中、とにかく何かしてる最中には
 なんというか神懸かり的な・・おい!!
「(ウロウロしてて尻を蹴られた)いった!何だいきなり」
「何だじゃないでしょ。今結構大事な話してたんだけどちゃんと聞いてた?」
「・・あ〜・・つまりデカイ羽虫を見たら撃って落とせって事だな」
「・・まだ言ってもない結論から先に言ってるし。
 でもさっきも言ったけどあんまり過信してたら思わぬ所で痛い目みるハメになるよ?」
「そうなる前に片づけるのがハンターだろ」
「・・・・。じゃあこの先に浜辺があるんだけど
 そこの突き当たりまで行って戻ってみてくれない?1人で」
「?かまわないが・・なんでだ?」
「んー、まぁちょっと運だめし」
「?ヘンなヤツだ。まぁいい、待ってろ」

数分後。
遠くから発砲音がしてぱたりとやみ
しばらくして今度は激しい発砲音がした後、のろのろ帰ってきた。

「・・あ、お帰り。どうだった?」
「・・・(行った時よりちょっと汚れていてもの凄くクサイ)」
「・・(鼻を押さえて)なんだこのニオイは。一体何をしたらそうなる」
「ピンクのゴリラ(コンガ)との戦闘中に刺されて動けなくなって
 ゴリラにプレスされたか屁をかまされたか両方やられたかのどれかでしょ?」
「・・・違う。くらったのは屁だけだ」
「・・・(吹き出しかけてギリギリ押さえた)」
「・・確かに邪魔はしてくるな。しかも絶妙な時に限って。
 だが蚊の事はともかくゴリラの事はなんで黙ってた」
「(平然と)言って説明しても実際にどうこうしないと聞きそうになかったから」
「つまりは話を聞かないお前が悪いのだろう」
「・・・・(歯ぎしりして)わかった。
 わかったから今後あぁいったのがいる場合は事前に言ってくれ」
「さすがに懲りた?」
「・・精神的にな」
「・・・・、」
「ひっそり笑うなクソ兄貴」
「・・・正面から笑い飛ばして欲しかったのなら今後そうする。
 あと臭い。しばらく寄るな」
「(頭ガリガリ引っ掻いて)消臭剤は!」
「作ればあるけど今は素材がないから無理。そのうち消えるから我慢して。
 あ、それとその状態で肉とか食べ物触らないでよ」
「・・・(真正面から口のはじっこで笑う)」
「・・やっぱりこっそりやってくれ」

この後話を聞くようになったダンテは
地面にもぐった巨大ヤドカリにつままれないで済みました。



ゴリラの屁攻撃は精神的にもダメージがきますが
ランゴの邪魔はそれよりももっと陰湿なので精神的にイラつく事間違いなし。
ちなみにこの時期ピンクゴリラ(コンガ)は浜辺にいませんがパラレルってことで。





