「いやーそれにしても悪いわね。
 暑い中いろいろと手伝ってもらった上に荷物まで持ってもらって」

「悪いと思うなら笑いながら言うな。
 ・・そもそも俺はただ見聞を広めたいとだけ言ったはずなのに
 それがどうして火山地帯を駆けずり回ってイノシシと格闘し
 強烈な温度の火口付近で酸欠になりそうになりながら採石をし
 あげく岩石の固まりのような竜に追い回され
 その周辺の虫退治をして貴様のフォローまでしなければ・・・」

「でもただ後ろついて来るだけってのもつまんないでしょ」

「・・・・・・」

「ま、とにかく荷物持ち兼お手伝いありがとね。
 お礼といっちゃ何だけど、はいこれあげる」

「・・?(なんとなく受け取って何コレというような目)」

「それ?ライトクリスタルって鉱石で、鉱石の中ではそれなりに貴重なんだけど
 どう使っていいかまだわかんないし、まだいくつかストックがあるから記念にあげる」

「・・・・」

「ん?どしたの?・・あ、ひょっとして魚とか食える物の方がよかった?」

「人を万年空腹のように言うな。ただ・・」

「?」

「(目そらして)・・ただ・・見た事のない石だと・・思っただけだ」

「ふーん。じゃあいらないって事はないの」

「貴重というなら持っていて損はないのだろう」

「まーね」

「・・・なんだ、何を笑っている」

「いや、態度と性格はキツイくせに
 なんかそういう涼しそうな物がよく似合うなーと思って」

「!!
何をわけのわからん事を!渡したのは貴様だろうが!!」

「?そこって怒るところ?」

「・・・(何か言いかけてやっぱりやめた)・・ともかくこれで貸し借りはなしだ。
 次に何かあったとしても、俺が有益でないと判断したのなら手伝わんぞ」

「ん。わかった。また面白そうな所に行く時はさそってあげる」

「・・・一応確認のために聞いておくが、貴様人の話を聞いているのか?」

「そりゃちゃんと聞いてるって。つまり平たく言えば
 次に何か面白そうな所に行くなら興味あるから言え。そういう事でしょ?」

「・・・・・・・・・・・・・」

「へぇ?話にはちらほら聞いてたが
 二言目には相手を斬り捨てるようなそいつが、本当に斬らないんだな」

「あ。ダンテじゃないの。歳くってる方の」

貴様!!いつからそこにいた!?

「アンタが真顔で愚痴ってる最中くらいからだな。
 よう、久しぶり。・・あと歳くってるはないだろう」

「いや昔のあんたからするとそうでも言わないと同一人物に見えなくてさ」

「・・ま、いいか。
 それで?今日はどこに行ってたんだ。しかもそんなコブつけて」

「うん、ちょっと火山地帯に鉱石採掘と草取りのついでに狩りを・・
 あ、ちょっと、それよかコブはないでしょコブは。
 この状態だとわかりにくいけど、一応あんたの兄貴なんだし・・」

「悪いがオレはそんな性根の腐ったクソガキを
 兄貴にもった覚えはな・・(幻影剣かわした)いんでな!

