「・・む?もし、そこを歩いているのはいつぞやの娘ではないか」
「?・・(あ、というような顔をして嬉しそうに寄ってきた)」
「うむ、久しぶりになるな。今日はどうした。迷いでもしたか?」
「・・・(首を振る)」
「ふむそうか、ただの散歩か」
「・・・(じーと見てくる)」
「ん?何だ、我の顔に何かついているか?」
「・・・・(頭の上に手をかざして背を計るようにする)」
「・・なにをどうしたらそんなに大きくなれるのか?
と・・思われてもな。我は元々この視線でしかものを見ておらぬので答えようがない」
「・・・・(ふーんと思ってる)」
「だがそう珍しがらずとも知り合いにはもっと大きな者もおれば
おぬしを丸飲みするほど大きな口を持つ者もおるのだ」
「・・(目を丸くしてちょっと不安げな目をする)」
「いや、それらは皆1人の主によって束ねられているのでそうそう害をなす者は・・
・・・・いや、1人例外もいるが、ともかくどれも悪い連中ではない。
そちらから見れば皆大きいと呼べる連中ばかりになるが
それでも我も含めその全員、おぬしくらいの年格好の主人に仕えているのでな」
「・・・(へーという目をして、例外っていうのは?という顔)」
「・・・あまり言いたくはないが、かつて主と敵対した人の形をした半魔の男だ。
今はもう敵ではないが・・今でも何を考えているのかまったくわからんあの男
主に対して最も無礼でありながら主との距離も最も近い」
「・・・(考えるように首をかしげてから笑った)」
「・・・だ、だれがうらやましいものか!
あのような人をイラつかせるだけの色彩毒々しい男!
・・とにかくもう行け。あまり長居をすると心配する者がおるだろう」
「・・・(あ、そうかという顔をして照れ笑い)」
「・・その様子だと心配をかけた事が多々あるのだな」
「(うんとうなずいて首をかしげる)」
「うむ。おぬしにあるように我にも帰る場所がある。
ただこちらの場合そう離れる事もないのであまり心配はかけぬがな」
「・・・(じーと見て嬉しそうにしてる)」
「?なんだ」
「・・・(にこにこしてなんでもないと首ふった)」
「おぬし・・そういう顔をしている時考えが読めぬというのは・・いささかずるくないか?」
「・・・(えへという顔をして頭を下げ、それじゃあねと手を振ろうとする)」
「あぁ、少し待て。
帰る前に主が以前教えてくれた挨拶を教えておこう。手を」
「?(首をかしげてから素直に手を片方出す)」
「(そこに指をくっつけた)・・これは握手というもので
本来なら手を握り合うものらしいのだが・・
サイズがあわぬのならばこれでいいと主に教えられた」
「・・・(不思議そうに見てから指先を両手で握りかえして微笑んだ)」
「・・そうだな。こうして相手に触れるだけでも
何やら言葉に出来ぬ多くの事を理解した気になれる。
不思議なものだ」
「・・・・(ちょっと考えるような仕草をしてこいこいと手招き)」
「?何だ」
「(かがんできた所にえいと飛びついて首からぶら下がった)」
「な・・!こ・・こら」
「・・・・(ぺちぺち叩いてる)」
「・・確かにこの方が接触面は多いが・・
握手というには何か違うような気がせんか?」
「・・・(ぺしと叩いてぽんと降りた)」
「細かいことを気にするな?・・まぁそれは主も話していた事だが・・」
「・・(手招きしてる)」
「?今度は何だ」
「(耳打ちするようにして)・・ありがと・・」
「・・、・・」
「・・(最後に膝に軽くしがみついてから頭を下げ、帰っていった)」
「・・何に対しての礼だったのか・・妙な娘だ。
だが少し・・・主に似ているな」
教えてくれてありがとうと
触れることを許してくれてありがとうの意味。
でもって緋竜側は帰って同じ事をしようとして大騒ぎになるに違いない。
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