4.意味のない意地をかけた焼き合戦

「(沼で釣った魚を袋に詰めつつ)・・よろず焼き?」
「そ。こっちでは肉以外に魚が焼ける道具があってさ。
 焼く前にちょっとだけ手間はいるけど、焼く手順は一緒だから。
 あ、でも肉を焼いた事は覚えてる?」
「(かなり考えて)・・あまり記憶にないが
 普段から調理はしているので問題ないはずだ」
「そっか、じゃあこの魚とこの焼き器を調合の要領であわせて・・コらァ!
ぅあっぶ!・・オマエ!なにもそれ(イカリ型ハンムァー)で殴りかかってくる事ないだろ!」
「なに調合専用の食べられないのを黙ってつまみ食いしようとしてるの。
 そもそも今日はそれを取りに来たようなもんだから我慢しなさい」
「何言ってる。ハチミツってのは舐めるためにある物だろうが。
 それを味見もせず調合に使うなんざ正気の沙汰とは思えない」
「・・その様子だと言っても無駄なのね。
 まぁいいや。もうそれ手付けちゃったし他にもまだ取れるところあるし」
「・・あまり甘やかすな。そんなナリをしているが放っておくと調子に乗るぞ」
「そんなアンタはいつまでたってもオレに対してだけはそんな態度か」
「(超上から目線で)ほう?では昔の分の精算もかねて力の限り甘やかしてやろうか」
「・・・セリフはそれなりに譲歩してるように見えるが
 その背後からダダ漏れだしてるドス黒いのは何だ」
「おーい、ケンカの仕方は地味になったけどやっぱりほっとくとそれかい泥沼兄弟」
「・・いやすまない。それでどこまで話した」
「えーと、魚が焼けるって話をしてたっけ。
 あ、そうだ。ダンテも肉焼いた事あったよね。
 だったら魚焼くついでにそっちで肉類焼いといてくれない?
 1人でやると時間かかるけど2人でやると早いでしょ?」
「やめておけ。そいつに任せると食材が台無しになる」
「ほぉ?何年も刀振り回す事だけに集中してたヤツがそんな口叩くのか?」
「それは昔の話で今の生活レベルは貴様より遙かに上だ」
「なら勝負しようじゃないか。どっちも条件はほぼ一緒だ。
 どっちがどれだけ上手く焼けるか、賭けてみるか?」
「つまらん提案だが勝つ勝負を断る理由もないな」
「・・今も変わらずむかつく兄貴だ。
 とにかく聞いた通りだ。審判の方はアンタにまかせる。いいな?」
「・・べつにそんなの競争するほどのもんじゃないけど・・まぁいいか。
 そんじゃ材料10個内でどっちが上手に焼けるかってことで」
「(お魚片手に不敵な顔で)望むところだ」
「(生肉片手に同じような顔して)勝負の内容はともかく、アンタにだけは負けたくない」
「それはこちらの台詞だ愚弟。家事で培ってきた経験をなめるな」
「人生経験ではこっちの方が上だ」
「はいはい、お互い似合わない状態での口喧嘩はいいから
 そろそろいくよ。よーーいドン」

それぞれの音楽を想像しつつしばらくお待ち下さい。

結果

弟  生3  こんがり2  こんがりG1  コゲ4 
兄  生1  こんがり6  こんがりG3  コゲ0

「はいお兄さんの勝ち〜。
 いやでも妙に手慣れててちょっと驚いた」
「(焼き魚片手にふんと鼻で笑い)焼くという行為は調理の初歩だ」
「ちょ・・ちょっと待て!その前に言い訳させろ!
 この焼き器、どこからともなくヘンな声が出て凄まじく気が散る!」
「あぁそれね。男の肉焼きセットっていうやつで
 確かにヘンな声はするけど気にしないのが正解なの。
 ちなみに女バージョンも持ってきてるんだけど、やってみる?」
「・・・イヤな予感はするが一応」

しばらくお待ち下さい。

やっぱり気が散る!むしろこっちの方が倍散る!」
「あはは。やっぱその系統は慣れないと無理か」
「集中力が足りていない証拠だな」
「焼き色を見極めてる最中に汗くさい声とか艶めかしい声出されたら
 イヤでも気が散るだろうが!」
「声の出ないやつもあるにはあるけど?」
「・・・器具名はなんだ」
「高速肉焼きセット」
「こ・・・」
「・・名称からしてやめておいた方が身のためだと思うが」
「・・・(かなり悩んだ後)いい。かせ」
「いいけど名前の通りな物だから気を付けてね」



「(コゲた肉叩きつけて)速い!!できるか!!
「そりゃそんな見極めのムズイの一発で成功したら天才だと思うな」
「それ以前に使い方とか注意事項とか
 コツとかなんとかをなんで事前に教えない!」
「(真顔で)聞かれなかったから」
「教えたところでお前の場合『習うより慣れろ』などと言い張りろくに聞かないだろう」
「・・・・・オマエら、実はオレをハメようとしてないか?」
「それであたしに何か得があるならそうするけど」
「俺もそこまでヒマではない」
「・・・(心の底から不満げな顔)・・・」
「あ、それよりそろそろ埋めた壺掘り返しに戻らないと。
 ホラそこの弟もいつまでもブツクサやってないで荷物まとめて」
「では負け犬はこちらの重い方を持て」
「(魚の入った生臭い荷物を背負って)やっぱりついてくるんじゃなかった・・!」