「黙れ原生動物。歳を食ってもまったく変わらないその傲慢な性格
 今ここでその脳ごとまとめて斬り捨ててやる」

「ほぉ?それじゃあその若いクセに高層ビルから下を見るような性格は
 今のうちにたたき直してやった方がいいって事だな?」

「自分の性格を改善する事もできん貴様などに・・そんな事ができるものか」

「やってみようか?今のオレの方がアンタの欲しがってた力が上だぜ?」

「・・(頭かきつつ)はぁ。しっかしあんた達、いつもどんな時にでも仲いいのね」

「「よくない!!」」

「・・・いやだって・・細かい説明とか省略してみても
 やっぱりいいじゃん(コント目には)」

「本気でそう思うなら今すぐにでも眼科に行け。
 そもそもこんな性格の悪いクソガキと仲のいい奴なんて想像もつかねぇ」

「こんな俗世にかぶれた生き物と共存していける生物が存在するとは思えんな」

「ほう?そんなわりにはこんな泥臭い姐さんとは随分よろしくやってるじゃないか」

!!(凄い目で睨む)」

「(自分で自分のニオイを嗅いで)いや泥臭いっつーか草臭いっつーか
 血以外のニオイなら相当色々しみついてるから・・臭いと言えば臭いけど・・」

「・・あのな、オレの常識から言わせてもらえば、そこは怒るところだ」

「え?そうなの?ゴメン」

「・・・・・(なんか怒る気力がなえた)」

「しかしそれにしても妙な組み合わせだな。
 そいつの性格からして隣に誰かがいるなんてのは
 よほど利用価値があるか緊急の時くらいしかないと思ってたが・・」

「そう?若い時のあんたとこの子の組み合わせも
 長時間見てて飽きないし、お金も取れそうな勢いだと思うけど(つまり漫才)」

「・・・・・・・・・・・オイそこのクソガキ。
 他人のフリしてないで自慢の減らず口で何とか言え」

「・・・(力の限り無視)」

「あはは。でもそうやって歳が逆転してても
 やっぱり兄貴と弟に見えるから不思議だなぁ」

「「(そろって露骨にイヤそうな顔)」」

「でもそうやって仲が悪くても息の合う誰かがいるってのはいいことだと思うよ。
 人間1人じゃ色々と限界があるからね」

「・・くだらん。それはただ未熟な証拠だ。
 人であれ何であれ、全てを自らの力で乗り越えてこそ己の真価を問えるのだろう」

「んー・・そうかも知れないけど、少なくともあたしは助かってるよ。
 あたしも大概1人には慣れてたつもりなんだけど
 でもやっぱり誰かが一緒にいるってのは、ただいるってだけでも結構助けになってるし」

「それがこんなクソガキでいいだなんて・・アンタも相当変わってるな」

「・・・(さりげなく閻魔刀の鍔を押し上げる)」

「そう?確かに口は悪いけど真面目だし、素っ気ないけど律儀だし
 それになんだかんだで素直だから、あたしはその子の事結構気に入ってるよ」

「!!(刀抜こうとした体勢のままで硬直した)」

「・・・(それを見つつ何か言いたそうにして)・・・・
 ・・いや・・・・まぁ・・なんというか・・素直と言えば・・素直・・か?」

「なにその複雑で遠慮がちな言い回しは」

「・・いや、やっぱりやめておく。
 アンタがそう取るならその方がよさそうだしな」

「?変なの。
 ま、そんな感じでそっちの価値観からすれば無駄な事かも知れないけど
 今のところあたしはあんたの事、キライじゃないから。
 (頭を撫でて)無駄は無駄なりに知っておいてね」

「・・・・(不意打ちで撫で方が優しかったのでうっかりそのまま赤くなった)」

「・・あれ?なんだ。いつも血色悪いと思ってたらちゃんと顔色変わるんじゃない。
 そうそう、若いときはそれくらい健康的じゃないとね」

「・・・・(まだ撫でられつつ完全に固まってる)」

「・・・しかしアイツにしろアンタにしろ・・
 ・・・・や、コイツがただ単に抵抗力がないだけか」

「?だからさっきからなんの話してるの?」

「いや、こっちの話だ気にするな」

「??ふーん。ま、いいや。
 それじゃあたしは帰るけど、するなとは言わないからケンカもほどほどにね。
 でないと眉間にシワ跡がついてせっかくのいい男が台無しだし(つんと額を押された)」

「・・・・(それでもまだ固まりっぱなし)」

「じゃね。そっちのダンテもあんまり意地悪しないようにね。
 せっかくの兄弟なんだから、一緒にいれる時は一緒に兄弟楽しまなきゃね。
 (色んな物がつまった袋を軽々背負い、手をひらひらさせて帰ってく)」

「(その背中見送って)せっかくの・・兄弟・・・ねぇ」

「・・・(まだ固まってる)」

「・・・・・(それを見つつそっと距離を取ってる)」

「・・・・・(ぎいと音がでそうなほどぎこちなくダンテに首を向けた)」

「・・・・・(身構える)」

ァアアーーー!!(魔人化して殴りかかるが
 銀色の所が隠しきれずにまだちょっと赤い)」

「・・あ、やっぱりオレに当たるんだな(魔人化して逃走)」







リクして下さった方の趣味に合わせて作ってみた・・・つもりのブツ。
甘いのは無理だけど青いのを赤くするくらいならなんとかかんとか・・。




にげる