老けた弟、今のところいいとこなし。
ちなみに老けた弟の使ってた肉焼きセットは・・。

男の肉焼きセット  メロディーが体育会系男子のかけ声にすり替わってる
             ちょっとむさ苦しい肉焼きセット。

女の肉焼きセット  メロディーが女の人のあっはんうっふんな声にすり替わってる
             女の人にはなんかハラの立つ肉焼きセット。

高速肉焼きセット  メロディーに声はないものの音が普通の倍速
             かなり神経を研ぎ澄ませてないと即、コゲる恐怖の肉焼きセット。
             でも待ってる時間も惜しい人には最適。





5.でもトトスに比べると小さい方です

「(埋めてあった壺掘りおこして)・・よしと、ちゃんとできてる。
 まぁ今日はちゃんと時間計算したから当たり前なんだけど」
「?時間を計算していなかった場合どうなる」
「5分おきに中身が変わるからコレとは別の何かになっちゃうの。
 でもコレの場合元がいいから多少失敗しても平気なんだけど・・(船の方を見て)ん?」
「?なんだ」
「・・そう滅多にいないって言ったけど
 色々呼び込むそっちの性質にでも引かれたのかな。(船横の魚影指して)ホラ」
!?サメ・・ではない。マグロにしても・・?」
「マグロの大きいの(ドスハリマグロ)でも背びれが出るくらいだから
 あぁして背中まで出ちゃうのは1つしかない」
「先程話していたアレか!」
「うん、アレ。正式名称はカジキマグロ。
 幸いな事にそこの支給箱にまだエサが残ってるけど、もちろん?」
「(ぐぎぎと釣り竿握りしめて)釣るに決まっている」
「よし、そんじゃ言わなくてももう知ってるだろうけど
 フェイントと他の食い付きとかに気を付けて。
 チャンスはエサの数だけ5回だから」
「わかった、慎重にいく」
「・・・(やっぱ素直になったなぁと思ってる)」

数分後

「よし来た!それ!」
「くっ!(自分の身長より大きいのを一本釣り)」
「おぉー!おめでとー!普通に釣る魚としては最大級達成ー!」
「(ちょっと怖い顔してるけど感無量)」
「それ自体今すぐには食べられないけど
 ネコの所で食材にしたり武器に作り替えたりできるの。
 つまり選択肢として美味しく食べるか記念に形として残すかのどっちかだけど・・」
「・・・(釣り上げた状態でかなり考え込む)」
「・・いや別に今すぐ決めなくてもいいから。
 そんなその場で石化しそうなほどの勢いで考え込まない。
 とにかくこのままじゃどうにもならないから荷物に入れようね」
「・・・・(それを見つつ何か言いたげ)」
「(どう見ても入りきらないのを無理矢理ザックにねじ込みつつ)?どしたの」
「・・俺は今日、1つ知りたいことがあってここへ来たつもりだった。
 が、今それを釣り上げた瞬間もうどうでもよくなってしまった」
「えー?なにその微妙な物言い。んな言い方されると余計に気になるじゃない。
 なに?なにを知りたかったワケ?」
「(目をそらして)別に話すほどの事でもない」
「(袋からはみ出たカジキのとんがった所突き付けて)・・そうなの?」
「(降参のポーズで)・・・・・話す」
「(ひょいと離して)で、何?」
「・・(のど元ごしごしして)
 俺の覚えていないかつての部分、取り分けお前の事だ。
 お前は俺の何であり、俺はお前の何であったか、それを知りたかった。
 ・・だがそれは元々答えのないものだったのかも知れない。
 むしろその方が良いとさえ今思うようになった」
「(よくわかってない顔で)ほー」
「・・妙なものだ。その意義や関係にとらわれる事なく
 その存在だけが頭に焼き付いているなどとはな。
 だがそんな曖昧さが不思議としっくりくるのも事実であり
 それで俺が納得してしまっているのもまた事実だ」
「んー・・なんかまた難しい事考えてたみたいだけど
 そうやってあっさり解決できるってのは昔に比べると結構丸くなってるって事なのかな」
「・・そのあたりの事は俺にもよくわからん。ダンテに言わせれば極端だとの話だが」
「でもまぁどっちがホントの性格にしろ、本人が納得して
 それで幸せだっていうならいいんじゃない?」
「俺はあまり幸だ不幸だのと考えた事はない。
 だがお前といて何かをするというのは悪くない。むしろ好きな方だと思う」
「あ、そうなんだ」
「・・・(数秒後、は、と思い出したように赤くなる)」
「?何?なんで赤くなるの」
「今・・・思いがけずマズイ事を口走ったような気がする」
「(上を見あげて)え?どこらへんで?」
探すな!忘れろ!!」
「あれ?そういやさっきから弟の姿が見当たらないけど・・」
「?・・(見回して)言われてみれば・・こういった時に口出ししてくる奴がいないな」
「ヘンね。壺掘る前まではいたんだけど、釣りしてる間にヒマになったか
 ふて腐れちゃったかでどこかに行ったのかな」
「・・う」
「?どしたの」
「(足をさすって)今・・足を突かれたような感覚が・・。
 枝も石もないのに・・」
「足?・・足・・・(考え込んで)・・あ」
「?何だ」
「もしかしてだけど、あんた達が双子で色々呼び込むって性質を考えると
 悪い方面で心当たりがあるの。とにかくついてきて!」
「??」



寝る前にメモを取ると何書いてるのかわからなくなってきます。
次くらいで終わりたいな。





6.ドス最初の壁

「あぁ、いたいた。やっぱりからまれてる。・・しかもまた運悪くブタ付きで」
「あの野生のブタらしきものはともかく、なんだあの巨大なヤドカリは?」
「無闇にでかい骨を宿にしてるヤド・・じゃなくて、ダイミョウザザミって甲殻類。
 さっき浜で見たヤオザミってヤドカリの親玉みたいなの。
 あとそのへんチョロチョロして弟に突進してるブタはモスって言って
 普段無害なブタなんだけど、ああいう大物の攻撃とかに巻き込まれると
 その大物じゃなくてなんでかこっちに向かってつっかかって・・」
「(ブタとヤドの攻撃をかわしながら)暢気に詳しく説明してないで!
 この固いデカブツをどうすりゃいいのか先に説明・・!」
げ!ヤバイもぐった!!
 (走りながら)全員今から今いる場所から全力で離れて!
 下から急に出てくるから這い出きるまで止まっちゃダメよ!」
「ち、隠れてるだけかと思ったらやっぱり狙ってたか!」
「あの巨体で土煙や振動の1つも上げんとは・・!」
「(ハンマー構えて走りながら)モスの方は止まらない限り平気だけど
 ザザミの方は潜った時次どこに出てくるか予想しにく・・おっととぉ!
「矛先を変えたか・・!」
「(武器構えて走りながら)気の多い野郎だ!」
「(チャージ姿勢して)でも残念!あたし一番弱そうに見えるけど
 この中では当たりなんだよねっ・・っとらしょォ!!

ドゴン!!

・・・ズシン

「「一撃!?」」
「違うよ、ちょっとのびただけ。ほら今のうちに退散しないと
 怒らせてまた突っかかってこられても厄介だし
 今日は狩りに来たワケじゃないからこれ以上は無意味」
「オイ待て!さっきから散々突かれたってのに今さら背中向けて
 わ、わかった!わかったから同じ構え(チャージ姿勢)で走って来るな!」
「・・・緊急時には問答無用か。対処法としては間違っていないが・・」
コラそこ!ボーっとしてないで走れ!!」
「(ビクッとして)今行く!」


「・・よし、ここまで来ればもう安心。
 どんな凶悪なヤツでもキャンプにまでは追ってこないからね」
「・・しかしあんなデカブツを一発でノックアウトとはな。
 ただのイカリだと思ってたら大した武器っぷりだ」
「いや先にちょっと当ててくれてただろうし
 コレだから上手くいったみたいなもんだろうけど・・ 
 ところで平気?その様子だとそこそこやられたんじゃない?」
「(あちこちについた土とかをはらって)そう動きの速いヤツじゃなかったが・・
 何というか意表を突かれすぎた」
「(支給箱をあさりつつ)だろうね。
 甲殻類はもぐると次に出る場所の見分けがつきにくいから」
「それ以前に1人でウロウロするお前も悪い。
 そもそもたった数分目を離した隙にどうしてあんな騒ぎに発展する」
「・・そっちが釣りしてるのをただじっと待ってるのも退屈なんで
 まだ拾える物がないかと思ってちょっと歩いてた・・つもりなんだがな。
 気がついたら食事中だったアレと鉢合わせして
 突っかかって来たついでに足元にいたブタも巻き込んで色々と」
「・・・もう一つ聞くが、緊急避難用の道具を持っていてなぜ使わなかった」
「(肩すくめて)あれぐらい自分で始末をつける気だったさ」
「貴様、その有様で・・!」
「はいはいそこまで。全員無事だったからもういいじゃない。
 それよりハイ、応急薬」
「(ちょっとためらって飲んでから)・・・アンタ、やっぱり怒らないんだな」
「急ぐ時とか緊急なら怒るけど、今怒る理由もべつにないし。
 それにあんな壁にぶつかった事は前にもあったでしょ?」
「?壁?」
「覚えてない?イャンクックって派手な色したクチバシの大きい鳥みたいなトカゲ」
「・・・(かなり考えて)あ」
「あれはあの土地でハンターとして最初に当たる壁だったけど
 さっきのはこっちで最初にぶち当たる壁だからね。
 おまけにアレの場合、どこも硬くて生半可な武器ははじき返すし
 さっきみたいにもぐっていきなり下から刺してくるし、あげく真上に飛んで踏んづけてくるし
 あと後ろに回ったと思ったらそこから突進してくるわでもう大変なんだから」
「・・つまりお前はその厄介な壁を乗り越えた実績と経験があるため
 そいつがどれだけドジを踏もうが平然としていられるのか」
「そうね。こっちに来てからそこそこ狩りの回数も経験も積んだし
 そういう意味では肝は据わってきたと思う」
「と、言う事は今愚弟のハンターとしてのランクは
 それ以下か初心者同然という事になるのか」
「ちょっと待て、それはアンタだって・・!」
「(袋からはみ出てる立派なカジキをずいと突き出す)」
「ぐ・・」
「あはは。なんだか来た時とは逆になっちゃったなぁ。
 ま、とにかくあらかたの採集も終わったし、いったん戻ろうか。
 あんなのがウロつき出したならうかうか歩いてられないし」
「・・・これで勝ったと思うなバカ兄貴」
「バカは貴様だバカダンテ。勝ったも何も俺は釣りと採集しかしていない。
 ただお前が少し先走ってドジを踏み散らしただけの事だ」
「・・よぅし、丁度いい。ここにはアイツもいない事だし力の限り殴らせろ」
「つまり自らの失態を俺のせいにするつもりなのだなバカめ。
 だがあいにく俺はそんなバカに殴られる顔も筋合いも持ち合わせていない」
「そりゃアンタが思ってる範囲内での話であって
 こっちから見ればもう十二分にぶん殴るに値する」
「それは聴き方によっては殴る以外に勝つ方法がないとも取れるが」
「いや、アンタは一度痛い目をみないとそのイラつく脳みその構造が・・」

「(船こぎながら)はーい、それじゃあたし帰るからねー。
 あとは勝手に2人で無人島生活を満喫・・」

「「するか!!待て!!」」





本気で置いてく気だったらしく、2人そろってちょっと泳ぐハメになりました。


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